ECサイトと実店舗の連携でおすすめの方法は?
会員情報/ポイントデータの一元管理方法と導入事例
2024年7月3日2025年3月18日
ECサイトと実店舗のどちらも運営している事業者にとって、ECサイトと実店舗を連携させ、複数のチャネルを横断したシームレスな顧客体験を実現する、OMOやO2O、オムニチャネルのような仕組み作りは事業を拡大していく上で無視できないものになっています。
この記事では、ECサイトと実店舗を連携させる際に肝心な、会員情報とそれに紐づくポイントデータの一元管理を実現する方法をご紹介します。
ECサイトと実店舗の顧客/ポイントデータを一元管理する方法
PCやスマートフォン利用によるネット通販や、街中で実店舗に立ち寄った際など、消費者の利用したいデバイスやタイミングに左右されずに、シームレスな購入体験を提供できておりますでしょうか。
ECサイトと実店舗で、ポイントシステムを単独で運用していたり、システムが一元化できていない場合、企業側の管理が煩雑化するだけでなく、顧客に対しても混乱を招きかねません。企業として、いずれかの販売チャネルでポイントシステムを導入しているのなら、一元管理が望ましい状態と言えます。
ECサイトと実店舗でポイントデータの一元管理を実現するためには、それに紐づく会員情報も相互利用できるよう、常に同期させておく必要があります。その方法を探るにあたり、検討時点におけるECサイトや実店舗展開の有無、ポイントシステムの導入有無によって、以下のケースが挙げられます。
(例)
・ECサイトと実店舗の両方を展開しており、そのどちらか、もしくはそれぞれ単独で運用しているポイントシステムを統合したい
・ECサイトも実店舗もポイントシステム未導入の状態から、ポイントシステムを新たに導入したい
・ECサイトでポイントシステムを利用しており、これから実店舗を新規出店する
・実店舗でポイントシステムを利用しており、これからECサイト展開を検討する場合
いずれの場合も、ECサイトと実店舗の顧客/ポイントデータを一元管理を実現させるためには、ECサイトのプラットフォームと実店舗の顧客管理/ポイントシステムをスクラッチで開発するか、ECサイトのプラットフォームと実店舗の顧客管理/ポイントシステムは別で用意して連携させる必要があります。
なお、本記事で取り上げるポイントシステムとは、自社独自で発行する「自社ポイント」を指し、楽天ポイントやVポイント(旧Tポイント)のような「共通ポイント」と呼ばれているものとは異なります。
参考までに、共通ポイントの場合、そのポイントの知名度の高さから集客への効果を期待できるというメリットがあります。一方で、加盟店としての加入が必要な為、導入費用や利用手数料の高さ、ポイントシステム利用によって取得できる顧客情報が限られているというデメリットがあります。
自社ポイントの場合、ポイント付与や利用時のルールを自社で決めることができ、個人情報の取得にも制約なくマーケティングにも生かせる特徴があります。
スクラッチ開発(ECパッケージやオープンソース利用を含む)の場合
ECサイトの構築方法が、EC-CUBEなどのオープンソース利用や、ECパッケージ利用など、設計段階から自社の要望を取り入れやすい構築方法の場合、以下のメリット、デメリットがあります。
メリット
・ECプラットフォームに組み込むECサイト上の機能は、実店舗運用を含めて自社独自のシステムを初期段階から自由に設計できる
・外部連携システムを利用する場合、好きなシステムを設計段階から組み込んで連携ができる
デメリット
・初期費用、ランニングコストが高い
・実際の運用を想定してゼロベースでしっかりと設計、開発が必要。
・メンテナンスは機能追加部分を含めて自社(協力会社)で実施が必要。
・完成までに期間がかかる、テストもしっかり期間と人員を確保しておく必要がある。
・不具合の発生や使い勝手が悪い場合、修正に時間を要する場合がある。
導入までの流れ
要件定義→開発→テスト→システム完成(→サイト制作→データ登録or移管)→各種設定→利用開始
※括弧内は、ECサイトの制作作業やシステム切替に伴う移管作業が発生する場合
ECサイトの構築 | ECサイトと実店舗を連携するシステム | |
---|---|---|
概算費用 | 数百万円~ | 数百万円~ |
期間 | 半年~1年 | 3か月~ |
ASP/クラウド型を利用する場合
ASP/クラウド型のECサイトのプラットフォームは、顧客管理機能やポイント機能、会員登録機能や注文履歴などのマイページ機能など、ECサイトの構築や運営に必要な機能が標準機能として既に備わっています。
その一方で、実店舗の顧客管理やポイントデータを管理する機能は用意されていない状態が一般的です。そこで、ECプラットフォームと実店舗で使用されるPOSシステムなどを紐づけるシステムを導入する必要があります。
外部連携システムを使うことは、一見して手間が増えるように見えるかもしれませんが、既存機能を最大限に活用するこの方法は、ECサイトと実店舗の連携を、安価で早く実現させます。
メリット
・既にシステムが構築してあるため、動作確認と申し込み(契約する)だけですぐに利用可能
・料金発生は利用期間のみ。安価に定額で運用できる。
・メンテナンスも各システムの運営事業者にお任せして、EC運営に集中できる。
デメリット
・実店舗連携のために必要な機能や外部連携システムに対応していない場合、ECプラットフォームの乗り換えを検討せざるを得ない
・運用をシステムに寄せないといけない場合がある(ただし汎用的なシステムで構築されているプラットフォームでは多くの問題を解決するための方法がある。または、カスタマイズ可能なASPも存在している)
導入までの流れ
システム選定→動作確認→決定・申し込み(→サイト制作→データ登録or移管)→各種設定→利用開始
※括弧内は、ECサイトの制作作業やシステム切替に伴う移管作業が発生する場合
ECプラットフォーム | 外部連携システム | |
---|---|---|
概算費用 | 利用料金:数万円~ | 利用料金:数万円~ |
期間 | 2週間~ | 連携スケジュールを調整して実施。 |
ECプラットフォーム(カートシステム)の一覧や機能性の比較については以下記事で解説していますので、よろしければ併せてご参考ください。
【2025最新】ECプラットフォームを徹底比較!主要17サービスの特徴を解説

【2025最新】ECカートシステム22選を徹底比較【一覧表付】

データ連携の具体的方法
以上にて、スクラッチ開発の場合とASP/クラウド型ECプラットフォーム利用の場合の、2通りの方法について解説してきましたが、
この章ではより安価に短い期間でデータ連携を実現できる具体的な方法として、ECプラットフォームと顧客管理一元管理システムのどちらもASPサービスを利用する方法をご紹介します。
ECプラットフォームも、顧客管理一元管理システムも、どちらもASPサービスによる既に構築された機能を利用することで、構築や運用時の多大なコストを省き、スムーズなシステム連携を実現します。
aishipシリーズ×CROSS POINTの組み合わせ
aishipシリーズ
はクラウド型ECサイト構築ASP型です。ASPでありながらデザインや機能カスタマイズに柔軟で、こだわりのECサイト構築に適しています。そのすべての機能はAWSサーバー上で稼働しており、セキュリティは世界最高水準を誇ります。
CROSS POINT
は実店舗とECサイトのポイント・顧客情報を一元管理するASPサービスです。実店舗に欠かせないPOSシステムやECサイト運営を支えるECシステムと連携することで、両チャネルの情報を一元管理することができます。
aishipシリーズとCROSS POINTは、既にシステム連携しており、ECサイトと実店舗を連携した事例もあります。
導入までの流れ
無料トライアル期間中に動作確認→決定・申し込み(→サイト制作→データ登録or移管)→各種設定→CROSS POINT連携→利用開始
※括弧内は、ECサイトの制作作業やシステム切替に伴う移管作業が発生する場合
aishipシリーズ | CROSS POINT | |
---|---|---|
料金体系 | 初期費用20,000円~ 月額費用9,800円~ (詳細は料金ページを参照ください) |
基本料金30,000円 店舗ライセンス料金月額3,000円~ (詳細は料金ページを参照ください) |
期間 | テンプレートベースでのEC構築で最短2週間~ こだわりのECサイト構築で1か月~ |
連携スケジュールを調整して実施 |
つまり、ECサイトと店舗連携を実現するために、aishipシリーズとCROSS POINTの両ASPサービスの組み合わせを採用する場合、上記料金を合算して、初期費用、月額費用はいずれも数万円程度から利用可能ということになります。
導入事例
aishipシリーズをご利用中のECサイトにて、実店舗と会員情報やポイントデータを連携している事例をご紹介します。
(※一部、CROSS POINT以外の外部システムと連携している事例も併せて掲載しております。)
京都北山マールブランシュ様
サイトURL:
https://www.malebranche-shop.jp/
ご利用中のECプラットフォーム:aiship
京都にて複数の実店舗を運営するマールブランシュ様は、ECと店舗の連携強化にあたりECプラットフォームのリプレイスをされました。
個別に機能カスタマイズを実施し、実店舗との顧客データ連携や、マイページでは購入履歴反映だけでなく、一次元コードを表示し、マイページの該当画面を表示するだけで実店舗でポイントを利用できます。その他、店舗受け取りや日ごとの在庫管理も実施されています。

マールブランシュを運営する
ロマンライフ様のコメント
お客様の利便性を高めるために、ECと実店舗の会員情報をシームレスにつなぎ込み、CRMを強化したいと考えていました。
例えば購買履歴をひとつのマイページで閲覧できたり、ポイントを一元管理したりということが要望として挙がりました。
実店舗とECの購入履歴を統合、ポイントも一元化したことに加えて、これらのデータはCRMツールとリアルタイムで連携できるようにしました。
滋賀県を中心に展開するセレクトショップBORN FREE様
サイトURL:
https://www.bornfreegroup.jp/
ご利用中のECプラットフォーム:aiship
ECプラットフォームの乗り換え時に、実店舗の顧客情報/ポイントデータを一元管理可能なシステムを導入されました。
実店舗利用時は専用のアプリにて会員証を表示し、ポイントデータを含めた会員情報は、ECサイトのデータを参照することで、一元化を実現されています。
まとめ
ECサイトと実店舗を連携する方法をご紹介してきましたが、ASPやスクラッチ開発のメリット、デメリットも理解した上で、自社に最適な方法で進めることが重要です。
しかしながら、例えばスクラッチ開発で導入前の段階から入念に設計をしても、実際に運用を開始してみないと、必要な機能が見えてこない場合も往々にしてあるため、まずは手軽に導入できるASPで運用することを検討してみてはいかがでしょうか。
自社の運用にフィットすればそのままASPを使い続けることも可能ですし、ある程度軌道に乗った段階で拡張性を追求してシステムを乗り換えたり、自社独自のシステムを構築することもできるため、いずれの場合でも要件が明確に定まっていない段階でスクラッチ開発をするよりも少ない労力で最適化を図れる可能性が高いといえます。
また昨今、オフラインとオンラインの融合させ、顧客とのタッチポイントを広げていくOMO戦略に注目が集まっています。
関連する内容にオムニチャネル戦略、O2O戦略などがありますが、これらを実現するためには各業界によって微妙に異なる店舗でのデータとの連携を行うためのシステムの拡張性が必要になります。
必要に応じてECの機能カスタマイズを行い、店舗との連携仕様を調整できるかどうかも十分に検討しておきましょう。
下記の記事では、OMO戦略について実際の施策や成功事例をご紹介しています。
OMOとは?具体的施策4選と成功事例|O2O、オムニチャネルとの違いも解説
あわせて今回はクラウド型ECサイト構築ASP「aiship」での連携事例も併せてご紹介させていただきました。
「aiship」では課題のヒアリングから構築・運用サポートまで一貫して提供しておりますのでECサイトと実店舗の連携をご検討の際はぜひ1度お問い合わせください。