ECサイト運営でよくある課題と解決策とは？
売上40%増の事例も紹介

ECサイトの運営には、多くの課題が伴います。これらの課題を早期に認識し、適切な対策を講じることで、運営効率を高め、売上の向上につなげることができます。

この記事ではECサイトでよくあげられる課題を5つピックアップし、それぞれについて具体的な解決策を紹介します。

目次

1. ECサイトでよくある5つの課題
2. 売上の伸び悩み
3. カゴ落ち率の高さ
4. 顧客リピート率の低さ
5. サイトパフォーマンスの低下
6. 作業効率・人手不足
7. ECサイトの課題解決事例
8. まとめ

1.売上の伸び悩み

ECサイトを運営していて、売上が一定のレベルで停滞することがあります。新規顧客の獲得が難しい、リピート率が低い、または競合サイトとの競争が激化している場合などが考えられます。


2.カゴ落ち率の高さ

多くのECサイトで、カートに商品を入れた顧客が最後の購入に至らずに離脱してしまうケースが多く見られます。これは購入プロセスの煩雑さや、予期しない追加費用の発生が原因であることが多いです。


3.顧客リピート率の低さ

一度購入した顧客が、再度サイトを訪れる機会が少ない場合、リピート率の低さが問題となります。これには、顧客エンゲージメントの欠如や、購入後のフォローアップの不足が関与しています。


4.サイトパフォーマンスの低下

サイトの読み込み速度が遅いと、ユーザーがストレスを感じ、結果として離脱率が高くなります。画像や動画の最適化不足や、サーバーのパフォーマンス低下が原因となることが多いです。


5.作業効率・人手不足

ECサイト運営では、業務量の増加に伴い、担当者が作業負担を感じることがあります。作業の自動化が不十分であったり、担当者のスキルが追いつかない場合、業務が滞ることがあります。また、適切な人材を確保することが難しい場合も課題となります。


これらの課題は、多くのECサイトで共通して見られる問題点です。それぞれの課題に対して適切な解決策を講じることで、ECサイトの運営効率を向上させ、競争力を高めることができます。

多くのECサイトで直面する課題の一つが「売上の伸び悩み」です。新しい商品を追加しても、キャンペーンを展開しても、思うように売上が上がらないという状況は珍しくありません。こうした状況をそのままにしておくと成長の停滞を引き起こし、競争の激しい市場での地位を危うくします。

考えられる原因

売上が伸び悩む原因は複数考えられますが、主な要因として以下が挙げられます。

サイトのUX/UIの課題

ユーザーがストレスを感じる操作性やデザインは、購入意欲を削ぐ可能性があります。サイトのナビゲーションが分かりにくい、目的の商品が見つけにくい、ブランドイメージが感じられない、モバイル対応が不十分などの要因が影響します。

商品ページの最適化不足

商品ページがユーザーの期待に応えていない場合、購買行動に結びつきません。商品画像の質が低い/数が少ない、説明が不十分、レビューが少ないといったことが原因になり得ます。

ターゲット層のミスマッチ

商品やサービスが本来のターゲット層に届いていない場合、サイトに訪れるユーザーが購入に至らない可能性が高くなります。

解決策

UI・UX・サイトデザインの改善

UX（ユーザーエクスペリエンス）とUI（ユーザーインターフェース）の向上が、コンバージョン率を上げるカギです。サイトのナビゲーションをシンプルかつ直感的にしたり、商品のカテゴライズをユーザーファーストで設定することで目的の商品を見つけやすくなり、ユーザーがスムーズに購入プロセスを進められるようになります。

また、ブランドイメージを細部までサイトに落とし込むことでサイト全体を通して興味を持ってもらいやすくなります。

以下記事にて商材別でのECサイトデザイン参考事例と、考慮すべきUI・UXのポイントをまとめていますので併せてご参考ください。
ECサイトデザイン事例43選｜売れるECサイトのデザインとは？

要素を押さえた商品ページの構成

ECサイトの売上を伸ばすために、数あるページの中でもコンバージョンに近い、商品詳細ページのデザイン・構成を整備することは非常に重要です。

購入者が知りたい情報を的確に配置することはもちろん、高品質な画像・動画の活用や限定性・緊急性を伝えるメッセージ、ユーザーレビュー、SNS共有ボタンの配置も欠かせません。

また顧客の不安解消につながるため、配送予定日や送料を明示することをおすすめします。「翌日配送可能」や「送料無料」といった情報は特に目を引きます。

以下記事にて商品詳細ページの参考事例と、考慮すべき構成要素をまとめていますので併せてご参考ください。
参考にしたい商品詳細ページのデザイン43選｜売れる商品詳細ページの構成要素とは？

SEOと広告戦略の強化

ターゲット層に効果的にリーチするために、SEO（検索エンジン最適化）と広告戦略を見直します。キーワードの選定やコンテンツの最適化により、検索結果での露出を高め、見込み客の流入を促進します。

また、SNS広告やリターゲティング広告を活用し、ターゲット層への認知度を向上させます。

ECサイトでのSEO対策で重視すべきポイントについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
SEOに強いECサイトを構築する4つのポイント

また、あくまでSEOも広告も全体のマーケティングの内の一つです。 ECサイトの全般的なマーケティング施策については以下記事で解説していますので併せてご参考ください。
ECサイトマーケティングで押さえるべき基本施策5選【チェックリスト付】

データ分析の活用

売上データやユーザー行動データを分析することで、サイト運営の改善点を特定します。

例えば、どのページで離脱が多いのか、購入に至らない理由は何かを理解することで、戦略を再構築し、売上向上につなげます。

ECサイトの分析については以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。
ECサイトの分析方法とは？見るべきデータ種別・ツール活用法・成功事例を紹介

カートに商品を入れたものの、最終的に購入に至らない顧客が多いのは、多くのECサイトで見られる課題です。この「カゴ落ち率」が高いと、サイト全体のコンバージョン率が低下し、売上に大きな影響を及ぼします。

考えられる原因

カゴ落ち率が高い原因としては、以下のような問題が挙げられます。

購入プロセスの複雑さ

購入完了までのステップが多かったり、必要情報の入力ステップが煩雑であると、購入を途中で諦めてしまうユーザーが増えます。

送料や手数料の表示方法

カートに進んだ段階で予期せぬ送料や手数料が発生する場合、ユーザーは購入を取りやめることが多くなります。

サイトの信頼性の欠如

セキュリティが確保されていない、もしくはそのように見えるサイトは、ユーザーに不信感を与え、結果的に離脱を招きます。

解決策

購入プロセスの最適化

ユーザーがスムーズに購入できるよう、購入プロセスを最適化します。例えば、ワンクリック購入やゲストチェックアウトを導入することで、余計なステップを除外し、購入完了までの道のりを短縮できます。

また入力項目が多く購入ステップが複雑になりがちなギフト注文に対応する場合は、別途複数配送のステップやオプション選択のUIなどを最適化する必要があります。

ギフト注文に対応したECサイトで必要な機能の詳細は以下記事をご参考ください。
ギフトECサイト構築に必須！複数配送機能や熨斗・ラッピング、メッセージカード機能等の専用機能

費用表示の明確化

送料や手数料をカートに進む前に明確に表示することで、ユーザーに予測不可能なコストを感じさせないようにします。これにより、カゴ落ちを防ぎ、購入完了率を上げることができます。

送料設定の詳細は以下記事をご参考ください。
ECサイトの送料設定の決め方・注意すべきポイントとは？成功事例・失敗事例も紹介

信頼性の向上

サイトの信頼性を高めるために、顧客レビューを積極的に表示し、SSL証明書の導入でセキュリティを強化します。これにより、ユーザーが安心して購入できる環境を整えます。

ECサイトのセキュリティ対策については以下記事で詳しく解説していますので、よろしければ併せてご参考ください。
ECサイトで必須のセキュリティ対策とは？【2024年度末】脆弱性診断義務化

ECサイト運営者にとって、一度購入してくれた顧客が再訪しない、つまりリピート率が低いことは大きな課題といえます。新規顧客の獲得にはコストがかかるため、既存顧客が再度購入してくれることがサイトの成長には不可欠です。しかし、多くのECサイトで、顧客が一度の購入で離れてしまう現象が見られます。

考えられる原因

顧客リピート率が低い原因は、以下のような要素が関係しています。

顧客エンゲージメントの不足

購入後のフォローが不十分であると、顧客との関係が薄れ、再訪の動機が失われます。定期的なコミュニケーションが欠如している場合、顧客は他のサイトへ移ってしまう可能性があります。

アフターフォローの欠如

購入後の満足度を高めるためのフォローアップがないと、顧客は次回もそのサイトを選ぶ理由を見失います。クレームや問い合わせへの対応が遅い場合も、顧客満足度を下げる要因となります。

解決策

ロイヤリティプログラムの導入

顧客が再訪したくなるようなロイヤリティプログラムを導入することが効果的です。

例えば、購入ごとにポイントが貯まる制度や、特定の顧客に対する限定クーポンの配布などが考えられます。これにより、顧客は再度そのサイトでの購入を検討しやすくなります。

メールマーケティング

顧客の購入履歴や行動データを活用したパーソナライズドなメールを送ることで、顧客リピート率を向上させます。

例えば、新商品の案内や、前回購入した商品に関連するアイテムの提案など、顧客に合わせた内容のメールを送ることで、再購入を促進します。

カスタマーサポートの強化

購入後のフォローアップを強化することで、顧客満足度を高め、リピート率を向上させます。

例えば、購入後の感想を聞くアンケートの送付や、問題があった際の迅速な対応など、顧客が安心して利用できる環境を整えることが重要です。

ECサイトにおいて、ページの読み込み速度が遅いと、ユーザーがサイトを離脱する大きな原因となります。
特にモバイルユーザーは待ち時間に対して敏感であり、表示に時間がかかるサイトは避けられる傾向にあります。
こうした課題はコンバージョン率の低下や検索エンジンでの順位に悪影響を与える可能性があります。

考えられる原因

サイトパフォーマンスが低下する原因には、以下のような要素が考えられます。

サーバーの負荷

サーバーの処理能力が不足していると、アクセスが集中した際にページの表示速度が遅くなります。

特にセール期間やキャンペーン時にトラフィックが増加すると、サーバーが過負荷となり、パフォーマンスが低下します。

画像や動画の最適化不足

高解像度の画像や動画が多く含まれているページは、読み込みに時間がかかります。これらのメディアファイルが最適化されていない場合、ページ全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

解決策

サイトの軽量化

画像や動画ファイルの圧縮、不要なスクリプトの削除、キャッシュの利用など、サイト全体を軽量化することで、読み込み速度を向上させます。 これにより、ユーザーエクスペリエンスが改善され、サイトの離脱率を減少させることができます。

サーバーのアップグレード

高トラフィックに対応できるよう、サーバーの性能を向上させることが重要です。

またカートシステムを利用する場合はスケーラブルで高性能なサーバー（AWSなど）で稼働しているシステムを導入することで、アクセスの急増にも柔軟に対応できます。 AWSで稼働するカートシステムの代表例としてはクラウド型ECサイト構築ASP「aiship」があります。

AWSで稼働するカートシステム「aiship」の詳細はこちら

CDNの導入

コンテンツ配信ネットワーク（CDN）を利用することで、世界中のユーザーに対して高速でコンテンツを提供することが可能になります。これにより、ユーザーの待ち時間を短縮し、サイト全体のパフォーマンスを向上させます。

ECサイトの運営では業務が多岐にわたるため、作業効率が低下し、スタッフが作業に追われる状況が続くと、サイト運営全体に支障が出ることがあります。また、慢性的な人手不足も業務の遅延や品質の低下を引き起こす要因といえます。

考えられる原因

作業効率の低下や人手不足の原因として、以下の要因が挙げられます。

業務の自動化が不十分

商品管理、在庫管理、受注処理、出荷作業などの業務が手動で行われている場合、時間がかかり、エラーの発生も増えます。自動化ツールの導入が遅れていると、業務負担が大きくなり、生産性が低下します。

スタッフのスキル不足

新しいツールや技術を導入しても、スタッフがそれを十分に活用できない場合、効率的な運営は難しくなります。

特に、ITスキルやデータ分析スキルが不足していると、業務効率が低下しやすいです。

業務量の増加に対応しきれていない

ECサイトの成長や季節的なキャンペーンによるトラフィック増加に対して、人的リソースが不足していると、業務が滞りがちです。これが原因で、顧客対応や発送業務が遅延し、顧客満足度の低下につながります。

解決策

業務の効率化/自動化

商品管理や在庫管理、受注処理、出荷作業などの業務を効率よく行えるツールを導入することで、作業時間を短縮し、ミスを減らすことができます。

ASPのカートシステムでもこれらの管理機能は搭載しているものが多いため、自社に合ったシステムを導入することで業務の効率化が図れます。

例えば出荷作業においては、ピッキングリスト（出荷指示書）を活用して正確かつ効率的に運用することでコスト削減だけでなく、顧客満足度向上にも直結します。

アウトソーシングの活用

人手不足に対処するために、特定の業務を外部に委託することが有効です。

例えば、カスタマーサポートや物流業務をアウトソーシングすることで、コア業務にリソースを集中させることができます。これにより、業務全体の効率を向上させることが可能です。

スタッフのスキルアップ

定期的なトレーニングや研修を通じて、スタッフのスキルを向上させることが重要です。

新しいツールや技術を導入する際には、スタッフがそれを適切に活用できるように、研修プログラムを整備することが推奨されます。また、継続的なスキル向上を促進することで、業務効率の改善に寄与します。

お米のギフトEC「八代目儀兵衛」様

・「お米の価値観を変える」をビジョンとしている
・お米のギフト化を実現したブランディング戦略を実施
・EC全体のうち本店サイト売上が約6割を占める
・オープンソースシステムからリニューアル後、初月前年比140%、通年で売上前年比120%を実現

課題と解決策

［1］ カートUI

〈課題〉
注文時に贈られる状態を想像できることが重要だがUIが悪く想像しにくい。

〈解決策〉

のし、ラッピング、メッセージカードなどギフト特有のオプションを目的に沿って表示しユーザーが最適なものを選択できるUIを搭載。

［2］サイトのビジュアル

〈課題〉
ビジュアルが弱かったため、注文者は買い物するときに、ワクワクしない。
例えばインスタで見て、サイトに訪問してきたけど、使いにくいという意見をいただくこともあった。

〈解決策〉

トップページの写真は星のや京都で撮影、法事用の商品は京都東山の圓徳院で撮影し、京都らしさにこだわることで注文する方が選んでいる際にもワクワクしてもらえるようにした。

［3］マーケティング

〈課題〉
オープンソースのシステムで構築されていてソースコードも煩雑、仕様書もないためSEO対策もまともにできない。

〈解決策〉
CMSを使いしっかりとSEO対策ができる状態にした。

株式会社ロマンライフ様
（マールブランシュ オンラインショップ 運営）

・京都の洋菓子店でもトップブランドの「京都北山マールブランシュ」を展開
・パッケージシステムからリニューアル後、売上拡大
・オムニチャネルなど戦略的EC強化でコロナ禍でも売上を拡大

課題と解決策

［1］ 地域色の強いブランド展開

〈課題〉
ブランディングという点において、ECは難しい。地域の限定性が強い商品はその特徴が失われるし、デザインやUIを工夫しないと、実店舗に近いWEB接客は実現できない。

〈解決策〉
サイトの隅々までデザインカスタマイズできる自由度の高いCMSを備える「aiship」により、ブランドの世界観を正確に表現。
クリエイティブ面だけでなく、ユーザーの要望が複雑になりがちなギフト向けの熨斗設定や商品を複数のお届け先にスマホでも簡単に指定できるなど、ユーザが迷いにくく注文しやすいカートステップとUIにこだわり、ECサイト全体をスマホファーストで設計、レスポンシブデザインで構築した。

［2］ ギフト対応

〈課題〉
ギフトの需要が非常に多く、売上の7割を占めているため、一度の購入で複数の配送先を指定するなど、ギフトならではの機能が必要になる。
また、ギフト用途のお客様は『絶対に失敗したくない』という想いが強く、より具体的にイメージできるものを求めている。

〈解決策〉
注文時にリアルタイムで熨斗のデザインや入力された文字を表示する機能により、ユーザーが購入時にイメージしやすいように設計。
また、ひとつの注文で複数の配送先を設定できるようにするなど、ギフトの細かなニーズに応える仕様を作り上げ、ギフトユーザーが使いやすいよう工夫。さらに熨斗をCSVデータで一括印刷できるようにするなど、バックオフィスの運用改善も実現した。

ロマンライフ様 成功事例インタビューはこちら

今回の記事では、ECサイト運営における5つの主要な課題と、それぞれに対する解決策、また実際に課題を解決した事例を取り上げました。

ECサイトの成功には、これらの課題に対する継続的な改善が不可欠です。技術や市場の変化に対応し、最新のトレンドやテクノロジーを取り入れることで、競争力を維持することができます。

特に、データ分析やAIの活用は、今後のECサイト運営において重要な役割を果たすでしょう。顧客のニーズをキャッチアップし続けて柔軟な運営戦略を展開することが、長期的な成功の鍵となります。

また現状のシステムでは解決できる機能がなかったり、莫大な対応コストがかかる場合はECサイトのリニューアルをおすすめします。

ECサイトのリニューアルをご検討の際は以下の記事もご参考ください。
ECサイトリニューアル成功のポイント｜売上40%増の成功事例から手順・費用まで解説

ECサイト運営全体のポイントについては以下の記事もご参考いただけますと幸いです。
ECサイト運営のポイントとは？5つの運用フローと成功事例を解説