ECサイト構築の手順を完全解説(失敗しないECサイト構築を実現する10のステップ)
ECサイト構築の手順の中に、ECサイト運営ご担当者様が抑えるべきポイントはいくつかあります。
しかし、頻繁に実施しないECサイトの新規構築やリニューアル作業は、いざそのタイミングになると、ポイントが今一つ分からないまま手探りでの実施となり、困惑してしまうものです。にもかかわらずECサイト構築の手順を誤ると、大きな失敗につながります。
例えば実際よくある失敗に、「~のようなデザインにしたい!」や「~の機能を付加したい!」と思っても、既に決定したECプラットフォームの制限上、思っていることができない・・・といったことがあります。
このような事態になってしまう多くの場合が、ECサイト構築手順をしっかりと把握せず、特に制作(デザイン・コーディング)以前に決定しておくべき事項を、しっかりと決定せずに進行しているなど、その構築手順やポイントを理解していないことに原因があります。
今回は、このような失敗を低減するために、ECサイトを構築する手順を、制作(デザイン・コーディング)工程以前の前工程から含めて、一連のECサイト構築手順やそのポイントを示したいと思います。
新規でECサイト構築する場合もリプレース、リニューアルの場合もその手順には大きく変わりがありませんので、ご参考ください。
大きな流れでECサイト構築手順をつかむ
ECサイト構築手順について、以下に大きなその流れを示します。
- コンセプト定義
- 要求定義(特に機能要求)
- ECプラットフォーム決定
- 構築チーム決定
- ワイヤーフレーム作成
- デザイン・コーディング
- 商品登録
- 諸設定
- オープン前オペレーションテスト
- オープン
これは基本的なECサイト構築の手順です。ECサイト構築手順[1]コンセプト定義、[2]要求定義(特に機能要求)は、これから構築する予定のECサイトがどのようなものか(どのような人に、どのようなことを伝え、どのような特徴を、どうやって伝え、その結果、何をコミュニケーションするかなど)を明文化しておく工程です。
このコンセプトワークの工程をしっかりと行い明文化することで、そのデザインや機能性を特定していくことになります。
その結果、どのようなECサイト構築のプラットフォームにすべきか、デバイス対応はどうすべきか、どんなデザインにすべきか、どのようなプロモーションを実施していくべきか、につながります。なので、この工程が非常に重要で全てと言っても過言ではありません。
チェックシートで決めるべき項目を把握する
しかしながら、コンセプトや要求定義(特に機能要求)が重要であるにも関わらず実施しない原因の1つに、ディレクターが「何を決めておくべきか知らない」ということがあります。このような場合は、コンセプトのチェックシートなどを利用して、あらかじめ決定しておくべきポイントを整理することをお勧めします。
とは言っても、頻繁に利用するものではないので、ご参考に次のすぐに使えるコンセプトチェックシートをご利用ください。
参考:ECサイト構築で、すぐ使えるコンセプトチェックシート~初めに決めるべき54項目~
ECサイト構築手順[3]ECプラットフォーム決定は、これから構築運用するECサイトのシステムを決定する工程です。基本的にECサイトはショッピングカートシステムやサイトそのものを運用するCMSなど、ECサイトを構築運用するためのECシステム(ECプラットフォーム)上で成り立ちます。
ひと昔前は、これらのシステムを自社でサーバ構築し、その中にオープンソースやパッケージソフトを入れて構成していましたが、保守の大変さやセキュリティの観点など、最近では売上月商1億円程度のEC規模までは安価なクラウド(ASP)を利用することが大半となりました。
ECサイト構築手順[4]構築チーム決定は、このタイミングで決定する場合もありますし、[1]コンセプト定義の前段階で決定し、全行程をこれらのEC構築手順に従い実施する場合もあります。
そして、ようやくECサイト構築手順の[5]ワイヤーフレーム作成、[6]デザイン・コーディング~とサイト制作の実作業に入ります。
ECサイトが最も制約されるもの
前述しましたが、ECサイトは基本的にECプラットフォームの上で成り立ちます。ですので、ECサイトの多くの機能性やデザイン性などはこのECプラットフォーム自信の制限に制約されます。
ECサイト構築手順において、重要なポイントはECプラットフォーム決定の前に、しっかりと[1]コンセプト定義、[2]要求定義(特に機能要求)を実施することです。
ECサイトのコンセプトや機能要求をまず決める
要は、どのようなECサイトを構築したいのか?またそれらの機能性はどうなのか?を決定してから、そのコンセプトや機能要求にあったECプラットフォームを決定しなければ、大きな失敗につながります。
[1][2]を怠ったままでは、[6]などの制作(デザイン・コーディングなど)工程で、「~のようなデザインにしたいのにできない!」や「~の機能を付加したいのにできない!」といったことが起こってしまいます。
例えば、最近のトレンドに越境ECやO2O、レスポンシブWEBデザインなどがあります。これらは大きなECサイトのコンセプトです。これらも当然[1][2]の手順の際に決定しておくべき事項です。
前工程を疎かにして進むとどうなるのか
レスポンシブWEBデザインはGoogleが推奨するスマホ・タブレット・PC に対応させる方法です。なのでECサイトをスマホ・タブレット・PC対応が必要な場合はレスポンシブにするのはベストな方法です。
しかし[1]コンセプト定義、[2]要求定義(特に機能要求)でスマホ・タブレット・PC 対応のレスポンシブを前提とすることを怠り、次の手順の[3]でレスポンシブ専用ではないECプラットフォーム決定をしてしまった場合どうなるでしょうか。
後の[6]デザイン・コーディング工程で「Googleが推奨するスマホ・タブレット・PC に対応させる方法なので、レスポンシブWEBデザインにしたい・・・」と言っても、実現が難しくなります。
仮に無理やりCMS外でhtml/cssを構成しレスポンシブにしたところで、サイト内の部分的なページをレスポンシブ対応とすることになります。当然ユーザビリティは悪く、運営の際にもレスポンシブのページはCMS上にはないため更新が難しく大変です。結果レスポンシブを諦めなければいけないことになります。
また、[1]コンセプト定義をしっかりと決定せずに、デザインやサイト構築に入ると、デザイナーとEC担当者の意思疎通が図れません。
EC担当者は「思ったデザインが出てこない・・・」
デザイナーは「何が作りたいのかよくわからない・・・」
という状況にも陥ります。結果的に方向性が分からないECサイトや、EC運営のご担当者とデザイナーの意思疎通が図れず良いサイトが完成しません。
また、[2]要求定義(特に機能要求)をしっかりと決定せずに、進行してしまうと、「実際に~の機能で~をしたい」と思っても、[3]ECプラットフォームで決定したプラットフォームの標準機能では実現できない場合もあります。
特にクラウド(ASP)サービスの場合、独自の機能追加開発ができない場合が大半です。しっかりと決定前に[2]要求定義(特に機能要求)が必要です。
機能の追加対応(カスタマイズ)が出来るASPも
中にはクラウド(ASP)のECプラットフォームでも独自の機能を追加対応(カスタマイズ対応)できるサービスもあります。
特に機能要求がしっかりと洗い出せない場合や、オープン後も機能追加要求が出てくる場合は、これらの独自機能追加対応(カスタマイズ対応)できるクラウド(ASP)サービスを選定しておくこともポイントとなります。
そもそもECサイトはプラットフォームの上に成り立つ以上、その制約はプラットフォームの制限にあります。ですからECサイト構築手順において、プラットフォーム決定前に、コンセプトや機能要求をしっかりと定義しておくことが重要なのです。
ECサイト構築手順で最も重要な工程は、制作作業そのものではない
要は、ECサイト構築手順の中で最も重要なのは、その制作(デザインやコーディング)という作業そのものではなく、その前段階にある、コンセプトや機能要求をきちんと定義することが理解いただけたかと思います。
コンセプトの定義には「ECサイト構築コンセプトチェックシート」を活用して、構築作業の前に、必ずこれらを明文化するようにしてください。
また、ECサイトの機能性の多くがこのECプラットフォーム中心に成り立っていることも事実です。参考に「ECサイトASP比較」の図2:「ECサイト構築運用を取り巻くサービスをプラットフォームの関係性」にあるように、ECサイトに関わる多くの機能やサービスがこのECプラットフォームを中心に成り立ちます。
ECサイト構築手順で最も重要な工程は、制作作業そのものではなく、どのようなサイトをつくるのか定義することです。
できるだけ詳細にどのような人に、どのようなことを伝え、どのような特徴を、どうやって伝え、結果、何をコミュニケーションするか、当該ECサイトの社会的使命は何なのかを、制作して形や色をつくる前にしっかりと定義することが重要です。
そうすることで失敗は少なく、より価値の高いECサイトがオープンできるものと思います。