行動心理学とは
正式には行動主義心理学といいます。心理学のアプローチの1つで、内的・心的状態に依拠せずとも科学的に行動を研究できるという主張です。
そもそも行動主義とは…
1910年代にアメリカのワトソンによって提唱されました。当時主流であった内観法(自分自身の精神状態を観察する方法)による人の意識を観察対象とした心理学に対し、人の客観的な行動を観察対象にした心理学として発展しました。
「心」や「意識」のような曖昧な考え方に極力頼ること無く、客観的で観察可能な「行動」を自然科学的方法で研究する心理学です。
有機体がなにを見るのかが問題なのではなく、刺激が有機体の行動をどのように変えるのかが問題なのである。
–1992 岩本隆茂 行動心理学と認知心理学 (IV)
Web制作への応用
ここでは上記のような行動心理学をどのようにWeb制作へ応用することができるのか、事例を交えながら行動心理学の特徴を上げていきたいと思います。
と言っても、恐らく多くのECサイトを運営しておられる方なら、「そんなこともうやってるよ!」といった内容かもしれません。効果の出ているECサイトならこのような心理学的手法は意識せずとも、運営していく上でノウハウとして自然と実行されている内容です。
改めて環境や刺激が人の行動にどのような影響をあたえるのかをまとめてみたいと思います。
ウィンザー効果
第三者を介した情報、噂話のほうが、関係者から直接伝えられるよりも心理的に与える影響が大きくなるという効果のこと。
ECサイトでは口コミや、商品のレビュー、SNSでの拡散などが挙げられます。
認知的不協和
人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を解消するために、自身の態度や行動を変更すると考えられています。
有名な話では、イソップ物語の「狐とぶどう」の話がよく例に出されます。
カクテルパーティー効果
カクテルパーティーなどの大勢の人が集まっていて騒然としている環境でも、自分の名前が呼ばれるとそれに注意をし、振り向いてしまうことから、自分に関係ある情報(例えば、名前など)には、どんな騒音の中でも無意識に注意し、意識が向く現象の事を言います。
Webで言えば、ランディングページやバナー広告などで、このカクテルパーティー効果を活用している事例が多く、下のバナー例のように特定の人を呼びこむためのキャッチなどに使われています。
ハロー効果
ある対象を評価するときに、目立ちやすい特徴に引きずられて他の対象の評価を大きく左右する効果のことです。
有名人やモデルが登場している広告などを目にしますが、「有名なあの人が使っているから、評価が高い」とポジティブに捉えてしまうことを言います。
お店に飾ってある芸能人のサインなども同じ感じですね。
アンカリング効果
価格交渉の場ではあまりにも有名な効果です。
提示された特定の数値や情報を基準点 (アンカー)とし、判断に影響を及ぼす心理傾向のことです。また価格交渉などの場ではこのアンカーをかけた価格からは大きく左右することがないのも特徴です。
権威への服従原理
人間は権威に弱いものです。専門家やその業界に精通している人の意見は無条件に正しいと盲目的になってしまう心理のことを「権威への服従」といいます。
「専門家が検証」「◯◯大学の教授も驚きの!」などの宣伝文句で他の商品よりも優れていたり、効果効能への期待感などが大きく膨らみます。
希少性の法則
希少性の法則とは、どこでも手に入る物は価値が低く、希少性が低いものこそ価値が高いと考える心理現象のことです。
「販売個数限定!」「地域限定」などの売り文句にすることで、人は十分な価格/性能検討をすることなく購入することがあります。
松竹梅商品の売り方
松竹梅の3つの価格帯の商品を用意し、本当に売りたい商品を中間地点へ用意すること。「安すぎたり、高すぎたり」するものよりも、自分にとってちょうどよいものを人は購入する心理があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭でも書きましたが、これらの行動心理学を利用したテクニックは「売れるECサイト」が活用している事例が多いです。
またECサイトに限らず、実店舗でのマーケティングにも活用されています。
一時期話題にもなりましたが、某ファストフード店でサクラを使った行列などは「認知的不協和」を活用して、「行列ができるほど美味しいに違いない」と顧客の心理を動かしました。
売れるECサイトに限らず、「売れる営業」や「優れた接客」をする方たちは意識せずともこのようなテクニックを身につけています。
上記のような人の行動心理学を知ることで、さらに「売れる」ECサイトを目指しましょう。