Appleが示したデバイスの連続性
先週、毎年Appleの世界開発者会議(WWDC)で、Mac用のOS「OSX Yosemite」とiPhone、iPad用のOS「iOS8」が発表されました。
それぞれの詳細については既に多くの記事で紹介されてるので、ここでは敢えて言及しませんが、発表のなかでキーワードとして上げられていた「Continuity(連続性)」について注目したいと思います。
OSXとiOSの連続性
まずこの「連続性」という言葉はどのような意味を持つのでしょうか?Appleの公式HPには以下のようにあります。
iPhone, iPad, and Mac. Connected like never before.
つまり今まで以上に各デバイスがつながっていくということを意味します。
最新版のOSX YosemiteをインストールしたMacと、iOS8をインストールしたiPhone/iPadの間では、今まで以上に連携を強める方向性が示されています。では具体的にどのように連携が取られているのでしょうか。
ブラウザの連続性
同じiCloudアカウントでログインしているデバイスであれば、ブラウザで開いているURLが自動で同期されます。例えば移動中にiPhoneで開いていたURLは、自宅のiPadでも同じURLが自動で表示されます。Googleの言う所謂「引継ぎ利用」ですね。
ドキュメントの連続性
PagesやKeynoteと言ったApple純正のドキュメント作成アプリで文書や資料を作成した場合、Macで編集した状態をそのままiPadやiPhoneにも同じ状態で再現することができます。もちろん逆にiPadやiPhoneで編集したものを、Macで引き続き編集することも可能です。
メールの連続性
ドキュメントの連続性と同様、メールアプリでもMac⇔iPad/iPhoneの連続性が保たれています。モバイルデバイスで編集したメール文書はたとえ作成中であってもMacのメールアプリに引き継がれ、Macから作成・送信することが可能になります。
ファイル同期の連続性
http://appleinsider.com/articles/14/06/07/os-x-yosemite-first-look-video-airdrop-with-ios-8
動画での説明が分かりやすいので掲載させていただきます。今までiPhoneやiPadでairdrop(写真などのファイルを直接端末へ転送できる機能)が提供されていましたが、その提供範囲がMacまで広がりました。嬉しい機能拡張です。
通話機能の連続性
生活をしている中で、別の部屋でiPhoneを充電をしていたり、カバンの中に入れっぱなしだったり、手元にiPhoneがない場合があります。そんな時iPhoneに着信があっても、その着信をMacで受けることができ、通話もできるようになりました。
iCloud Driveの登場
「.mac」「MobileMe」「iCloud」と経てきたAppleのクラウドサービス。お世辞にも成功しているとは言えない(私は.mac時代からのAppleクラウドユーザーですが…)クラウドサービスがようやく本腰を入れてきたという感じです。
今までのiCloudではiWork関連の文書のみをクラウドサービスに入れることができましたが、今回のアップデートでよりGoogle DriveやDropboxに近いファイル共有の色が強くなりました。先行するクライドサービスともかなり競合するでしょう。
デバイスをまたぐ、引き継ぎ利用の加速
Googleがマルチスクリーンワールドで言及してる「引き継ぎ利用」。検索ユーザーの7割がスマホを起点に、その6割が同じ行動をPCでも行っているという結果もあり、ユーザーはモバイル/PCのデバイスに関係なくWebにアクセスをしている現状があります。
Google Analyticsの時期バージョンであるユニバーサルアナリティクスではこの引き継ぎ利用がどのように行われているのか、詳細なトラッキングを計測できるようになっていることから、Webの行動はすでにデバイス別という考え方は過去のものになっています。
今回のAppleの「Continuity(連続性)」で発表された、ユーザーがよりデバイスを意識することなく行動ができるようになる未来。Webサービスだけでなくアプリレベルでもデバイスの垣根がなくなっていくことが示されたのではないでしょうか。
上林