ECサイトのリプレイスで失敗しない手順とは?カートシステム移行で注意すべきポイントを解説
2024年7月3日2025年1月14日
一般的には、ECサイトのプラットフォームは1度決めたら数年は動かさない為、リプレイス(引越し)に立ち会う機会はそう多くはありません。
しかし、ECサイトのデザインリニューアル実施や、セキュリティ的な問題を解消したい、業務改善や効率化を図りたい、その他現行カートシステムに何らかの不満があるなど、様々な理由でプラットフォームのリプレイスを検討するタイミングは訪れます。
本記事ではスクラッチ型のシステムや利用中のECカートシステムから、新しいカートシステムへのリプレイスについての手順やタスクを網羅的に解説していきます。特に注意しておきたい、ドメイン関連の設定や、会員データの移管方法についても解説します。
慣れない作業負担や不安な面が出てくる可能性がありますが、本記事を参考にしていただき、円滑に作業を進めていただけたら幸いです。
ECカートシステムの選定
自社ECの運営にマッチしそうなECカートシステムを選定し、システム仕様や動作確認をします。ASP型のカートシステムでは多くの場合、契約前に無料のトライアル期間が設けられているため、それを活用します。不足している機能や要望が見つかった場合、このタイミングでASP事業者に相談すると、解決方法を提示してくれる可能性があります。
ECカートシステムの選定方法や、ECサイトの構築方法を比較したい場合は、主要サービスを中心に紹介した下記の記事をぜひ参考にしてみてください。
ECカートシステムの比較・選定ポイント【主要21サービス一覧表付】
また、デザインのリニューアルを行ってユーザーへ与える印象を変えるだけでなくシステムのリプレイスを行う場合には、拡張性も確認しておきたい重要なポイントです。
特にオフラインとオンラインの融合させ、顧客とのタッチポイントを広げていくOMO戦略に注目が集まっています。
関連する内容にオムニチャネル戦略、O2O戦略などがありますが、これらを実現するためには各業界によって微妙に異なる店舗でのデータとの連携を行うためのシステムの拡張性が必要になります。
必要に応じてECの機能カスタマイズを行い、店舗との連携仕様を調整できるかどうかも十分に検討しておきましょう。
下記の記事では、OMO戦略について実際の施策や成功事例と合わせてご紹介しています。
OMOとは?具体的施策4選と成功事例|O2O、オムニチャネルとの違いも解説
なお、機能カスタマイズを実施したい場合は、前もって自社の要望・要件を伝え、概算見積もりとおおよその納期を確認しておきましょう。
リプレイス先ECカートの契約申込
リプレイス先のECカートシステムが決定したら、アカウントの契約を行います。
同時に、ECサイトで使用したい決済の申込やオプションを申し込みます。
<カスタマイズを実施する場合>
カスタマイズ機能の仕様を確定させ、正式な費用や納期が決まります。要件定義の作成は、ASP事業者がシステムを熟知した専任の担当者を用意しますので、EC事業者側は専門知識不要で、システムに最適な方法でカスタマイズをお任せできます。
クレジットカードの申請
クレジットカード決済等は、審査に時間を要する場合に備え、早めに申込を行うことをおすすめします。
ASP/クラウド型のECカートシステムでは、ASP側で決済モジュールが用意されている為、自社で開発する必要はなく、審査が通り次第利用開始となります。既に自社ECでクレジットカード決済を利用している場合は申請するだけで審査不要で決済を利用開始できる場合もあります。
常時SSLオプションの申込
Webサイト全体のHTTPS化は必須となっており、常時SSLオプションも早めに申し込んでおきます。
導入までには申込者の情報や、必要書類の提出が求められる場合があり、SSL証明書が発行され次第、設定が進みます。
参考:
常時SSLオプション
参考:
全ページ独自ドメインオプション
独自ドメインについて
■独自ドメイン所有状況の確認
ECサイトに設定予定のドメインについて、所有者(所有状況)の確認をしてドメインの管理画面(コントロールパネル)にログインして作業できる状態にしておきます。
■ネームサーバー設定方法の確認
ドメインの所有状況が確認できたら、ネームサーバー設定方法を確認しておきます。
※このタイミングでは、ネームサーバーの設定は行いません。設定方法を事前に確認することで、サイトオープン時にスムーズなドメイン切替が実現します。
■TTL値の設定変更
旧サーバーにてTTLの設定変更が可能かを確認し、短く設定しておきます。(サーバーによっては不可能な場合もあります。)
TTLの設定を(300等)短く設定することができれば、ドメイン切替時の波及時間(DNSの浸透待ち)短縮できます。
リダイレクト設定
ECカートシステムの変更により、下層ページなどのURLが変わる場合が往々にあります。これまで積み重ねてきたSEOを引き継ぐように、リダイレクト設定を申し込み、ドメイン切替時に備えてリダイレクト設定の準備を行っておきます。
ECサイト制作
カートシステムで用意されているCMS上でECサイトの制作を行います。無料トライアル期間に作成したレイアウトやコンテンツを継続して制作を進められる場合もあります。
新しいCMS(管理画面)での操作は慣れるまでは戸惑うかと思います。多くのECカートでは使える無料テンプレートが用意されており、無料テンプレートをベースにカスタマイズを加えていくことも可能です。
以下記事にてECサイトデザインの参考事例を商材別でまとめていますので併せてご参考ください。
ECサイトデザイン事例43選|売れるECサイトのデザインとは?
ECサイトの制作費用について詳しく知りたい方は以下記事をご参考ください。
ECサイトの制作手順や外注する場合の費用相場を解説
また制作会社を選定する際のポイントについても以下記事で解説していますのであわせてご参考いただけますと幸いです。
ECサイト制作会社の選定ポイント
各種データ登録/移管
商品情報/コンテンツの登録
商品情報やカテゴリ登録、LPや会社概要、特定商取引法などの各ページに表示させるコンテンツの登録を行います。
各ページにて設定するSEO関連のデータ(title、descriptionやh1、h2などの見出し)設定も確実に実施します。
一定のフォーマットを用いて登録できる情報は、CSV機能を活用して、一括で登録することで作業効率が格段に上がります。
またECサイトのSEO対策については以下記事で詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
SEOに強いECサイトを構築する4つのポイント
ECサイトのリプレイスでは、旧カートシステムからCSV形式でエクスポートしたデータを、移行先カートシステムのCSVフォーマットに変換(置換)してデータを加工・整形した後にインポートを実行します。
会員データ/注文履歴データの移管方法検討とテスト
旧カートシステムに蓄積されている会員データ(顧客データ)や注文データの移行が必要な場合、このタイミングでまずは移行方法の検討とテストを実施します。
(実際に作業を実施するのは、後述の「サイトオープン作業」になります。)
会員データ(顧客データ)や注文データの各詳細な項目については、旧システムからデータとしてエクスポートができれば、その多くの項目を移行先のカートシステムで引き継ぐことが可能ですが、セキュリティの都合上、暗号化されている会員パスワードやクレジットカード情報の移行は対応方法の検討が必要です。
会員パスワードやクレジットカード情報など機密性の高いデータを、EC事業者側の判断で新システムに移行してしまうことは、ECサイト利用者に不安を与えるなど逆効果に繋がる恐れもあります。
安全性だけを考えると会員ごとにユニークなパスワードを設定して個別に案内する方法もありますがかなりの手間と労力がかかるため、システムの変更に伴いこれまでのパスワードやクレジットカード情報がリセット(初期化)されることを利用者に告知し、利用者自身に再登録を促す方法が合理的かつ安全性も高いといえます。
移行方法が確定したら、数件テストを実施して本作業時に備えます。
旧カートシステムからCSV形式でエクスポートしたデータを、移行先カートシステムのCSVフォーマットに変換するなどでデータを加工・整形した後、インポートを実行します。電話番号や郵便番号のゼロ落ちやデータ区切り位置のズレが生じていないか注意しながら作業を行います。
テスト時のデータの加工作業に要する時間を測定しておくことで、本作業時に必要となる時間を想定することができます。
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諸設定
諸設定の代表的なものに以下のようなものがあります。
・アクセス解析各種必要タグの設置(参考:Googleアナリティクス(GA4)の設定方法)
・広告関連(アフィリエイト、リスティング等)設定
・在庫設定
・送料設定
・決済/手数料設定
・ポイント設定
・レビュー設定
・各種受注関連メールテンプレート設定
・納品書設定
・領収書設定
設定後は意図した内容がサイトに反映されているか、必ず動作確認を行いましょう。
また送料設定については以下記事で詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
ECサイトの送料設定で注意すべきポイントとは?成功事例・失敗事例も紹介
テスト注文/受注運用フローの確認
各種データ登録や諸設定がある程度整った段階で、テスト注文を実施します。
カート画面のUIを確認すると同時に、注文されたデータがどのように受注管理画面に反映されるのか、そしてその後の受注処理を円滑に進めるためのフローを確認しておきます。
クレジットカードの審査が通り次第、実際に有効なクレジットカードでテスト注文も実施しておきます。その際、決済処理方法についても確認が可能です。(テスト注文についてはキャンセル処理をしておきます)
サイトオープン作業
以上の工程を完了させ、ECサイトをオープンできる状態が整ったら、いよいよECサイトのオープン作業です。
オープン日の告知
ここで指すオープン日の告知とは、ASP事業者に対する連絡です。
ECサイトをオープンさせるタイミングでは、ASP事業者側で対応が必要なタスクもあります。
例えば、常時SSL設定や、管理画面上で設定できない事項の設定などです。
また、万が一のトラブル発生時においても、スムーズに対応してもらいやすくなります。
新旧両サイトをクローズ
旧カートシステムで構築していたサイトをクローズ(メンテナンス画面など)の状態にして閉鎖します。
これは、会員データ、注文履歴データの移管を行う際に、データの整合性を確保するための措置です。
カートシステム移管を知らずに訪問した利用者が、旧カートシステム側で注文操作を行ったり、顧客データを更新した際に、最新のデータが移管先のシステムに反映されないことを防ぐため、サイト全体をクローズしたくない場合でも、注文操作や会員登録、マイページへのログイン操作はメンテナンス状態にしておくことをお勧めします。
会員データの移管作業が終わるまで、移管先の新サイト側もメンテナンス表示(クローズド)に設定することで、顧客の混乱を防ぐことにも繋がります。
会員データ/注文履歴データの移管
会員データ/注文履歴データの移管方法検討とテストにて予め確認しておいた方法で、本番データを移管します。
データの移管が完了次第、新サイトのメンテナンス表示を解除してオープン状態にします。
ドメイン設定/リダイレクトの実施
予め確認しておいたドメインの管理画面(コントロールパネル)にてASP事業者から案内されたネームサーバーを設定します。
DNSが浸透され次第、独自ドメインにてECサイトが利用できる状態となります。
リダイレクトを実施する場合、ドメインの波及後に、意図した設定通りになっているか、旧URLにアクセスして動作確認も行いましょう。
以上でECサイトのリプレイスは完了となります。
またリプレイス後の運営・運用に関しては以下記事で詳しく解説していますのでご参考いただけますと幸いです。
ECサイト運営のポイントとは?5つの運用フローと成功事例を解説
その他参考情報
ECサイト構築でかかる費用やリプレイス・リニューアル成功事例については以下記事にて詳しく解説していますのであわせてご参考ください。
ECサイトの構築はいくらかかる?費用相場・方法別メリット・デメリットを解説
ECサイトリニューアル成功のポイント|売上40%増の成功事例から手順・費用まで解説
またECサイトのリプレイスで使える補助金については以下記事をご参考ください。
【2025年版】ECサイト構築・リニューアルに使える補助金5選