ECサイトの運営において、受注処理、在庫管理、出荷手配、売上集計など、日々の業務は多岐にわたります。これらの業務を効率的に回すためには、ECサイト単体ではなく、基幹システムやPOS、在庫管理システムなど他の業務システムとの「連携」が不可欠です。
連携がうまく構築されていないと以下のような課題が発生し、非効率な運用になってしまいます。
・ECで受注した情報を手動で基幹システムに入力する
・在庫の二重管理が発生する
・リアルタイムな売上集計が難しい
これは人的リソースを圧迫するだけでなく、ヒューマンエラーによるトラブルや、機会損失にもつながりかねません。
こうした課題を解決する手段として、注目を集めているのが「API連携」です。
API(Application Programming Interface)とは、異なるシステム間でデータや機能を連携するための仕組みです。ECサイトと他の業務システムをAPIで接続することで、情報の自動連携やリアルタイム更新が可能になります。
最近では、SaaS型のECカートや業務システムでもAPIを標準で提供しているサービスもあり、従来のような複雑な開発やカスタマイズを行わなくても、比較的スムーズに連携が実現できるようになってきています。
今回は、ECサイトと他システムをAPIで連携させる方法について、以下の2つのパターンに分けて特徴やメリット/デメリット、導入フローを解説します。またAPI連携を成功させるポイントについても紹介します。
① ECサイト側が提供しているAPIを利用する場合
aiship、Shopifyなど、ECカートシステムが用意しているAPIを使って外部システムと連携する方法
② 連携先のシステムが提供しているAPIを利用する場合
基幹システム、在庫管理システム、POS、ERPなど、外部の業務システムが提供しているAPIを使ってECサイトと接続する方法
API連携の導入を検討している方、または現在のECサイト運用の効率性に課題を抱えている方は、ぜひご参考いただけますと幸いです。
- API連携の定義と基本的なメリット
- 連携方法① ECカートシステム側が提供しているAPIを利用する
- 連携方法② 連携先のシステムが提供しているAPIを利用する
- API連携を成功させるためのポイント
- まとめ
目次
API連携の定義と基本的なメリット
APIの基本定義と仕組み
API(Application Programming Interface)とは、異なるソフトウェア同士が情報や機能をやり取りするための“橋渡し”となる仕組みです。
ECサイトにおけるAPIは、例えば「在庫数を確認する」「注文情報を取得する」「商品情報を登録する」といった操作を、他のシステムから自動で実行できるようにするものです。
システムAが「〇〇の情報がほしい」と伝えると、APIがそのリクエストを受け取ってシステムBに伝え、必要なデータを取り出して返す、という流れになります。
従来は手動やCSVで行っていたシステム間のデータ連携を、APIを使うことで自動化できるというのが大きな特徴です。
イメージとしては、レストランの注文を例にするとわかりやすいでしょう。APIは「ホールスタッフ」のような役割を果たします。
<レストランの注文に置き換えた例>
レストランでは、利用客が「〇〇の料理がほしい」と伝えると、ホールスタッフがその注文を受け取ってキッチンスタッフに伝え、注文された料理を受け取って利用客に提供する、という流れがあります。
そのため利用客は直接注文を厨房まで伝えに行ったり、取りに行く手間は必要なく提供を受けることができます。
連携する主なデータと処理
<主なデータ>
・顧客データ
・商品データ
・在庫データ
・受注データ
・出荷データ
<主な処理>
・登録処理
・取得処理
・更新処理
・削除処理
API連携の代表的な用途
ECサイトでは、業務ごとにさまざまなシステムを利用しているケースが多く見られます。そのため、API連携は以下のような場面で活用されています。
・在庫管理システムとの連携
商品の在庫数をリアルタイムで更新し、売り越しや在庫切れを防止
・受注管理システムとの連携
ECで受けた注文データを基幹システムに自動で登録
・商品情報管理(PIM)との連携
複数のモール・ECサイトに商品情報を一括展開
・顧客管理システム(CRM)との連携
購入履歴を元にしたメルマガ配信や分析の自動化
・決済システムとの連携
多様な決済手段を安全かつスムーズに提供するために、決済代行サービスとAPI連携
これらの業務をAPIで連携することで、手動作業の手間を減らし、正確かつ迅速に処理が行えるようになります。
ECサイト特有の在庫管理の課題とポイントや、在庫管理システムの導入を検討する際に参考になる具体的なサービスごとの特徴・料金については以下の記事にて解説していますので、よろしければ併せてご参考ください。
【2025最新】ECサイトの在庫管理システム8選を徹底比較【一覧表付】
ECサイトをAPI連携させる代表的なメリット
データのリアルタイム同期
APIを使えば、システム間のデータをリアルタイムまたは短時間で同期することができます。
例えば、POSで売れた商品が即座にECサイト側の在庫に反映されれば、売り越しや在庫不足によるクレームを防止できます。これにより、販売機会を逃さず、在庫ロスのリスクも低減されます。
業務効率化と自動化
API連携によって、データの転記や登録といった繰り返し作業を自動化できます。これにより、スタッフの作業負担を軽減できるだけでなく、より重要な業務に集中する時間を確保できます。
また、連携の一部をスケジュール化して定期的に実行することも可能です。
顧客満足度向上
在庫情報や配送状況などがリアルタイムで正確に管理されていれば、ユーザーに対する情報提供の精度が向上し、信頼性の高いサービスを提供できます。
注文後のステータスが即時反映されたり、在庫切れ商品を誤って購入されることがなくなるなど、顧客体験の質が向上します。
ヒューマンエラーの削減
手入力による処理は、どうしてもミスが発生しやすくなります。API連携によりシステム同士が直接データをやり取りすることで、入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。
これは特に、受注処理や会計処理のようなミスの影響が大きい場面で重要なポイントです。
上記のメリットに加えて、特に最近では、ネットで注文して店舗で受け取る「店舗受取(BOPIS)」や、ECサイトと連動した在庫確認・取り置きサービスなど、オンラインとオフラインをまたぐ購買体験が一般化しており、
多くの企業において、実店舗とECサイトの垣根をなくし、両者をうまく連携させた「OMO型の施策」の実現が重要視されています。
ECサイトと実店舗の連携を通じて、顧客満足度の向上や売上の最大化を図りたいとお考えの事業者の方は、ぜひご参考ください。
ECサイトと実店舗の連携で実現できる施策8選
ここからは、API連携の方法について、以下の2つのパターンの特徴と具体的な実装方法を詳しく解説していきます。
① ECカートシステム側が提供しているAPIを利用する方法
② 連携先のシステムが提供しているAPIを利用する方法
連携方法① ECカートシステム側が提供しているAPIを利用する

概要と特徴
最も一般的なAPI連携のパターンが、ECサイト(ECカートシステム)側が提供するAPIを、連携先システムが利用するという形です。
この方法では、aishipやShopifyなど、APIを公開しているECカートシステムがデータの“提供元”となり、連携先である基幹システムや在庫管理システムが、そのAPIを叩いて必要なデータを取得・送信します。
あくまでAPIの主導権はEC側にあり、その仕様に合わせて他システム側が連携処理を設計・実装する形になります。
メリット
この連携方法には以下のようなメリットがあります。
EC側の仕様に基づいた安定した連携が可能
ECカートシステムの提供元が公式に提供するAPIを利用するため、仕様変更やサポート体制が整っており、長期的に安定した運用が可能です。APIのバージョン管理や更新情報も公開されることが多く、安心して利用できます。
APIがマニュアル化されており、実装しやすい
APIが公開されているECカートシステムでは多くの場合、開発者向けの仕様書やサンプルコードが用意されているため、システム開発担当者が比較的スムーズに実装に取り組めます。必要なAPIエンドポイントやパラメータが明確で、対応の難易度が抑えられる点も魅力です。
デメリット
一方でデメリットとしては以下の点が挙げられます。
連携先のシステムに合わせた個別対応が難しい
EC側のAPI仕様が優先されるため、外部システムの要件に柔軟に対応しにくいことがあります。
API提供側の制限に縛られる
利用可能なエンドポイントやリクエスト制限、更新頻度など、仕様や上限があらかじめ定められており自由度が低いことがあります。
大規模連携にはカスタマイズが必要になる場合も
特殊な連携や大量データ処理が必要な場合、標準APIでは足りず追加開発が必要になることがあります。
この方法で連携するためには利用するECカートシステムの提供側がAPIを公開していることが前提となります。
弊社の提供するクラウド型ECカート「aiship」では、APIを公開しているため、OMS・店舗連携を始めとした、ECでの各種ツールと連携し、 スムーズなEC運営を実現できます。
ECサイトの運営には、構築・集客・注文の管理それぞれに作業工数が大きくかかります。
また複数のツールと相互に連携した機能拡張が当たり前になっています。
aishipではAPIを用いたシステム連携を行い、様々なソリューションと組み合わせてご利用いただけます。
aishipでのAPI連携の詳細はこちら

クラウド型ASP「aiship」の3点セット
資料ダウンロード
aishipの「特徴・事例」「機能一覧」「料金」がまとめてわかる3点セット資料ダウンロードはこちらから!
代表的な連携先と連携例
ECサイトのAPIを活用して連携する代表的なシステムと、その連携例は以下の通りです。
連携先システム | 連携内容の例 |
---|---|
基幹システム(ERP) | ECのAPIから受注データを取得し、販売管理に反映 |
在庫管理システム | ERP側がECのAPIを呼び出して在庫数を更新 |
POSシステム | 実店舗とECの在庫・売上を統合管理 |
WMS(倉庫管理) | 受注データをもとに出荷指示を自動連携 |
会計ソフト | 受注情報や売上データを仕訳連携 |
例えば、在庫管理システムがECカートシステムのAPIを定期的に呼び出し、最新の販売数を取得して自動で在庫数を更新することで、在庫の過不足や売り越しの防止につながります。
API連携導入のフロー
このパターンでAPI連携を導入する際の一般的なフローは以下の通りです。
1. 連携要件の整理
連携したいシステムの種類(例:ERP、WMSなど)と、必要なデータ項目(商品情報・在庫数など)を洗い出す。
2. EC側API仕様書の入手と読み込み
設計原則(REST・SOAPなど)や、認証方式(APIキー・OAuthなど)、利用上限などを確認。
3. 実装方式の選定
連携先システムが直接APIを呼び出すか、ミドルウェア・iPaaS(例:Zapier、Anyflow、ECコネクターなど)を介すか検討。
4. 認証情報の取得(APIキーなど)
APIの利用には認証が必要です。プラットフォームの管理画面や開発者ポータルからAPIキーやアクセストークンを取得します。OAuth認証が使われているケースもあります。
5. 連携先システムでAPI呼び出し処理の開発
連携先(基幹システムなど)の側で、APIを呼び出すプログラムを開発します。必要に応じて、JSON形式のデータの送受信や、エラーハンドリングの設計も行います。
6. テスト・本番反映
まずは開発環境やテスト環境で動作確認を行い、問題がなければ本番環境で連携を稼働させます。初期はモニタリングを強化し、エラーや同期遅延がないかを確認することが重要です。
連携方法② 連携先のシステムが提供しているAPIを利用する

概要と特徴
もう一つの主要なAPI連携パターンが、連携先のシステム(ERP、WMS、POS、CRMなど)が提供するAPIを、ECサイト側が利用する形です。
この方式では、連携先である業務系システムがAPIを公開しており、ECサイト側がその仕様に合わせてデータを送信・取得する処理を構築します。
例えば、受注データをERPに登録する、CRMに顧客情報を送るといった操作を、ECサイトから能動的に行うイメージです。
主導権は外部システム側にあり、そのAPI仕様に沿ってEC側の開発を進める必要があります。
メリット
このパターンは特に業務系システムとの高度な統合が求められる、中・大規模なECサイトで採用されるケースが多く、以下のようなメリットがあります。
業務系の基幹システムとの深い連携が可能
販売管理や物流など、全社業務の中核を担う基幹システムとデータ連携することで、業務全体の自動化・最適化が可能になります。ECサイトが業務フローの一部としてシームレスに機能するようになります。
拡張性・柔軟性が高く、既存業務フローにフィットしやすい
API提供元である業務システムは、一般的に独自の業務ロジックやルールを組み込んだ柔軟な仕様となっていることが多く、既存のワークフローに合わせやすいのが特徴です。EC側がそれに合わせて連携処理を調整することで、システム間の違和感なく運用できます。
既に他業務と連携しているAPIを使えるため、全社最適化に向いている
例えば、ERPが社内の複数部署で活用されており、すでに販売・在庫・会計などと連携している場合、ECだけが独立せず、全社的なデータ統合・整合性が保たれやすくなるという利点があります。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の観点からも有効です。
デメリット
一方でデメリットとしては以下の点が挙げられます。
ECサイト(カートシステム)側の開発負担が大きくなる
外部システムの仕様に合わせて、ECサイト(カートシステム)側で独自実装を行う必要が出てくる場合があり、開発や保守の工数・コストが増加します。
仕様が複雑で学習コストが高い場合も
業務系システムによってはAPIの仕様が複雑で、技術的なリソースが少ない場合には扱いづらいことがあります。
連携対象ごとに個別対応が必要
各システムでAPIの仕様や認証方法が異なるため、連携のたびに新たな設計・開発が必要になります。
この方法でAPI連携行うと拡張性・柔軟性が高く、既存業務フローにフィットさせやすいというメリットがある一方で、多くの場合、各システムごとのフォーマットや認証方式に対応するための開発が必要になり、数百万単位のコストや数ヶ月〜年単位の時間を要します。
各システムごと仕様を変換してスムーズに連携させるためには、iPaaSと呼ばれるクラウド上で複数のアプリケーションやサービスを連携・統合するサービスを導入して連携するのが一般的ですが、中小規模のEC事業者にとっては費用対効果やリソースの問題も考慮すると導入のハードルが高く、連携を断念せざるをえない場合が多いのが現状です。
そうした状況を踏まえ弊社では、ECカート「aiship」の提供に加えて、異なるシステム間でAPIを活用したデータ連携を容易にするための専用プラットフォームの提供開始を予定しています。
(2025年5月末リリース予定)
専用プラットフォームを利用することで、専門知識がなくてもローコードで簡単に各システムのAPI連携を実現できます。
また「aiship」の機能として「Webhook機能」の提供も同時に開始する予定です。
Webhook機能を活用することで、ECサイト上で発生したイベント(例:注文の確定、会員情報の更新など)を、即座に外部システムに通知できます。
例えば、以下のような連携が可能です。
・注文が確定した際に、外部の受注管理システムへ通知する
・新規会員登録が行われた際に、外部の会員管理システムへ通知する
これにより、EC事業者はデータ連携のタイムラグを解消し、業務の自動化を推進できます。

クラウド型ASP「aiship」の3点セット
資料ダウンロード
aishipの「特徴・事例」「機能一覧」「料金」がまとめてわかる3点セット資料ダウンロードはこちらから!
代表的な連携先と連携例
このパターンでよく見られる連携先と連携内容は以下の通りです。
連携先システム | 連携内容の例 |
---|---|
ERP(販売・在庫管理) | ECサイトでの受注をリアルタイムでERPに登録し、在庫引き当てを実施 |
会計システム | 売上データを定期的にAPI経由で送信し、自動仕訳を実行 |
WMS(倉庫管理) | 商品出荷ステータスを取得し、ECサイトのマイページに反映 |
CRM・SFA | 新規会員情報や購入履歴をCRMに送信し、マーケティング施策に活用 |
配送システム | 送り状発行APIを叩き、自動で出荷伝票を作成 |
具体的な連携例としてはECカートシステムと「送り状発行システムB2クラウド」の連携があります。
「送り状発行システムB2クラウド」はヤマト運輸株式会社が提供する、宅急便の送り状やネコポスの宛名ラベルを、EC事業者様自身が利用されているプリンタを利用して発行いただけるサービスです。
B2クラウドのAPIを利用することで、EC事業者はEC業務関連のシステムと「送り状発行システムB2クラウド」を別々に利用することなく、EC業務関連のシステムから直接送り状が発行でき、送り状発行済データの連携も自動で行われます。
これまで手入力やCSV連携により手動で連携していたB2クラウドとの連携を自動でおこなえるようになり、送り状発行作業の効率化が図れます。
弊社の提供するECカート「aiship」では「送り状発行システムB2クラウド」とのAPI連携に標準で対応した「B2クラウドAPI連携機能」を提供。EC事業者側で実装等は不要で利用することができます。
aishipからB2クラウドへの注文情報の連携、B2クラウドからaishipへの出荷実績(送り状番号、配送会社)の登録をaiship管理画面から自動で行うことができます。
「B2クラウドAPI連携機能」の詳細はこちら
API連携導入のフロー
このパターンでAPI連携を導入する際の一般的なフローは以下の通りです。
1. 既存業務フローとの整合確認
ERPやPOSなど基幹システム側の処理と、ECサイトの業務との連動箇所を明確にする。
2. 外部システムAPIの仕様確認
連携先である業務系システムの開発元またはベンダーから、API仕様書を取得し、APIのエンドポイント、認証方式、データ形式(主にJSONやXML)などを確認します。
3. EC側の実装計画策定
既存のCMSやカートに組み込む形か、APIゲートウェイ/バッチ処理で外部連携するかを検討。
4. ECサイトのカスタマイズやミドルウェア経由でAPI呼び出し実装
ECサイトにカスタマイズを加えたり、ミドルウェア(ETLツールやiPaaSなど)を利用して、APIを呼び出す処理を構築します。定期バッチ処理やリアルタイム連携(Webhook連動)を組み合わせるケースも多く見られます。
5. 定期連携バッチ・Webhookなどとの組み合わせも検討
リアルタイム性が求められる処理(出荷通知など)はWebhookで即時連携、それ以外の大量データ(売上集計など)は夜間バッチ処理で定期連携するなど、処理内容に応じた組み合わせ設計がポイントです。
6. テスト・本番反映
まずは開発環境やテスト環境で動作確認を行い、問題がなければ本番環境で連携を稼働させます。初期はモニタリングを強化し、エラーや同期遅延がないかを確認することが重要です。
API連携を成功させるためのポイント
ECサイト(カートシステム)と各種システムをAPIで連携するにあたり、設計・開発・運用の各フェーズで注意すべき重要なポイントがあります。
ここでは、セキュリティや運用面、開発体制の選定など、API連携を円滑かつ安定して行うための実践的なポイントを解説します。
セキュリティ対策(認証、暗号化、通信制御)
APIはシステム間の情報をやり取りする入り口であるため、適切なセキュリティ対策は不可欠です。
・認証方式の選定
APIキー、OAuth 2.0、Basic認証など、連携先の仕様に応じた認証方式を採用します。OAuth 2.0のようなトークンベースの認証は、安全性が高くおすすめです。
・通信の暗号化
HTTPSによる通信の暗号化は必須です。SSL証明書の適切な設定を行い、通信データの盗聴や改ざんを防ぎます。
・IP制限やリクエスト制御
通信元IPを制限したり、リクエストの頻度を制御することで、不正アクセスやDDoS攻撃への対策が可能です。
障害発生時の対応フロー構築
API連携では、外部要因によって一時的な通信エラーや仕様エラーが発生する可能性があります。
・リトライ処理の実装
一時的な失敗に備えたリトライ処理(例:5xx系エラー時に数秒後再実行)を組み込みます。
・ログ記録とアラート
失敗したリクエストやエラーのログを残し、異常を検知できるようにします。重要なエラーにはメール通知やチャット通知を設定するのも有効です。
・手動復旧フローの整備
APIが長時間停止した場合に備え、CSVでのデータ受け渡しなど、代替手段を事前に用意しておくと安心です。
APIの仕様変更への備え(バージョン管理、監視ツール導入)
APIは仕様が変更される可能性があるため、継続的な監視とアップデート対応が求められます。
・バージョン管理の確認
API提供元がバージョン管理(例:v1.0, v2.1)を採用している場合、旧バージョンの廃止予定などを事前に把握しておくことが重要です。
・監視ツールの導入
DatadogやNew Relicなどの監視ツールを使ってAPIのレスポンスや障害をモニタリングし、問題の早期発見につなげます。
・契約や仕様変更通知の体制確認
API提供者からの仕様変更通知の受け取り窓口を社内で明確にしておきましょう。
テスト環境やローカル環境を活用した十分なテスト
API連携の実装前には、テスト環境やローカル環境を活用して動作検証を行うことが重要です
・実データを使わずに連携の挙動を確認できるため、安全かつ確実にテストができます。
・通信エラー、境界値、異常系のケースなども想定し、本番投入後のトラブルを最小限に抑えるテスト設計を行いましょう。
・API提供元がサンドボックスを提供していない場合でも、ダミーデータを用いたローカル環境での模擬テストは有効です。
内製/外注の判断基準(リソース・コスト)
API連携の実装で技術的なハードルがある場合、内製するか外部に委託するかの判断も重要です。
判断軸 | 内製の場合 | 外注の場合 |
---|---|---|
リソース | 社内にWeb/API開発経験者がいる | API実装の実績がある開発会社を選定 |
コスト | 一時的な費用は抑えられるが、調整に時間がかかる可能性あり人件費がかかる | 初期費用は高めだが、確実かつスピーディに実装可能 |
中〜大規模連携や、高度なセキュリティ・運用要件がある場合は、API連携の実績豊富なSIerや開発会社への外注が有効です。一方、運用面の細かなカスタマイズや継続的な改善が必要な場合は、内製体制の構築も視野に入れましょう。
またリソースや費用が潤沢でない場合は、「aiship」のようなローコードでAPI連携を可能にするECカートを利用することで、技術的なハードルを最小限に抑えることができるため、有効な選択肢の一つとして検討しましょう。
まとめ
ECサイトの業務効率化や成長を支えるうえで、API連携はもはや欠かせない要素となりつつあります。
本記事では、
・ECカートシステム側が提供しているAPIを利用する
・連携先のシステムが提供しているAPIを利用する
という2つの代表的な連携方法について、それぞれの特徴やメリット、導入フローをご紹介しました。
どちらが適しているかは、自社の業務フロー・利用中のシステム・開発体制によって異なります。まずは自社の現状を把握し、どちらのパターンが自然にフィットするかを検討することが第一歩です。
API連携は単なる業務効率化の手段にとどまらず、データをリアルタイムで連携・活用できる基盤でもあります。
例えば以下のような活用が、今後ますます重要視されることが予想されます。
・実店舗との在庫連携によるスムーズなオムニチャネル対応
・CRMやMAツールとの連携によるパーソナライズ施策の強化
・物流システムとの自動連携による配送リードタイムの短縮
今後のEC運営では、在庫・受注・顧客情報のリアルタイム連携や業務の自動化が当たり前となり、API連携はその手段として標準的な仕組みとなるでしょう。
先述の通り弊社では、APIの公開に加え、異なるシステム間でAPIを活用したデータ連携を容易にするための専用プラットフォームの提供開始を予定しており、ご利用いただくことで、専門知識がなくても簡単に各システムのAPI連携を実現できるようになります。
ECサイト運用のご状況や、利用中のシステムの仕様など詳細をヒアリングさせていただき、最適な連携方法をご提案させていただきますので、是非お気軽にお問い合わせください。

クラウド型ECサイト構築ASP「aiship」
お問い合わせ
ECサイトのシステム連携や、リニューアル、見積もりのご依頼についてお気軽にお問い合わせください。
また、機能や費用の詳細、詳しい事例を知りたいなどもご相談ください。