近年急激に増加している月額でのサービス形態「サブスクリプション」。ECサイトを含め様々な業態で注目されつつある形態ですが、一体サブスクリプションとはどういった仕組みなのでしょうか?
また、ECサイトにはどのような影響を与え、どのように対応していけば良いのでしょうか。今回はサブスクリプションサービスの概要とユーザー、事業者双方のメリット、サブスクリプションECサイトについてまとめました。
サブスクリプションサービスとは
weblio辞書では以下のような説明がなされています。
サブスクリプションサービスとは、提供する商品やサービスの数ではなく、利用期間に対して対価を支払う方式のことである。多くの場合「定額制」と同じ意味で用いられている。
サブスクリプションサービスは、主に音楽などのコンテンツ配信サービスにおいて用いられている。音楽配信サービスにおけるサブスクリプションサービスは、1曲ごとに販売・課金する方式ではなく、月額で定額料金を支払えば、その期間内は音楽をいくらでも自由に聴ける、といった利用形態となる。
今となっては生活になくてはならなくなったSpotifyやApplemusic等の音楽配信サービス、Netflix等の動画配信サービスもサブスクリプションサービスです。サービスの提供方法としては昔からあった定額制のシステムと同じなのですが、この何年かで広く認知されトレンドのサービス形態になりました。
このサブスクリプションのサービス、ECサイトがなぜ広く認知されることになったのでしょうか。それは、二つの消費者心理の変化が大きな要因です。
シェアリングエコノミー思考
モノは”所有”するものではなく”利用”するものという意識の変化。
矢野経済研究所の実施した調査では、シェアリング・エコノミーの国内市場規模は、2015年度に約285億円であったものが、2020年までに600億円まで拡大すると予測している
出典:総務省統計局ホームページ (http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc112220.html
)
そうした意識の変化はデータにも現れており、それに伴って市場規模は今後も拡大し続けていくと考えられています。
パーソナライズされたサービスへのニーズ増加
消費者が求める要求は年々上昇し、より個々人に合わせたサービスが求められているという変化。
この二つの要因からサブスクリプションサービスが注目されることとなりました。サブスクリプションは様々なものをシェアし、顧客に合わせたサービスの提供が可能であるからです。
そしてこの特徴を生かしてサービスやECサイトを構築すると、ユーザーのニーズに応えられることはもちろん、事業者にも非常にメリットがあるサービスを作ることが可能になります。
サブスクリプションを運営するメリット
ユーザー側のメリット
①コストパフォーマンスが高い
サービスをシェアしたり、商品をシェアしたりすることになるので一回当たりの料金を安く抑えることができます。仮に洋服のサブスクリプションを利用していた場合、定額の料金を支払うことで、購入すると数万円かかる商品を月額数百円~数千円ほどで利用することも可能です。
②よりパーソナライズされたサービスを受けることができる
継続して使っていくことが前提のサービスなので、各ユーザーの情報がそれぞれ蓄積されます。そうした情報から商品がカスタマイズされたり、利用しやすいよう改良されていきます。
例えばsnaq.meというECサイトではその人の嗜好に合わせたお菓子を届けてくれるサブスクリプションサービスを行っています。こうしてコミュニケーションがしっかりとれることでパーソナライズ化に繋がっていきます。
事業者側のメリット
①持続的な収益が期待できる
定額制のサービスになるので持続的に収益を上げることができます。さらに継続的に商品価値の底上げが可能なので収益体制としては非常に安定したものになります。
②一回当たりの単価を安く設定できる
継続的に商品が売れ、シェアリングできることで通常の買い切りの物販では難しかった価格設定が可能になります。単価を抑えることでさらに広い範囲の顧客にリーチすることができ、客層の増加につながります。
③商材を選ばない
今まで通常の物販をしていたものも、多くの場合サブスクリプションサービスに転換させることができます。考え方の方向でまだまだ未開拓の市場がありチャンスが多い市場になっています。
サブスクリプションECサイトの広がり
サブスクリプションサービスと言えば音楽配信や映像配信などが多くを占めており、今まではユーザーもそういったサービスのイメージが強い状態でした。しかしながらここ何年かで大小含め様々な会社が”モノ”のサブスクリプションサービスである「サブスクリプションECサイト」を開設しています。
洋服のサブスクリプションのメチャカリ、定額制スーツのレナウンなどのアパレル系のものから、前述したお菓子のサブスクリプションサービスのsnaq.meのようなもの。また、選ぶ商品によって何が届くかわからない楽しみがあるsubscといったサブスクリプションECモールまで出現してきました。
消費者の意識が変わり続ける中でこうしたシェアリングエコノミーの考え方は続くことが予想されます。そして、サブスクリプションのような定額のサービスはニッチなものも商材としてニーズが高いので、これからも更に伸びていく市場になると思われます。
まとめ
サブスクリプションECサイトの数は増えてきていますが、仕組みとしては定期販売機能を基にそれぞれで用途に合わせた方法で運営しているものが多いです。どこまで要求に応えるかという面でも変わりますが、1からシステムを作りこむ必要はありません。
今後確実に伸びていくサービス形態になるので是非、導入を検討してみてはいかがでしょうか?