WordPressを使ったECサイト構築でおすすめの方法は?事例付で特徴を比較解説
2024年7月3日2024年11月25日
ECサイトの構築において、WordPressは柔軟なカスタマイズ性と豊富なプラグインの存在から、導入を検討する事業者も多いです。
しかし、WordPressの利用といっても様々な方法があり、それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあります。
本記事では、WordPressの具体的な利用方法を紹介して、特徴を比較しながらどのような場合にどういった方法を選ぶべきかを解説します。
事業規模や運営体制に合わせた最適な方法を見つける際の参考にしてください。
WordPressでECサイトを構築する方法
専用プラグインを利用する方法
代表的なプラグイン例
■ WooCommerce(https://woocommerce.com/)
WooCommerceは、世界的に最も利用されているWordPress向けECサイト構築プラグインです。豊富な拡張機能が用意されており、グローバル展開するビジネスに適しています。無料で利用可能ですが、有料アドオンを導入することでさらに高度な機能を追加できます。
■ Welcart(https://www.welcart.com/)
Welcartは、日本国内でのECサイト構築に特化したプラグインで、完全日本語対応が特徴です。特に国内の法律や商習慣に合わせた設計になっており、日本の顧客をターゲットとするECサイト運営に適しています。
導入手順
1. プラグインのインストール
WordPress管理画面の「プラグイン」からWooCommerceまたはWelcartを検索し、インストール後、有効化します。
2. 決済機能やデザインテーマの設定
・WooCommerceの場合: PayPalやStripeなどの多様な決済機能を設定可能。無料または有料テーマを選択してデザインを整えます。
・Welcartの場合: 国内銀行振込や代金引換など、日本の商習慣に合わせた決済方法をサポートしています。
3. 商品情報の登録と確認
商品画像や説明を登録し、動作確認を行います。
メリット
■ 低コストでスタート可能
プラグイン自体は無料で利用でき、初期費用を抑えられます。
■ 機能拡張が容易
必要な機能はアドオンとして追加可能。例えば、WooCommerceでは多言語対応やサブスクリプション機能も簡単に導入できます。
デメリット
■ セキュリティリスク
WordPressは利用者が多いため攻撃対象になりやすく、プラグインも最新のセキュリティ更新が必要です。
■ カスタマイズには専門知識が必要
特に高度なカスタマイズを行う場合、HTMLやCSS、PHPの知識が求められることがあります。
独自テーマや設計での構築する方法
独自テーマや設計を採用する場合、WordPressをベースに完全オリジナルのECサイトを構築できます。この方法は、コードやデザインに精通した専任の開発者がいる場合に適しています。
メリット
■ 柔軟なカスタマイズ
自由度が高く、他のサイトとの差別化が容易です。独自のUI/UXや高度な機能を盛り込むことができます。
デメリット
■ 構築のハードルが高い
初期の開発コストや保守コストが高くなる可能性があり、設計やメンテナンスに時間もかかります。またセキュリティ対策の更新も自社で実施する必要があります。
事例
WordPressでプラグインを活用してECサイトを構築している事例を紹介します。
まんじゅう処 おおあみ
きのとやオンラインショップ
URL:https://www.kinotoya.com/shop/
専用プラグインを利用した方法は、コストや導入の容易さから初心者に適しており、特にWooCommerceやWelcartの導入は選択肢としておすすめです。
一方で、独自テーマを採用する方法は自由度が高いものの、開発リソースが必要です。事業規模や予算に応じて、最適な方法を選択してください。
ECカートシステムとWordPressを併用する方法
この方法では、ECサイトのメイン機能(商品登録、決済、発送管理など)をASP型のカートシステムに依存し、ブログや情報発信の部分をWordPressで運営します。
・ECサイト本体はASPカートを利用
Shopify、BASE、aiship等のASPは、決済、在庫管理、モバイル対応など、EC運営に必要な機能をオールインワンで提供します。
・ブログでWordPressを利用
WordPressは記事作成やSEO対策に強みを持つため、商品情報やマーケティングコンテンツを効率よく配信できます。
運用のポイント
例えばShopifyを利用する場合は、プラグインを活用して両者を連携させ、シームレスな体験を構築可能です。
またaishipを利用する場合は、プラグイン等は不要でECサイトのドメイン配下にWordpressを設置することが可能です。ECサイトとWordPressを同じドメインで運営することは、SEOの観点からも有効でありECサイトとの親和性を高めることができます。
メリット
■ 高いセキュリティ水準や機能性
ShopifyやBASE、aishipなどのASPカートシステムは、高度なセキュリティ対策が施されており、PCI DSS準拠の安全な決済を提供しています。また、在庫管理や分析ツールなど、運営を効率化する機能が充実しています。
■ SEO対策の容易さ
WordPressは、検索エンジンに適した記事構造を簡単に作れるほか、Yoast SEOなどのプラグインを使用することでSEO対策が強化できます。また商品レビューや活用事例など、ブログコンテンツを通じて顧客との接点を増やすこともできます。
■ 運用が比較的簡単
ASPカートは直感的操作で設定ができ、初心者でも短期間でECサイトを構築・運用できます。一方、WordPressも豊富なテーマやプラグインがあり、初心者でも容易にブログを運営できます。
デメリット
■ 管理の二重化
ASPカートシステムとWordPressは別のプラットフォームで運用されるため、更新や管理が二重化します。例えば、商品情報の更新を商品ページとブログでそれぞれ別の管理画面から行う必要があるため手間が増えます。
■ 複数サービスの利用料が発生する
ASPカートの利用は月額費用がかかる場合が多く、WordPressでも有料プラグインやテーマを利用する際には追加コストが発生します。これらを合算すると運営費用が高くなる場合があります。
この方法は、ASP型カートシステムの使いやすさとWordPressのコンテンツ発信力を組み合わせた形で、ECサイトの機能性は担保しつつSEOをはじめとしたコンテンツマーケティングに力を入れたい企業に適しています。
しかし、運営効率や費用面で課題があるため、事前にそれぞれの役割や費用を明確にしてから導入することが重要です。
事例
WordPressのレイアウトをECサイトにあわせている事例
ヘッダーやフッター、サイドメニューをECサイトと統一しており、統一感のあるテイストで運用されている事例になります。ECサイト同様、WordPressのテンプレートもレスポンシブで構築されています。
京都の洋菓子店でもトップブランドの「京都北山マールブランシュ」
ECサイト:https://www.malebranche-shop.jp/
WordPress:https://www.malebranche-shop.jp/contents/
おしゃれなレンタルドレスをセレクトした「HAUTE rent to runway」
ECサイト:https://shop.hauterenttorunway.jp/
WordPress:https://shop.hauterenttorunway.jp/recommend/
ECサイトとWordPressのレイアウトが異なる事例
ECサイトとWordPressサイトは、それぞれで目的が異なる為、必ずしもレイアウトを揃える必要はありません。WordPressはブログに最適化して、各記事のコンテンツ間で回遊しやすい設計にしている事例がこちらです。
カーテン通販のくれない
ECサイト:https://www.e-kurenai.com/
WordPress:https://www.e-kurenai.com/9071blog/
WordPressのレイアウトをECサイトに合わせる方法
ECサイトとWordPressを統一感のあるレイアウトで構築したい場合は、それぞれの構築方法の特徴を理解し、HTML、CSS、JavaScriptの基本を理解できていれば、おおよそはソースのコピー&ペーストにて実現可能です。
ここからは具体例としてクラウド型ECサイト構築ASP「aiship」で構築したレイアウトにWordPressのレイアウトを合わせる方法を紹介します。
具体的な手順としては、以下のように進めていきます。
<ECサイトのレイアウト調整>
① aishipのCMS内でECサイト側のレイアウトを作成
② サイトの要素を機能パーツと呼ばれるパーツ単位で構築
③ ヘッダー、フッター、アサイドの各エリアにそれぞれパーツを配置してレイアウトを作成
④ レスポンシブ対応の為、1つの機能パーツを作成するだけで全デバイスに反映され、最適化表示が可能
<WordPressのレイアウト調整>
⑤ ブラウザ上でソースを開き、レイアウトに該当するソースを選択しコピー
⑥ WordPressの管理画面内、ヘッダーやフッター、アサイドに該当するファイルを開き、コピーしたソースを適切な位置にペースト
⑦ ペーストしたソースにCSSやJavaScriptがあたるように調整
(ECサイト内のCSSやJavaScriptを読み込ませる為にWordPressのヘッド内にCSSやJavaScriptの参照リンクを設置するという方法も有効です)
⑧ 動作確認し、CSSやJavaScriptが効いていない場合は、WordPressのCSSやJavaScriptファイルを編集して調整
WordPressのみ利用とカート併用の比較
WordPressのみでECサイトを構築する場合とASPカートシステム(Shopify、BASE、aishipなど)との併用について、費用、セキュリティ、運用のしやすさの観点で比較してみました。
比較項目 | WordPressのみで構築 | ASPカートとの併用 |
---|---|---|
費用 | プラグインやテーマの利用は基本無料だが、有料プラグインやカスタマイズで費用が増加する可能性がある。 | ASPカートの月額費用(例: Shopify $29~、BASEは基本無料、aishipは9,800円〜)+ WordPressの運用費用。 |
セキュリティ | オープンソースのため、最新のセキュリティ更新が必要。 | ASPカート側で高度なセキュリティ対策(PCI DSS準拠)が整備されている。 |
運用のしやすさ | サイト全体の管理が一元化できるため効率的。ただし技術的知識が求められる。 | ASPカートは初心者でも使いやすく、多くの機能を搭載していて、設定が直感的。ただし、ツール間の管理が分散しやすい。 |
費用
WordPressのみで構築する場合は、基本的なプラグインは無料で利用できますが、専用プラグイン(WooCommerceなど)のアドオンや高度なカスタマイズを行うと追加費用がかかります。
一方、ASPカートと併用する場合、ASPカートの月額料金や手数料が必要になりますが、WordPress側のコストは抑えられることが多いです。
ECサイト構築でかかる費用については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご参考ください。
ECサイトの構築費用はいくら?方法別の相場と内訳を解説
セキュリティ
WordPressはオープンソースであり、多数の開発者が関わっているため、脆弱性が狙われるリスクがあります。定期的な更新が必須です。
一方、ASPカートはプロバイダーがセキュリティを管理しているため、決済等も安心して利用できる傾向があります。
運用のしやすさ
WordPressのみの場合は一元管理が可能ですが、カスタマイズ性を活かすには技術的な知識が必要です。
一方、ASPカートを併用する場合は開発不要で多くの機能を使える点が魅力的ですが、カートとブログの間で情報更新を分ける手間は発生します。
まとめ
以上の特徴を踏まえると、まずはミニマムの機能で手軽にECサイトを初めてみたい方にとってはWordPressのみで構築する方法もおすすめです。
一方で本格的にECサイトで売上を上げていきたい事業者には機能性とセキュリティの観点からASPカートとの併用を強くおすすめします。
またASPカートにもサービスによって様々な特徴があるため、ビジネスの規模や運営リソースに応じて、適切な方法を選択するのがポイントです。
主要なASPカートの一覧と比較については以下の記事で解説していますので、併せてご参考ください。
ECカートシステムの比較・選定ポイント【主要21サービス一覧表付】