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越境ECの関税について

昨年10月にはTPP(環太平パートナーシップ)で日米を含む12カ国での関税撤廃に向けての大筋合意にいたりました。これにより、これらの経済圏において5年をめどに段階的に関税が撤廃されるとのことですが現状、海外で商品を販売したいEC事業者は「関税」についての知識の把握が必要となります。

日本国内で商取引をする限り、関税について意識をすることはないのですが、一般的に日本から海外に商品を発送する場合、商品を受け取る消費者に関税を支払う義務が生じます。つまり消費者が払う金額は「商品代金 + 消費税 + 送料 + 関税額」となります。

越境EC事業者は為替の変動や配送の問題と併せて、関税への的確な対応も海外への販売の課題となります。

越境ECを行う上でおさえておくべきポイント

関税への対応に必要な基本的な考え方をおさえていきましょう。

1.自社が取り扱う商品にかかる関税の把握

関税は、その国が輸入する商品の価格を制限することによって国内の産業を海外との競争から守ることを目的とします。

そのため産業や商品種類によっては思わぬ高額な関税がかかる場合もあるでしょう。その際、商材についての見直しも必要なります。したがって自社が取り扱う商品について各国での関税事情を把握することは越境ECを計画する上で初期の段階で把握すべき事項となります。

2.サイト上で関税について明記することが重要

関税は、基本的に消費者が払うお金ですが、サイト内にそのことをしっかり明記することが必要です。

明記しないことによって、場合によっては関税支払拒否や受取拒否・返品といったクレームにつながる可能性があるからです。また各商品の関税見込み額を関税を加えての金額を予め表示するなども必要となります。

米国のオークションサイトであるeBayでは商品単位ごとに関税がいくらかかるかを記載し、整備していますが日本のサイトではそのような記載 があるケースはまだまだ少ないようです。

越境EC向けASPサービスであるLive Commerceでは「関税計算プラグイン」のように日本から海外各国に販売する際の関税額を自動計算する追加機能があるそうです。

海外通販サイト向け – 関税計算プラグイン

各国の関税事情

各国での関税に関する制度について知っておきましょう。国ごとの商品種類、商品の値段による関税額の違いを知っておくことは、越境ECを展開する上で非常に重要です。

アメリカ

日本からの輸入品に適用する関税率は一般税率(NTR税率)が適用されます。関税率表(HTS)は、国際貿易委員会(USITC)より参照できます。課税方法は輸入量(重量、体積、あるいは個数)と輸入価格(FOB価格)を基準に、輸入者が関税率表に基づき自己申告で納税するそうです。

2500ドル以下の国際宅配便または国際郵便を利用して送付する小口貨物では略式輸入として扱われ固定料金で出荷単位ごとに2ドル~9ドルとなるようです。

【参考】関税制度 | 米国 – 北米 – 国・地域別に見る – ジェトロ
【参考】小口貨物の通関制度:米国 | 貿易・投資相談Q&A – 国・地域別に見る – ジェトロ

中国

国際郵便で購入者へ直接送付されるものは「個人用途」とされ原則免税扱いとなります。

また政府はモデル都市として越境ECサービス試験地である「保税区」を設け「行郵税」という新たな輸入関税により商品カテゴリーごとに税率を明確にしました。例えばベビー用品では販売価格に低率10%、パソコンやカメラなどの電子製品では20%の行郵税が適用されます。

中国の場合、上記の「保税モデル」と「直送モデル」との2つの越境ECモデルがあり、これらについての考え方をおさえる必要があります。

直送モデル
海外から小包での個別配送やコンテナでの集中配送による配送方法です。通関手続きに数週間の時間がかかり、商品が届くまでに1ケ月以上かかるケースもあります。

保税モデル
試験的にネット通販向け「保税倉庫活用」のネット通販ビジネスとして始まった方式でアリババグループが所在する杭州などにおいて「保税区」が整備されています。

「保税区モデル」では海外事業者が商品を一度にまとめて中国に安く送り通関手続きなしに保税倉庫に商品保管ができます。
さらに通関手続は商品が倉庫を出庫する時点で済ませばよく、事業者の税負担が軽くなります。ユーザーにとっては物流コストが低下した分、安く商品を購入できることになります。

また保税区では越境ECの正規輸入より税率の低い「行郵税」が適用されます。税総額50元未満の荷物については免税扱いとなります。保税モデルでの販売は日本のEC事業者・中国のユーザー双方にメリットがあり中国EC市場の開拓に一役かいそうです。

【参考】保税区を活用した中国電子商取引(EC)市場開拓の考察 | コンサルティング | 大和総研グループ

終わりに

普段、日本でのみ消費活動をしている私たちにとって関税はあまり馴染みのない概念です。また越境ECがまだ発展途上である現状では、なかなか理解が得にくい場合もあります。

しかし海外販売で関税がかかる場合、事業者にとっては価格設定や収益に大きく影響する要素となります。事例等を含め、分かりやすくこれらをレポートできるよう引き続き調査していきたいと思います。

市川