レスポンシブサイト導入から2年
ゴールドフラッグ株式会社様インタビュー
ECサイトでも採用されることが増えてきている「レスポンシブWebデザイン」。
補整下着通販のゴールドフラッグ株式会社様は、2013年8月にレスポンシブデザインを用いて本店ECサイトをリニューアル後、売上を3倍に伸ばすとともにサイト運営の効率化を進められてきました。
今回は、本店ECサイト責任者・佐々木様に、導入2年間でのレスポンシブサイトへの評価や、サイト更新を効率化する方法、会員登録を大きく増加したキャンペーン手法の詳細などについて語っていただきました。
1.ゴールドフラッグ株式会社様のEC事業概要
2.更新作業を効率化する工夫
3.”スマホ中心”への転換で成功したキャンペーン
4.今後の展望
(株式会社ゴールドフラッグ 本店EC責任者 佐々木 亜矢様)
1.EC事業の概要
ゴールドフラッグ株式会社様は補整下着の輸入卸・企画販売事業を行っており、 リアル店舗は全国に13店舗展開、テレビ通販も大きく展開されています。
ECでは本店ECサイトと楽天のサイトを運営中。 本店ECサイトと楽天ECサイトの売上比率は1:1。
レスポンシブデザインでのリニューアル後、本店ECサイトの平均月商をリニューアル前の約3倍にまで伸ばされています。
現在のEC運営チームは8名。予算管理などを担当する営業が1名、本店ECサイト担当2名、楽天サイト担当2名、モニプラなどイベント担当者1名、グラフィック(画像作成)担当が1名のチームです。デザイン、コーディングなどから広告運用までほとんどすべてを内製で運営されています。
▲スマートフォンとPCでのTOPページ。ユーザーが異なるデバイスからアクセスしても使用感(UX)が変わらないようなグローバルメニューの設計やコンテンツの配置にするとともに、スマートフォンでは新着情報を表示しないなど細部では表示を変更している。
―2013年の8月にレスポンシブサイトを導入する前の本店ECサイトはどのような構成でしたか?
佐々木「2013年8月以前は、スクラッチ型のPC向けサイトと、スマートフォン専用のASPを使ったサイト構成でした。
ページコンテンツの作成がPCサイトとスマホサイトで別々だったことでコンテンツの作成、管理が煩雑だったこと、
またシステムが分かれていたため顧客管理やメルマガの作成まで二重の作業が必要だったことから、そういった手間を解消するためレスポンシブサイト導入を決めました。」
2.更新作業を効率化する工夫
―レスポンシブ導入で最も大きく変化したポイントはどこでしょうか?
佐々木「レスポンシブサイトにしてもっとも大きく変わったのは、更新作業が楽になったことですね。
それまではPC向けページサイトとスマートフォン向けサイトを別々に作っていたので、デザインモックアップ作成、画像の作成、html/cssのコーディングまですべてPCサイト用のものとスマホサイト用のものを別々で行う必要がありましたが、レスポンシブサイトにすることで、その作業が一度だけで良くなり、大幅に効率が良くなりました。
また、PCページとスマホページを紐づけるリダイレクトの作業も不要になりました。
更新の手間が減ったことで、人員増加でできた余裕を、分析や、キャンペーンを考えたりといった戦略的な作業に集中させることができています。
本店ECサイトは現在1名で更新作業をしていますが、楽天サイトのほうはPCサイトとスマホサイトを別々で作っているので、担当2名が実作業しています。
更新作業の手間が減ったことで、残業時間も減って早く帰れるようになりました(笑)。」
―ランディングページなどの静的ページは、どのような方法でページを制作されていますか?
佐々木「当社ではLPの制作を2種類に分けて行っています。
一つは、一週間ほどしか使用しないLP、もう一つは長く使用するLPです。
一週間ほどしか使用しないLPは、検索エンジンにインデックスさせることを考えないので、ほとんど画像のみで、短期間で作ってしまいます。
もう一つは恒久的に使用するLP。こちらは、しっかり検索エンジンにインデックスされるように、htmlのコーディングを行いますが、あらかじめ何種類かのテンプレートのようなものを作っておいて、同じようなレイアウトを使いまわすようにしています。
そうすることでレイアウトを考える手間も少なくなりますし、コーディングでも同じCSSのクラスを使いまわすことができるので、特集ページ作成の手間もそう多くはありません。
CMS自体もレスポンシブ専用になっているので、CSSが書きやすかったり、コンテンツをデバイスによって非表示にできたりと、やりやすくなっている部分もあります。
レスポンシブのコーディング自体も、経験はなかったですがすぐに慣れることができました。」
(http://bradelisny.jp/Valentine2015)
(http://bradelisny.jp/bratype)
スマートフォン(左)とタブレット・PC(右)でのレイアウト
▲例えば「スマートフォンでは2列だがPCタブレットでは3列表示」のようなhtml/cssのクラスを複数使いまわすことで、コーディングの手間を軽減している。
3.”スマホ中心”への転換で成功したキャンペーン
―その他にレスポンシブサイトにして大きく変わったところは?
佐々木「PC中心の考え方からスマホ中心の考え方に転換したことです。
レスポンシブ導入前はページの構成を考える時もまずPCでの構成を考えていて、スマートフォンは後回しでした。
2013年当時は「そこまでスマホで見られてる?」という疑問もあったので、すべてのページでスマートフォン向けページ作り込んではいませんでした。
しかし、レスポンシブデザインでリニューアルしたことがきっかけで、まず、「スマートフォンでどうみられるか」を考えてページの構成を作るようになりました。
例えば、スマートフォンでは特にファーストビュー中に何を盛り込むかが重要になるので、特にリニューアル時にはワイヤーフレームを何度も試行錯誤して作りこみました。
そうすることで、スマートフォンで売上の上がるページを作ることができるようになり、例えばゲリライベントでの成果も出てきました。
ゲリライベントの中身は、数時間だけ限定で行うセールを、SNSとメルマガで突然告知するというものです。
突然告知するので、特にスマートフォンからのアクセスが多くなります。そういったケースでも購入していただけるページを作ることができるようになりました。」
(http://bradelisny.jp/tanabata)
―ゲリライベントが成功されたということですね。その他の販促活動ではどのようなものをされていますか?
佐々木「その他には、ショッピングカートに会員しか購入できない商品を作れる「闇市機能」を使ってキャンペーンを行いました。
キャンペーン内容としては、「闇市」とだけ書かれたバナーをTOPページに設置するというだけです。バナーをクリックすると「闇市」のパスワードを入力するページに遷移します。
ここでセールの中身が気になったお客様に会員登録していただけます。
このキャンペーンだけでも合計2000人の会員が増加しました。」
▲「闇市」LP。TOPページに設置したバナーをクリックすると、会員登録へ誘導するページに遷移する。
4.今後の展望
―最後に、今後のEC事業で注力していきたいところを教えてください。
佐々木「リアル店舗との連携です。
POSと連携して、ECとリアル店舗両方の購入履歴も確認できるように顧客管理を一元化したいと考えています。
そうすることで、キャンペーンなどの訴求の仕方も変わってくると思いますし、カルテも作りたいと考えています。」
(ゴールドフラッグ株式会社様 社内フロアの様子)
ゴールドフラッグ株式会社様では、レスポンシブサイトへの移行によりページ制作の手間をうまく削減し、ECマーケティングの幅を広げられることにも成功されました。
ECサイトを運営する上での業務は多岐にわたり、一つ一つの時間的コストの削減に苦慮されている事業者様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回インタビューさせいただいたゴールドフラッグ株式会社様は少ない手間で、顧客満足度の高いサイト・ページの作成、運用に成功されている、理想のモデルケースではないかと思います。
黒河