ECサイトのアプリ化でオムニチャネル・OMOを実現する方法【成功事例8選】
2025年8月5日2025年8月5日
競争が激化するEC市場では、いかにしてリピーターを増やし、LTV(顧客生涯価値)を高めていくかが重要なテーマとなっています。
この流れを受けて注目されているのが「ECサイトのアプリ化」です。アプリは、単なる購入チャネルではなく、リアル店舗とオンラインをシームレスにつなぐOMO(Online Merges with Offline)やオムニチャネル戦略の中核ツールとして進化しています。
例えば、アプリから店舗の在庫を確認して来店予約をしたり、店舗でスキャンした商品を自宅配送で購入したりといった“体験の連続性”を提供することで、LTV(顧客生涯価値)の最大化につながる実例も増えています。
本記事では、自社ECサイトをアプリ化する方法と、実現できるOMO・オムニチャネル施策を具体的に解説します。
<この記事でわかること>
☑︎ ECサイトのアプリ化が注目される背景
☑︎ 自社ECサイトをアプリ化する方法とフロー
☑︎ アプリ開発方式別の特徴
☑︎ アプリ化により実現できる施策
☑︎ 業界別のアプリ化成功事例
- ECサイトのアプリ化とは
- ECサイトをアプリ化する方法とフロー
- ECアプリ開発方式別の特徴比較
- アプリ化で実現できるOMO・オムニチャネル施策4選
- 【業界別】ECサイトのアプリ化の成功事例8選
- まとめ
目次
ECサイトのアプリ化とは
ECサイトとECアプリの違い
まず、自社ECサイトをアプリ化する意義を明確にするために、ECサイト(ブラウザ経由)とECアプリ(アプリ化したEC)の体験的な違いを整理しておきましょう。
ECサイト | ECアプリ | |
---|---|---|
接触頻度 | ユーザーが自発的にアクセスする必要がある | ホーム画面に常駐、通知でリマインド可能 |
読み込み速度 | 通信・ブラウザ依存 | キャッシュ活用で高速起動 |
通知機能 | 基本なし(メール等) | プッシュ通知で即時・個別配信可能 |
パーソナライズ | Cookie依存、再ログインが多い | ログイン状態維持+行動履歴で精緻に可能 |
UI最適化 | 画面サイズに応じたレスポンシブ対応 | アプリ専用UIで操作性に優れる |
ECアプリは、単なるWebの代替ではなく、「日常的な顧客接点」を強化する手段であるため、OMO・オムニチャネル化にも大きく貢献し、リテンションや購入頻度の向上が期待できます。
OMO・オムニチャネルとは?
「オムニチャネル」は、実店舗・EC・SNSなどすべての顧客接点を統合する販売戦略を意味します。
一方、「OMO(Online Merges with Offline)」は、オンラインのデータや利便性をリアル店舗体験に融合させ、相乗効果を生む概念です。
・オムニチャネル:チャネルの統合(例:共通在庫・ポイントなど)
・OMO:体験の融合(例:アプリで商品検索 → 店舗で試す → アプリで購入)
つまり、OMO=“統合”+“体験変革”。その中心に位置するのが「アプリ」です。
アプリは、会員証、在庫検索、受取予約、レビュー閲覧、通知による来店促進など、オンラインとオフラインの垣根をなくすタッチポイントを提供します。
OMOでの具体的施策については以下の記事でも詳しく解説していますので、是非併せてご参考ください。
OMOとは?具体的施策4選と成功事例|O2O、オムニチャネルとの違いも解説
なぜ今「ECサイトのアプリ化」が求められるのか
ここ数年で、スマートフォンからのEC利用が急速に拡大しています。
経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」によれば、物販系分野のBtoC‑EC取引額に占めるスマートフォン経由は約58.7%を占め、およそ6割に達しています。
引用:
経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」(2024年9月発表)
また、MMD研究所「ECサイトとアプリに関する利用実態調査」によれば、18歳~69歳の男女7,000人を対象に、ECのWEBとアプリの利用について聞いたところ、「WEBのみ」が16.9%、「アプリのみ」が7.8%、「WEBとアプリを併用」が57.3%、「両方利用していない」が18.0%となっており、
65%以上がアプリを利用している状況がデータから伺えます。
引用:
ECサイトとアプリに関する利用実態調査|MMD研究所
特に食品やアパレルといったリピート購入の多いカテゴリでは、スマホからのスムーズな購買体験が求められています。
こうした中で、ECアプリには以下のような期待が寄せられています。
・ユーザーとの関係性を強化し、LTV(顧客生涯価値)を高めるツール
・ECサイトよりも高速で快適なUI/UXを提供できるインターフェース
・プッシュ通知によって再訪を促し、離脱防止・購買率アップを実現する販促チャネル
また、企業側も「アプリ経由顧客は継続的に購入しやすくリピート率が高い傾向がある」「ECサイト利用者よりも単価が高くなる傾向がある」といった実績データに注目しており、アプリ化をする動きが加速しています。
ECサイトをアプリ化する方法とフロー
ECサイトのアプリ化は、戦略設計・技術選定・運用体制構築など、複数の領域が関わる“プロジェクト型”業務です。
そのため、「アプリを作ること」だけに集中すると、想定外の予算超過や、使われないアプリの出来上がりに終わってしまうリスクもあります。
ここでは、実際の導入プロジェクトを想定した具体的な6つのステップに沿って、担当者が意識すべきポイントを整理して解説します。
ECサイトをアプリ化する6つのステップ
STEP1. 戦略設計(目的とKPIの設定)
・アプリで解決したい課題を明確にする(例:リピート率の向上/カート離脱防止/OMO強化)
・想定ユーザー像(ターゲット)と利用シーンを具体化する
・成果を測るKPIを定義する(DL数/アクティブ率/CVR/LTVなど)
目的が曖昧なまま開発が進むと、「何をもって成功か」が測れなくなります。
STEP2. 要件定義(必要機能と連携要件の整理)
・会員機能/商品情報/カート・購入導線/通知機能などの必要機能を洗い出す
・ECカート(ASP・オープンソースなど)とのデータ連携可否(APIなど)を確認
・実店舗がある場合は、POSとの連携(ポイントなどの顧客データ)なども要検討
後からの機能追加はコスト増になりやすいため、この段階で業務フローと合わせて仕様設計が重要です。
STEP3. 方式選定(開発方式・構築方法・ベンダーの選定)
・開発方式の選定(PWA/ハイブリッド/ネイティブ)
・社内開発/外注開発/SaaSアプリ構築支援などの実現手段を決定
・RFP(提案依頼書)を作成して複数ベンダーと商談する
中小〜中堅事業者では、SaaS型のアプリ構築パッケージの活用が有効です。
STEP4. UI設計(デザイン含む)
・ホーム画面、カテゴリ導線、カート・購入フローなどのUIを設計
・アプリのブランド表現(色・トンマナ・アイコン・文言)をデザインに落とし込む
・アプリストアでの見え方(スクリーンショット・紹介文)も同時に設計
ユーザー目線に立ち、わかりやすいフローで購入を完了できる導線設計を意識しましょう。
STEP5. 開発(検証・ストア申請含む)
・開発環境の構築、データ連携、通知テストなどを順次実施
・実機による操作検証(iOS/Android両方)を徹底
・App Store/Google Playの申請用素材を準備し、審査に通過する
特にApp Storeの審査は厳格なため、事前にガイドラインを確認しましょう。
STEP6. 運用改善(公開・プロモーション・運用体制構築)
・アプリの初期プロモーション(DL特典/クーポン/LP連携/SNS告知)
・KPIモニタリング(DL数/継続率/通知反応率など)
・MAツールやCRMと連携し、パーソナライズ施策を展開
・アップデート/改善フローの継続運用体制を構築
アプリはリリース後が本番。継続的な分析・改善・再配信を見据えた体制を作りましょう。
ECサイトのアプリ化は、初期投資がかかる分、成果につながれば大きなリターンが見込めます。だからこそ、プロジェクト全体をフェーズ分けし、失敗の芽を事前に潰す設計力が求められます。
ECアプリ開発方式別の特徴比較
ECサイトのアプリ化を成功させるためには、「どの方式でアプリを開発するか」が成果を左右する重要な判断ポイントです。
ここでは主な3つの開発方式について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを整理したうえで、費用・開発期間の比較もご紹介します。
1.ネイティブアプリ型(最も高機能・自由度の高い開発方式)
ネイティブアプリは、iOS(SwiftやObjective-C)やAndroid(KotlinやJava)などのOSに合わせて個別に開発する方式です。

メリット
-
・操作性・動作速度が非常に高く、ユーザー体験が優れている
-
・カメラ、GPS、通知など、スマホの全機能にフルアクセス可能
-
・アニメーションやUI表現に優れ、ブランド体験を最も強く表現できる

デメリット
- ・開発・保守コストが最も高く、OSごとの二重開発が必要
-
・アップデートやストア審査対応に継続的なリソースがかかる
-
・初期リリースまでの期間が長くなりやすい
ネイティブアプリは、高い表現力と機能性を求める大規模EC・ブランドECに向いています。反面、リソースが限られる中小企業にはハードルとなることもあるため、慎重な検討が必要です。
2.PWA型(最小コストで始められるスマートな選択肢)
PWAは、通常のWebサイトにアプリ的な機能(オフライン対応、ホーム画面アイコン、プッシュ通知など)を持たせた技術です。

メリット
-
・Webサイトをベースにするため、短期間・低コストで導入可能
-
・ストア審査不要、URLアクセスだけで利用開始できる
-
・更新がWebと一体化しており、運用負荷が少ない

デメリット
- ・ネイティブアプリほどのスムーズな操作性やUI表現は難しい
-
・App Store(iOS)ではホーム画面登録など一部機能が制限されている
PWAは最小限のコストでアプリ的な体験を提供したいECサイトに非常に適した方式で、特にスタートアップやスモールEC事業者にとって有効な選択肢です。
3.ハイブリッドアプリ型(柔軟性と開発効率のバランス型)
ハイブリッドアプリは、Web技術(HTML/CSS/JavaScript)で構築したコンテンツを、アプリ用のコンテナで包み、ネイティブアプリとして配信する方法です。

メリット
-
・一つのコードでiOS/Android両方に対応でき、開発効率が高い
-
・Webサイトとの連携がスムーズで、運用も共通化しやすい
-
・PWA以上の表現力を持ち、プッシュ通知やストア配信も可能

デメリット
- ・複雑なUIや端末依存の機能は実現しにくい場合がある
-
・中〜長期的な保守性には注意が必要(ライブラリ更新等)
ハイブリッドアプリは、予算・スピード・機能性をバランス良く取り入れたい企業に向いた実践的な方式です。
ハイブリッドアプリ型で開発を行う場合、SaaS型のアプリ開発プラットフォーム(Yappli、MGRe、Appifyなど)を利用すると初心者でも簡単に制作することができます。
コスト削減や保守・運用の負担減少といった効果もあるため、ハイブリッドアプリ型での開発であればプラットフォームを利用した開発がおすすめです。
例えば、国内シェア大手の「Yappli」では、ノーコードでアプリを作成しつつ、通知・ストア公開・分析など、ネイティブ機能の利便性を取り入れた柔軟な運用が可能です。
また弊社のECカート「aiship」ともAPI連携しているため、ECサイトの会員データとシームレスに連携し、ECサイト・アプリ・店舗を統合したシームレスな顧客体験を実現します。
Yappli(ヤプリ)連携|aiship

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構築方式別の開発費用と期間の目安比較
開発方式 | 初期費用(目安) | 開発期間(目安) | 特徴 |
---|---|---|---|
ネイティブアプリ | 300万〜数千万円 | 4〜8ヶ月 | 高機能・高自由度・高コスト |
ハイブリッド | 150万〜500万円 | 2〜4ヶ月 | 両OS対応、開発効率良好 |
PWA | 50万〜150万円 | 1〜2ヶ月 | 最短・低コスト・一部制限あり |
構築方法(スクラッチ開発・SaaS型プラットフォーム利用)の比較
項目 | スクラッチ開発 | SaaS型プラットフォーム利用 |
---|---|---|
開発方法 | フルオーダーメイド(ベンダー or 自社開発) | ノーコード・ローコードCMSで構築 |
UI/UXの自由度 | ◎(完全カスタム可) | △(テンプレート中心/一部制限あり) |
機能の拡張性 | ◎(API連携、AR、ネイティブ機能等自由) | △(プラットフォームが許す範囲) |
初期費用の目安 | 200万〜800万円(規模により1,000万円超も) | 0〜50万円前後(導入サポート含む) |
月額費用の目安 | 5〜30万円(保守・サーバー・運用込み) | 10〜40万円(通知・MA機能含む) |
開発期間 | 3〜6ヶ月(設計・開発・申請・リリース) | 約1〜2ヶ月(テンプレ+審査対応) |
アプリストア配信対応 | 必須(自社で申請・審査対応) | 対応あり(ベンダー側で代行も可能) |
アプリ内通知(Push) | ◎(自由に設計・MA連携も可) | ◎(通知・セグメント配信対応) |
CRM/分析機能 | △(MA/CDP連携が前提) | ◯(Yappli CRMなどプラットフォーム内に搭載のものも存在) |
将来的な保守性 | ◯(コード資産の継続運用が可能) | ◯(定期アップデートはベンダー対応) |
主な適用企業例 | 楽天、ZOZOTOWN、メルカリ、ユニクロ など | BAYCREW’S、ブランシェス、Oisix、Francfranc など |
※上記はあくまで一般的な目安であり、機能範囲・デザイン要求・外部連携の有無などにより変動します。
アプリの開発方式は、「どれが優れているか」ではなく、「自社の目的や予算、運用体制に合っているか」で選ぶべきです。たとえば、すでに事業のブランド力があり、アプリ導入で本格的にOMO施策を進めていきたいならネイティブやハイブリッド、短期間で市場投入したいスタートアップならPWA、というように戦略と照らして検討することが重要です。
アプリ化で実現できるOMO・オムニチャネル施策4選
ECサイトのアプリ化は、単にモバイル対応を強化するだけではありません。実店舗とオンラインの垣根をなくし、一貫した顧客体験を提供する“オムニチャネル施策”を実現する重要な起点となります。
ここでは、アプリを活用することで可能になる代表的な施策を紹介します。
① 店舗在庫確認・店舗受取(クリック&コレクト)で来店を促進
アプリを通じて、店舗ごとのリアルタイム在庫確認や受取予約が可能になることで、ユーザーは「商品があるかどうか分からないから行かない」という不安から解放されます。
<施策例>
・EC上で「◯◯店舗に在庫あり」と表示
・アプリで受取予約→来店→その場で受け取り・決済
このように、ECを入口にして店舗への送客を実現する“クリック&コレクト”施策は、オムニチャネルの基本施策の一つ。
ニトリ、ユニクロ、無印良品など多くの大手小売業がすでに導入済みです。
② 共通ID・ポイント統合によるシームレスな顧客体験の創出
アプリとECサイト、店舗POSを共通の会員IDで統合することで、ユーザーはどのチャネルでも同じアカウントで購入履歴・ポイント・クーポンが利用可能になります。
<施策例>
・店舗で購入 → アプリに即時でポイント反映
・ECで注文 → 店舗在庫があれば受け取り&ポイント利用可能
この仕組みにより、チャネルごとのデータ断絶を防ぎ、顧客ごとに最適な接客・販促を可能にします。
③ プッシュ通知による時差販促・セグメント配信
アプリの最大の武器のひとつが「プッシュ通知」です。通知はメールに比べて開封率が高く、タイミングや内容を工夫することで、“来店・再訪・購入”の強力なきっかけをつくることができます。
<施策例>
・在庫復活・再入荷通知 → 欲しかったアイテムを逃さず購入
・来店時間帯に合わせたクーポン通知 → 11〜14時限定ランチ10%オフ
・セール開始直前通知 → 「明日朝9時からセール開始!」で来店促進
さらに、属性や購入履歴に応じたセグメント配信と組み合わせることで、パーソナライズされた販促が実現可能です。
④ AR・画像検索によるリアル体験の強化
近年は、アプリを通じたAR(拡張現実)や画像検索といった新技術も、店舗とECの連携体験を強化しています。
<施策例>
・家具・インテリア業界(例:ニトリ、IKEA)では、ARで実際の部屋に家具を配置してサイズ感を確認できる
・カメラ検索機能では、店頭で気になった商品を撮影するだけで、アプリ上でEC在庫や類似商品を検索可能
これにより、店頭での情報不足や購入検討のモヤモヤを“スマホ1台で解決する設計”が可能となり、購買率・満足度ともに向上します。
アプリは、ECとリアル店舗の体験をつなぐ“ハブ”としての役割を果たします。 来店を促す、店頭で迷わせない、再訪につなげる。この一連の“接客”を、アプリを通じてシームレスに自動化できることが、オムニチャネル戦略の大きな価値です。
弊社の提供するクラウド型ECカート「aiship」は、様々なEC関連ツールとのAPI連携を標準提供。チャネル間の垣根をなくした顧客データ管理〜ブランド展開を可能にし、多様なプロモーションを実施できます。
ポイントや顧客データのリアルタイム連携、店舗受取、SNSやアプリと連携したチャネル展開など、あらゆる対応をサポートします。
またASP型ソリューションのため、パッケージやオープンソース、クラウドECなど独自開発を前提としたシステムより 低コストで導入できる点も特徴です。
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OMOでの具体的施策については以下の記事でも詳しく解説していますので、是非併せてご参考ください。
OMOとは?具体的施策4選と成功事例|O2O、オムニチャネルとの違いも解説
【業界別】ECサイトのアプリ化の成功事例8選
1.アパレル・ファッション
BRANSHES公式アプリ(ブランシェス)
■ アプリ経由売上・流入拡大(販促チャネルとしての成長)
ノーコードアプリ開発プラットフォーム「Yappli」を活用し、旧アプリ比でEC売上は11倍、PVは5倍に成長しました。
全体のWebトラフィックのうち49%がアプリ経由となっており、主要な流入経路として確立されています。
■ 非会員向け情報発信とプッシュ通知の最適化
旧アプリでは情報配信が会員に限定されていたのに対し、新アプリでは非会員も含めた情報発信が可能となりました。
これにより、「ブランド世界観の発信」と「セール・クーポン通知」**の両立が実現されました。
通知対象をセグメントごとに分けることで、過剰な配信によるアプリ離脱を防ぎつつ、リピート購入を促進しています。
■ クーポン・セール施策による店舗誘導と購買支援
アプリ限定で使用可能な店舗提示型の割引クーポン(例:300円引き)を導入し、オンラインとオフラインの連動を強化。
新作商品や再入荷通知などの情報もリアルタイムで配信することで、ユーザーの購買モチベーションを高める導線設計を実施。
■ CMSとプレビュー機能による効率的な運用体制
アプリ運用にあたっては、コンテンツ更新やUI設計をリアルタイムに反映・プレビューできるCMS(管理画面)を活用。
デジタル専任でない現場スタッフでも運用しやすく、情報鮮度を保った配信が可能となった点が導入の決め手にもなっています。
BAYCREW’S公式アプリ(ベイクルーズ)
■ 複数ブランド横断のお気に入り管理と個別フィード
ベイクルーズストアには、JOURNAL STANDARD、IENA、Spick & Span、Deuxième Classeなどの複数ブランドが集結しており、ユーザーは「自分の好きなブランド」をお気に入り登録できます。
アプリ上では、自分がフォローしたブランド情報のみを表示する「For You(フィード)」機能を提供。ユーザーが関心のあるブランドの新着やコーディネートを中心に閲覧でき、パーソナライズされた購買体験を実現している点が注目されます。
■ 店舗スタッフによるスタイリング投稿(コーディネートスナップ)
アプリでは、ショップスタッフによる日々のコーディネートスナップ(着用写真)を毎日配信。身長や体型を明記したレビューやスタッフ投稿なども含まれ、実際の着用イメージをユーザーへ伝えることで、購買判断を支援しています。
投稿されたコーディネートの着用アイテムは、そのままアプリ内で購入可能。情報提供と購買導線が直結している設計になっています。
■ メンバーズカード連携とプッシュ通知による再接触
アプリには、実店舗で使用できる会員バーコード機能があり、オンラインの会員ステータスやポイント残高も確認可能です。新規登録もアプリ内で完結できます。
お気に入り登録済の商品については、値下げや再入荷通知をプッシュで受け取れる設計。ユーザーは気になる商品の変化をリアルタイムにキャッチでき、再訪→購入への導線が強化されています。
2.食品
新宿高野公式アプリ
◾アプリ経由売上とトラフィックの拡大
ノーコードアプリ開発プラットフォーム「Yappli」を活用。
アプリリリース後、ECサイトのデジタル媒体経由売上は前年同月比148%に増加しました。旧来の公式サイト経由売上は減らず、新たにアプリ経由ユーザーが売上に寄与しています。
さらに、MAU(月間アクティブユーザー)は約40%と非常に高く、アプリが顧客接点の中心として稼働していることがわかります。
◾セグメント配信による高精度プッシュ通知運用
性別・地域・店舗など個別属性に基づいてセグメントされたプッシュ通知を展開。
プッシュ通知の開封率は通常10~20%、特定キャンペーンでは25%に達する高反応を記録しました。
月約20回の配信で情報出し過ぎを避けつつ、訴求効果の高い運用が継続されています。
◾アプリ限定プロモーションとユーザー誘導施策
クリスマスケーキ予約で5%OFFクーポン配布キャンペーンを実施し、約2,400件の新規DLを1か月で獲得しました。
加えて、アプリ限定フォトフレーム投稿キャンペーンなどブランド体験型の施策も併用され、集客とファン化に貢献しています。
◾CMSで運用しやすい設計と更新体制
Yappli導入により、非技術者でも直感的に操作できるCMS+プレビュー機能を活用。
アプリのトップ画面は旬のフルーツや季節に応じて月1〜2回更新され、常に新鮮な印象をユーザーに与える設計です。
社内のカタログ・販促担当と運用ディレクションを共有できる体制も構築されています。
Oisix(定期宅配おいしっくすくらぶアプリ)
◾定期ボックスのスキップ(キャンセル)機能
定期会員に対して、毎週木曜日に「定期ボックス」の注文内容が自動提案されます。
アプリから「注文キャンセル」ボタンでスキップが可能。注文締切日の午前10時まで操作すれば、その週のお届けを中止できる設計となっており、便利です。
操作はシンプルで、トップの「定期ボックス」→「注文キャンセル」→確認の2ステップで完了。Webよりも手軽な点が評価されています。
◾LINE連携によるリマインド通知の利便性
オイシックスでは、アプリに加えてLINE連携による通知機能も提供しています。
特に、注文締切前日のLINE通知により、ユーザーが注文忘れすることなく操作可能になる仕組みは好評です。メールより見逃されにくく、ストレスなく注文管理できる点が高く評価されています。
◾レシピ提案と食材購入の連動設計
アプリでは、レシピ提案/献立情報と食材の購入導線が連携しており、日々の献立に合わせた商品提案が可能です。
ユーザーは、気になるメニューを見つけたらワンタップで関連商品をカートに追加できるため、「見る→選ぶ→買う」がスムーズに展開され、毎週のタッチポイント構築に貢献します。
イトーヨーカドーネットスーパー by ONIGO
◾店舗と同価格で、チラシ掲載商品もそのまま購入可能
公式アプリでは、店舗と同一価格の商品を注文できるばかりか、店舗チラシでの特売商品も反映されます。
さらに、折り込みチラシ商品を店舗より前倒しで注文開始するケースもあり、ユーザーにとって店舗を訪れずとも最安値で購入できる体験が提供されています。
◾注文から受取までアプリで一元管理
注文→配送ステータス→受け取り指定までアプリ上で完結可能。最短4時間以内での当日配達や、細かい時間指定も可能です。
置き配や非接触受け取りにも対応しており、事前申請により自宅前などに置いてもらうことができます(ブラウザ申請後にアプリ連携)。
◾レシピ提案と購買導線の連動
アプリ内に、DELISH KITCHENなどと提携した動画付きレシピが掲載されており、レシピに使用される食材をワンタップでカートに追加できる設計です。
これにより、「レシピを見て→必要な食材を即購入」というスムーズな導線設計が可能となっています。
インテリア・家具
ニトリアプリ
◾AR(拡張現実)家具「3Dで試し置き」機能
2024年5月、ニトリは「スマホで簡単!3Dで試し置き」ARサービスを開始しました。これは、約300アイテムを対象に、自宅空間に実寸大家具をARで配置して確認できる仕組みです。
家具を360度回転・詳細確認でき、サイズ感やカラーバランスを事前に視覚化できるため、返品や設置ミスマッチの低減にもつながります。
対応モデルはiPhone 6s以降やAndroidのARCore対応機種で、アプリ不要でブラウザ上からでも利用可能という手軽さも特徴です。
◾画像検索「カメラdeサーチ」機能
実店舗や自宅で見かけた家具の写真を撮影すると、似たような商品をECサイト上で検索できる「カメラdeサーチ」機能を搭載しています。
ユーザーが具体的な商品名を覚えていなくても、「見たものに近い家具」を見つけやすくする便利なUX設計です。
◾実店舗連携機能:「店内モード」/「アプリde注文」
2021年12月にリリースされた「店内モード」では、現在いる店舗を選ぶと、売場や在庫状況、納期の案内などが表示される“デジタルコンシェルジュ”的機能が提供されます。
お気に入り登録している商品の在庫状況を店舗別に確認でき、店舗マップで売り場の場所まで確認できるのが便利です。
2022年6月には「アプリde注文」機能を追加し、商品バーコードをスキャンすることで注文リスト化、自宅配送や店頭会計も可能となり、手ぶらショッピングが実現しています。
家電
ヨドバシ(ヨドバシカメラ)
◾在庫検索・即日受取り(店舗受取予約)機能
アプリでは、リアルタイムの店舗在庫情報を確認し、そのまま店舗受取の予約が可能です。
対象商品が「在庫あり」なら、最短30分以内に商品が準備される仕組みがあり、一部店舗では24時間受け取りにも対応しています。
注文時には「在庫のある店舗数」「価格」「受取可能時間」などが表示され、ユーザーは店舗を選んで受け取り方法を指定できるUX設計です。
◾バーコードスキャン+価格比較機能
スマートフォンで店頭の商品バーコードを読み取ると、ヨドバシ・ドット・コム内の商品情報と外部ショッピングモールの価格・在庫を比較表示(Yahoo!ショッピング、東急ハンズなど)する機能があります。
カメラを使って複数バーコードの連続読み取り(マルチスキャン)が可能で、スピーディな価格調査や購入判断を支援します。
◾共通会員ID・ポイント統合
アプリでは、ヨドバシ・ドット・コムの会員IDと完全連携し、ポイント残高・注文履歴・お気に入り情報も統合して管理できます。
オンライン・実店舗問わず共通のゴールドポイントを利用でき、アプリ上でリアルタイムに残高や獲得履歴を確認可能です。
美容・コスメ
@cosmeアプリ
◾誕生日月のバースデークーポン提供設計
バースデークーポン(誕生月クーポン)は、対象ユーザーに対し、5,500円(税込)以上の購入で利用可能な500円引きクーポンが提供されます。誕生日月の前月25日までに購入実績がある会員が対象です。
クーポンはマイページや誕生月のメールで案内され、誕生月1日 0:00~末日23:59の期間内に利用可能な設計となっています。
Q&Aでも、「お誕生日月に使用できる500円引きクーポンがもらえる(5,500円以上で有効)」との実例が複数投稿されています。
◾会員特典・ランク制度によるポイント還元・限定セール
@cosmeでは、「お買い物コース」会員(有料)向けに毎月500円分のプレミアムクーポン(SHOPPING/STORE共通)が発行され、通常より割引条件が緩和されています。
会員ランク(スタンダード・ゴールド・プラチナ・VIP)に応じて、購入金額に対するポイント還元率が最大5%になる制度も導入されており、継続利用の動機づけに寄与しています。
アプリでは、ランキング情報・キャンペーン・プレゼント応募などをプッシュ通知で配信し、利用促進と来訪リマインドに活用されています。
業界別アプリ活用の特徴まとめ
業界カテゴリ | 注力機能の傾向 |
---|---|
アパレル | パーソナライズ、UI設計、通知配信 |
食品 | 定期購買/在庫確認/再購入導線 |
家具・インテリア | 店舗連携/AR/配送手配 |
家電 | 商品情報の詳細化/レビュー活用/保証連携 |
美容・コスメ | 会員育成/レビュー/カウンセリング・肌診断連携 |
まとめ
ECサイトのアプリ化は単なる「モバイル対応」の手段ではなく、ユーザーとの関係性を深め、LTVを最大化するための顧客接点強化ツールです。OMOやAIの進化、越境市場の広がりを背景に、アプリは今後さらに重要性を増すことは間違いありません。
導入を検討しているEC事業者様にとって、まずは以下のチェックリストを参考に、戦略的なアプリ活用の第一歩を踏み出してみてください。
アプリ化の判断に向けたチェックリスト
[戦略設計編]
☑︎ 自社のアプリ導入目的は明確か?(例:リピート促進、OMO推進など)
☑︎ 対象ユーザー層と利用シーンを具体的に描けているか?
☑︎ 自社ECサイトや店舗との連携ポイントを洗い出しているか?
[機能・構築編]
☑︎ 必要な機能(例:通知、会員証、検索、決済、ARなど)は整理できているか?
☑︎ 開発方式(PWA/ハイブリッド/ネイティブ)の選定方針は固まっているか?
☑︎ 予算と運用体制に適した構築パートナーを検討できているか?
[運用・成長編]
☑︎ アプリリリース後のダウンロード促進施策は準備できているか?
☑︎ ユーザーデータの収集・活用方法は設計できているか?
☑︎ 成果測定のためのKPI(継続率、CVR、LTVなど)を設定しているか?
弊社の提供するASP型ECカート「aiship」ではYappliなどSaaS型アプリプラットフォームとの標準連携を提供。ECサイトの会員データとシームレスに連携し、ECサイト・アプリ・店舗をまたぐシームレスな顧客体験を実現します。
また弊社ではご状況のヒアリングから、構築方法や機能・UIのご提案、導入・運用サポートまで一貫して実施しておりますので、ECサイトのアプリ化をご検討の際は、ぜひ1度お問い合わせください。

クラウド型ECサイト構築ASP「aiship」
お問い合わせ
ECサイトの立ち上げやリニューアル、システム移行、見積もりのご依頼についてお気軽にお問い合わせください。
また、機能や費用の詳細、詳しい事例を知りたいなどもご相談ください。