突然ですがみなさんは「今運営しているECサイトがどのような構造になっているか」、考えられたことはありますでしょうか?
「サイトの構造」について、なかなか考える機会というものは多くないのではないかと思います。
そこで今回はIAで紹介されているサイト構造(サイトストラクチャ)から、実際のECサイトでも用いられているものを4種類ご紹介します。
最後にこれからECサイトを構築される方向けに、「どの構造が向いているか」もまとめましたので是非ご覧ください。
IAとは、
Information Architecture
(情報構造)
の略語です。
「複雑な情報をわかり易く伝えるための技術」として、Richard Aul Wurmanによって提唱されました。
1つ1つのデータを統合・構造化することで、より効果的に活用することを目指した概念です。
このIAですが、実はWEB登場以前に提唱された概念です。
しかし中身を見ると、WEBサイト構築の際に非常に便利な内容となっています。
WEBサイトにおけるIAの役割は大きく3つあると言われていますので、それぞれ紹介します。
情報量が増え、サイトの規模が拡大・複雑化したことで、「探したい情報が見つからない」ケースが出てきます。
欲しい情報が見当たらないと、「ユーザーの離脱」や「サポートへの電話増加」といった問題が発生します。
IAでは事前に掲載する情報について、「対象」や「場面」などで構造化させるため、
「見つけられない情報」「活用されない情報」を減らすことができます。
自分の言いたいことが伝わらず、別のニュアンスで広がるということはWEBではよくあります。
例えば、事例ページに大手企業を並べて「大手からも使われるサービスです!」とアピールしたつもりが、「大手専用のサービスか」と中小企業顧客を取り逃す・・・といったケースですね。
IAでは「ニーズ分析」などを行うことでこのようなミスマッチを解消させることができます。
「担当者が変わった途端に、サイトの様子が一変した企業」というのは中小企業では少なくありません。
これは企業・サイトとしての明確な方針が定まっていないため、担当者によるその都度の判断で運営されているためです。
IAの中ではこの問題についても触れられており、「サイトコンセプト」の作成などを通して「一貫したサイト運営」を目指す方法について紹介されています。
ここからは実際にECサイトに用いられている「4つのサイト構造」についてご紹介します。
商品をカテゴリ別に分類し、カテゴリ単位で構成されたサイトのことを「階層型構造」とよびます。
「商品ページ」「カテゴリページ」「TOPページ」の3つを中心に構成されていることが多く、自前でショップを構築されたECサイトなどによく見られます。
1つのカテゴリについて、階層を重ねて分類していくことから「階層型構造」という名前がついています。
この構造では、「どのカテゴリに、何があるか」が非常に明確になるため、管理や更新がしやすいというメリットがあります。
しかし一方で「階層が深く・多くなることで、複雑化しやすい」というデメリットもあります。
PCでファイル整理をする際に、フォルダの階層を深くし過ぎるとかえって探しにくくなるように、
カテゴリ階層が深くなればなるほど、探している情報に辿りつけずに離脱するユーザーが増加します。
Amazonなどを見ても、「シューズ&バッグ > かばん・ラゲッジ > トラベルバッグ > スーツケース」のように5階層以上の深さになっている商品が少なくありません。
このように階層が深くなった際、重複したカテゴリが発生しないように管理する必要が出てくるといった「追加の作業」が発生するデメリットが含まれています。
「階層型構造」では、より細かく・より多くのカテゴリ分類を行うことが、運営を複雑化させるデメリットでした。
そのためファセット構造では、「属性」を用いた分類を行います。
ファセット構造とは、属性を用いて価格・カテゴリといった複数の側面(facet)にあわせた分類をすることから付けられた名前です。
ファセット構造を用いることで、ユーザーが効率良く商品情報にたどり着くことが可能となります。
「属性」をフル活用している例として、「楽天市場」があります。
楽天市場では通常のカテゴリだけでなく、「値段」「目的別」「地域」など様々な条件で商品を探すことができます。
属性情報が豊富なことから、「探しものがある人」にとっては非常に探しやすいサイト構成です。
しかし一方で情報の属性に依存する構造のため、目的を持たない「ウィンドウショッピング」的訪問には向いていません。
このため、ランキングや新着商品など、手動で「特集ページ」を別途用意することで、ユーザーに新しい発見ができるような工夫が必要となります。
先ほどの2つとは大きく異なり、直線構造では「情報を探させないこと」を重視します。
一般的に「ページを遷移させると、CVRは低下する」と言われていますので、「ならば1ページで見てもらおう」をいう発想で作られています。
ページ遷移が最低限になることや、リスティング広告のリンク先としても使いやすいというメリットがありますが、
一方で「スクロール量が多くなること」や、「途中で飽きられやすい」といったデメリットも存在します。
リスティング広告のクリック率が高い商材(情報商材・健康食品など)でよく見られるサイト構造です。
ハブ&スポーク構造では、「起点となるページ」から車輪(スポーク)状に派生する形でサイトが展開されます。
起点となるページ同士がハブとして繋がり合うことからこの名前が付けられています。
この形式は、「起点となるページ=マイページ・ユーザーページ」という形のSNSやC2Cサイトでよく見られます。
Summalyの「haveリスト」や、最近リリースされた「note」などもこの構造です。
この構造を取る場合、「ハブとなるユーザーの質」が重要になります。
「いかに魅力的な商品を売るか」ではなく、「いかに人が集まる場を作るか」がキーポイントです。