Apple公式サイトがスマートフォン対応
2014年9月9日、Appleは新製品発表会でiPhone6(Plus)と、かねてから噂をされていたウェアラブルデバイスであるApple Watchを発表しました。
世界的なスマートフォンの大型化の流れにiPhoneも追随すると同時に、今までPCにしか対応していなかったAppleの公式サイトが密かにスマートフォンにも対応していました。
世界的にこれだけスマートフォンからのアクセスが多くなり、多くの企業がスマホ対応をしている中で、iPhoneやiPadなどの代表的なモバイルデバイスを抱えるAppleのサイトが今までスマートフォン対応しなかった理由はいくつかあると思います。
- そもそもスマートフォンのみで閲覧するカスタマをターゲットにしていなかった。
- プロダクトをPCの大画面で見せることで訴求力を高めたかった。
などです。
ただここにきてAppleがスマートフォン対応に舵を切ったのには明白な理由が考えられます。
iPhone(iOS)の世界的なシェアは落ちている
日本市場では圧倒的に優位なiPhoneですが、世界的なシェアを見ると年々Androidとの差が広がりつつあります。2013年度の出荷台数ベースでのシェアは、「Android 78.9%」「iOS 15.5%」と差を付けられています。
Strategy Analytics: Android Captures 79 Percent Share of Global Smartphone Shipments in 2013
また先進国におけるスマートフォンの伸び率は年々鈍化してきており、予想によると北米や欧州などの先進国市場のスマートフォン出荷台数の伸び率は今後1桁台に留まることが考えられます。一方新興国でのスマートフォンの伸び率は以前高い水準を維持しており、Appleにとっても重要な市場になってくることは明らかです。
世界のスマホ市場、2014年の出荷台数伸び率は19.3%に鈍化
スマホとタブレットはともに成長鈍化
新興国ではネット接続にPCを使わず、スマホからアクセスするユーザーがほとんどだと考えられ、それらのユーザーに対しても見やすく分かりやすく、かつビジュアルでプロダクトの魅力を伝えられるサイトを用意しなければなりません。そこでAppleはこのタイミングで公式サイトのスマホ対応に踏み切ったものと考えられます。
新しいiPhoneのラインナップを見ても、型落ち製品であるiPhone5cをディスコン(製造中止)せずに、無料でも販売を継続していくあたりに、新興国市場の重要性が見て取れます。
Samsungは既にレスポンシブWebデザインに対応
競合であるSamsungはスマートフォン対応どころか、既にレスポンシブWebデザインでサイトを構成しており、設計もモバイルファーストな構成となっています。
ストアページはスマートフォン未対応
製品紹介ページはスマートフォンに対応していましたが、ストアページはまだPCサイトを表示しています。間に合わなかったのか、敢えて未対応なのか、いずれにしても一部対応というのはユーザーを迷わせ、離脱の要因となるのでなるべく早く対応すべきだと思います。
ただストアについてはAppleのストアアプリがかなり使いやすいので、そちらに誘導する手もありかなとは感じます。
終わりに
「Appleがついにスマホ対応した」とインパクトは大きいですが、個人的には遅すぎる印象です。
コンシューマー向けの製品を扱う企業については、積極的にモバイルサイトへの対応をしていかなければ、生き残るのは厳しいのではないでしょうか。(Appleくらいの余程のブランド力があっても、シェアの低下は避けられなくなっています)
今一度、自社の製品や顧客について考えなおす機会になりました。
上林