【家具・インテリア】ECサイト構築のポイント&オムニチャネル成功事例
2025年9月10日2025年9月10日
家具・インテリア市場のオンラインシフトは加速し、ECは新規獲得からリピート育成までを担う中核チャネルになっています。
ただし、家具・インテリアは高単価・大型・返品が難しいという商材特性ゆえに、素材感やサイズ、搬入可否など“確信”が求められる領域であるため、ECサイトの設計も商材特有のポイントをおさえて実施する必要があります。
そこで本記事では、家具・インテリアのネット販売を検討している事業者の方に向けて、ECサイトの構築方法やオムニチャネル対応のポイント、成功事例などをわかりやすく解説します。
<この記事でわかること>
☑︎ ECサイトの構築方法と傾向
☑︎ 特に重要なオムニチャネル対応のポイント
☑︎ 成功事例と参考にしたいポイント
これからECサイトの立ち上げを検討する方はもちろん、すでにECを運営していて改善を目指す方にも役立つ内容になっていますので、ぜひご参考いただければと思います。
- 家具・インテリア業界の現状
- 家具・インテリアの販売にECサイトを活用するメリット
- 家具・インテリアを販売するECサイトの構築方法
- 構築方法を選ぶ際のポイント
- 家具・インテリアのEC運営で重要なオムニチャネル・OMO対応
- 家具・インテリアECサイトの成功事例
- まとめ
目次
家具・インテリア業界の現状
EC市場の拡大とオンラインシフト
家具・インテリア市場は近年、オンライン購入ニーズの高まりを背景に大きく成長しています。
経済産業省が公表した「電子商取引実態調査」によると、生活雑貨・家具・インテリア分野のEC市場規模は2024年に約2兆5,616億円・32.6%と、物販分野全体(約10%前後)を大きく上回る水準で推移しています。
出典: 経済産業省「
電子商取引実態調査
および「
令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書
」(2025年8月発表)のデータをもとに筆者がグラフ作成
この背景には、若年層や共働き世帯を中心とした「店舗に足を運ばずに購入したい」という消費者意識の変化があります。特に大型家具は持ち帰りが難しく、配送前提での購入が一般化しているため、ECとの親和性が高いと言えます。
また、コロナ禍以降の生活様式の変化により在宅時間が増加し、「住環境への投資意欲」が拡大しました。リモートワーク用の椅子やデスクといった機能家具はもちろん、デザイン性の高いインテリア小物や収納用品もオンラインでの売上が伸び、幅広いカテゴリーでEC需要が拡大しています。
消費者行動の変化
従来の家具購入は「実物を見て触ってから購入する」のが一般的でした。しかし近年はデジタル情報をもとに購入を決断する消費者が増え、行動は次のように変化しています。
■ 商品情報の事前収集
公式ECサイトやレビューサイトでサイズ・材質・使用感を確認したうえで比較検討する動きが主流に。
■ 価格比較の習慣化
楽天市場やAmazonといったモール型EC、複数のブランド公式サイトを横断して最適な価格・条件を探す傾向が強まっています。
■ スマホでの購買増加
SNS広告やInstagram投稿からそのままECサイトへアクセスし、直感的に購入するケースも拡大。特にモバイル経由の売上比率は年々上昇しています。
業界課題とECの必要性
一方で、家具という商材には大型で高単価・返品が難しいという特性があり、EC販売には課題も存在します。これらを解消するため、成功している家具ECサイトでは以下のような工夫が取り入れられています。
■ サイズ感や設置イメージを伝える機能
AR(拡張現実)やシミュレーションツールを活用し、自宅に置いたときのイメージを可視化。
■ 配送・設置サービスの充実
搬入経路や設置作業までをパッケージ化した配送オプションを提供し、購入ハードルを軽減。
■ 組み立て・メンテナンスサポート
組み立て手順やお手入れ方法を解説する動画コンテンツを用意し、顧客の安心感を高める。
こうした背景から、家具・インテリア事業者にとってECサイトの最適化は単なる販売チャネル拡大ではなく、事業成長に直結する戦略となっています。
家具・インテリアの販売にECサイトを活用するメリット
24時間販売や店舗との相互送客による集客・LTV拡大
ECサイトを導入する最大の利点は、時間や場所に縛られない販売体制を構築できることです。実店舗では営業時間や立地条件に左右されますが、ECなら24時間365日、全国どこからでも注文を受け付けられます。
さらに、自社ECサイトと店舗での相互送客により集客力の強化が可能です。ECサイトでは新規顧客との接点を増やし、店舗ではブランドロイヤリティを高めるといった役割分担戦略をとることで、販売機会を最大化できます。
実際に家具・インテリアのECサイトと店舗を運営する事業者で以下のようなデータも公表されています。
「ACTUS(アクタス)」の名称で店舗やECで展開するアクタスは、店舗とECの相互送客を大事にした取り組みを強化している。すでにECと店舗の両方を利用している顧客がどちらかだけを利用している顧客に比べ、LTVが最大約3倍違うデータが出ているという。
引用: 【インテリアOMO最前線】有力4社の実践事例を分析 「CRM×接客」でLTV向上へ | 日本ネット経済新聞
中間マージンを削減・ブランド価値を直接訴求
家具・インテリア業界では、従来は卸や小売を経由することで中間マージンが発生し、最終的に価格競争に巻き込まれるケースが少なくありません。
しかし、自社ECを構築すればメーカー直販モデルを実現でき、余計なコストを抑えて利益率を改善できます。
さらに、自社サイトであれば独自商品や限定特典の展開、ブランドストーリーの発信なども可能になり、価格だけに依存しない差別化を実現できます。
例えば、「限定カラーの販売」や「セット購入割引」といった施策を打ち出せば、モールでは得られないブランド独自のファン層形成につながります。
顧客体験の深化による購入率の向上
家具は高単価かつサイズ感が重要なため、購入を検討する際に不安を感じやすい商材です。そこで、自社ECでは以下のようなデジタル技術を活用した顧客体験強化が有効です。
■ シミュレーション機能
自宅の間取りに合わせて家具を配置し、全体のコーディネートを確認できる。
■ AR機能
スマホを通じて実際の部屋に家具を映し出し、サイズや色味をリアルに再現。
■ 動画コンテンツ
組み立て方や使用シーンを視覚的に伝えることで、利用イメージを具体化。
これらの機能を組み込むことで、購入前の不安を解消し、購入率(コンバージョン率)の向上が期待できます。
また、「便利だった」「分かりやすかった」といった体験は顧客満足度を高め、リピート購入や口コミ拡散にもつながります。
家具・インテリアを販売するECサイトの構築方法
構築方法の選択肢としては大きく分けて以下の3つがあります。
・ASP型ECカートを利用する
・オープンソース型システムを利用する
・パッケージ型システムを利用する
当社で家具・インテリアを販売するECサイトを50サイト調査したところ、構築方法の割合として以下の傾向が伺えました。
※家具・インテリアを販売するECサイトを50サイト抽出して分析した独自調査より
上記のグラフから比較的安価で簡単に始められる「ASP型ECカート」を利用する事業者が72%と割合としては多い傾向が読み取れます。
ここからは各構築方法について特徴を紹介していきます。
1. ASP型ECカートを利用する(Shopify、aiship、カラーミーショップなど)
ASP型ECカートとは、ECサイトを手軽に開設できるサービスのことです。初期コストが低く、運用も簡単なため、個人運営や小〜中規模事業者、スモールスタートで展開したい事業者に適した選択肢です。
<メリット>
・初心者でも簡単に開設できる
・低コストでスタート可能
・決済や配送機能が標準搭載
・デザインテンプレートが豊富で見栄えの良いサイトが作れる
<デメリット>
・サービスによってはカスタマイズ性が低い(独自性の高い運用が難しい場合がある)
・ECカート利用の月額費用が発生(月額固定費や販売ごとの手数料が発生)
<主要なECプラットフォームの比較>
サービス | 特徴 | 月額固定費 |
---|---|---|
Shopify | アプリ追加で拡張性が高い。グローバル展開にも対応。 | 4,850円〜 |
aiship | オムニチャネル機能が豊富。デザイン自由度が高い。専門知識不要。 | 9,800円~ |
カラーミーショップ | 初心者向け。手数料がやや高め。 | 4,950円~ (※別途手数料あり) |
<こんな方におすすめ>
・手軽に家具・インテリアのネット販売を始めたい方
・運用コストを抑えながら販売を始めたい方
・技術的な専門知識やリソースが少ない方
オムニチャネルに対応したASP型ECカートを活用することによって低コストで商材特有のポイントをおさえたECサイトを構築することができます。
ただサービスによっては必要な機能が足りなかったり、別途プラグインやアプリの追加が必要なケースもあるため、自社の販売戦略に合った機能が備わっているかを事前に確認しましょう。
「aiship」では家具・インテリアECサイトに機能を網羅的に標準搭載しているため、追加開発やプラグイン、アプリの追加は不要で本格的なECサイト構築を実現できます。
<aishipの主な特徴>
・チャネル間の垣根をなくした顧客データ管理〜ブランド展開を可能にし、多様なプロモーションを実施可能
・ポイントや顧客データのリアルタイム連携、店舗受取、SNSやアプリと連携したチャネル展開など あらゆる対応をサポート
・ASP型のため、パッケージやオープンソースなど独自開発を前提としたシステムより 低コストで導入できる
実店舗やアプリ連携、オムニチャネルに対応したECを構築|aiship

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2. オープンソース型システムを利用する(WordPress+WooCommerce、EC-CUBEなど)
オープンソース型システムを利用し、ECプラグインを活用する方法もあります。この方法は、ある程度専門知識は必要になりますが、一定の自由度を確保しながら、比較的低コストでECサイトを運営できる点が魅力です。
<メリット>
・デザインや機能のカスタマイズがしやすい
・ECサイトに加えて、ブログやブランドページも構築可能
<デメリット>
・構築・運用にある程度の知識が必要(サーバー管理やサイトの更新等)
・定期的なメンテナンスが必要(セキュリティ対策など)
<必要なものと費用感>
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
ドメイン | 1,000円~/年 | オリジナルのURL(独自ドメイン)を取得 |
レンタルサーバー | 500~2,000円/月 | エックスサーバーなど |
テーマ | 無料~数万円 | EC向けの有料テーマもある |
プラグイン | 無料~数万円 | 月額費用の発生するプラグインもある |
<こんな方におすすめ>
・専門知識やリソースがありデザインや機能を自由にカスタマイズしたい方
・ブログやブランドページと連携して運用したい方
オープンソース型システムの代表格「WordPress」を利用したECサイト構築については以下の記事で解説していますので、是非併せてご参考ください。
WordPressを使ったECサイト構築でおすすめの方法は?事例付で特徴を比較解説
3. パッケージ型システムを利用する(ecbeing など)
パッケージシステムを利用する方法では、完全オリジナルのECサイトを構築することができます。大規模なモールECの構築や、特別な機能を求める事業者向けの構築方法です。
<メリット>
・デザイン・機能の完全自由設計が可能
・販売戦略に合わせた独自のUI/UXを実装できる
<デメリット>
・初期開発コストが高い(数千万円程度)
・開発期間が長い(6ヶ月〜数年程度)
・運用・保守のために専門知識が必要
<開発に必要な主なコスト>
項目 | 費用目安 | 備考 |
---|---|---|
システム開発 | 500万円〜数千万円 | 規模や機能要件により大きく変動 |
デザイン制作 | 100万~500万円 | UI/UX設計含む |
保守・運用費 | 10万~100万円/月 | システム維持・セキュリティ管理 |
<こんな方におすすめ>
・独自性の高い機能を導入したい事業者
・大規模なECサイトや、ブランド力がすでにあり長期運営を前提に検討する事業者
ここまでの3つがECサイトを構築する方法になります。参考までにモールに出店する方法についても特徴を紹介しますので、必要に応じてご参考ください。
番外編. モールに出店する(楽天市場、食チョクなど)
複数のブランドが出品・販売できるECモール型サービスに出店する方法です。ECサイトを構築しないためブランディング等は難しいですが、既存のプラットフォーム内ですぐに販売を始められる手軽さが魅力です。
<メリット>
・会員基盤があり、集客力が高い(検索や特集で露出のチャンスあり)
・初期費用がかからず、出品するだけですぐ販売できる
・ユーザーにとっても購入ハードルが低い(使い慣れたUI)
<デメリット>
・ブランディングがしにくい(ショップの独自性が出しづらい)
・販売手数料が高めに設定されている場合も多い
・モールのルールに従う必要がある(価格設定やサイトデザインなど)
<主要な家具・インテリア向けモールの比較>
サービス | 特徴 | 初期費用 | 販売手数料 |
---|---|---|---|
楽天市場 | 知名度・集客力◎ | 60,000円 | 約2〜7% |
Amazon | 初期費用不要 | 無料 | 8~15% |
<こんな方におすすめ>
・販売初心者でまずは市場の反応を見たい方
・集客はプラットフォームに任せたい方
各構築方法の特徴まとめ
構築方法 | 固定費 | カスタマイズ性 | 運用負担 | おすすめ対象 |
---|---|---|---|---|
ASP型ECカート | 低 | 中 | 低 | 個人運営・小〜中規模事業者 |
オープンソース型システム | 中 | 中~高 | 中 | ブランドサイトを兼ねたEC運営 |
パッケージ型システム | 高 | 高 | 高 | モール構築・大規模サイト |
モールに出店 | 低 | 低 | 低 | 販売初心者 |
☑︎ 手軽に家具・インテリアのネット販売を始めたいなら「ASP型ECカート」
☑︎ 専門知識がありカスタマイズ性を重視するなら「オープンソース型システム」
☑︎ 完全オリジナルの仕様を求めるなら「パッケージ型システム」
☑︎ まずは市場の反応を見たいなら「モール」も視野に入れる
家具・インテリアのECサイト構築は、販売戦略や運用体制に合わせて最適な方法を選ぶことが成功のカギとなります。
また構築方法が決まったら、次は具体的にECカートシステムの選定に入ります。
以下の記事にて主要なECカートシステム(プラットフォーム)の特徴や料金について紹介していますので、是非併せてご参考ください。

【2025最新】ECカートシステム22選を徹底比較【一覧表付】
無料で使えるカートから、高機能ASP型、オープンソース型、パッケージ型まで、各種ECカートシステムの特徴やメリット・デメリットを徹底比較。

【2025最新】ECプラットフォームを徹底比較!主要17サービスの特徴を解説
ECモール型・ASP型・オープンソース型・パッケージ型の特徴やメリット・デメリットを紹介。
構築方法を選ぶ際のポイント
家具・インテリアのネット販売は、「大型・高単価で返品が難しいため、不安解消と体験補完が肝心」など、通常の商品とは異なる特性を持っています。これらを踏まえつつ、自社の状況に合った構築方法を選ぶことが成功の第一歩です。 ここでは、「運営形態」「費用対効果」「機能・UI」の3つの観点から、構築方法の選び方を解説します。
1. 運用の特性を考慮して選ぶ
実店舗の有無
まず検討すべきは、リアル店舗があるかどうか、またはネット販売専業かという点です。実店舗を併設しているかどうかで、求められる機能や導線が大きく変わります。
実店舗を運営している場合
<必要な機能・構築上のポイント>
・店舗での受取(店頭受取・BOPIS)の導入可否
・在庫・販売情報の一元管理(POS・在庫連携)
・店舗客へのECサイト認知促進(QRコード活用など)
<おすすめの構築方法>
・店舗受取機能を搭載したASP型カート
・POS連携可能なASP型カートもしくはパッケージ型システム
家具・インテリア商材は、ソファやベッドなど大型・重量商品が多いため、配送コストが高額になりやすいという課題があります。
特に長距離配送や搬入・組み立てを伴う場合、購入者にとって送料が大きな負担になるケースも少なくありません。
そこで有効なのが、「店舗受取」サービスです。
・顧客はオンラインで注文し、最寄りの実店舗や倉庫で商品を受け取ることが可能
・これにより、高額な配送費用が不要となり、購入ハードルを下げられる
・店舗での受け取り時に、実物の最終確認やスタッフによる組み立て相談もでき、安心感を与えられる
さらに、店舗受取を導入すれば、実店舗とECを連動させる「オムニチャネル戦略」としても機能します。
オンラインで商品を選び、受取時に追加アイテムを購入するなど、クロスセルの機会拡大にもつながるのが大きなメリットです。
店舗受取機能を搭載したASP型ECカート|aiship
ネットのみで販売する場合
<必要な機能・構築上のポイント>
・SNSや広告からの導線設計ができるか
・管理・更新のしやすさ、低コストでの運用が重要
・サイト上でブランドや商品の魅力を表現できるCMS
<おすすめの構築方法>
・SNS連携に強いASP型ECカート
・自由度の高いCMSを搭載したASP型ECカート
BtoB(業務用)の提供もする場合
法人向けに業務用の家具・インテリアを販売するBtoB型ECを構築する場合、大量注文への対応や取引単価の管理が重要になります。
<必要な機能・構築上のポイント>
・会員登録制(法人のみに販売)・承認制アカウント
・会員ランクによる価格表示・見積機能
・卸売価格・掛け払い対応
・CSV一括注文・受注管理機能
<おすすめの構築方法>
・BtoB向けの機能を搭載したASP型ECカート
・BtoB専用ASP型ECカート
・パッケージ型システム
BtoBとBtoCのECを一つのプラットフォームで構築することで、在庫や受注の一元管理、運用コストの削減、ブランディングの統一が可能になります。
「aiship」では20年以上に渡って機能開発を行ってきた基本のBtoC向けのEC機能に加えて、BtoB特有の要件に対応した機能を搭載。
顧客ごとの閲覧制御や価格設定にも柔軟に対応できるため、業務効率化と販路拡大の両立を実現します。
BtoB・法人取引のECサイトを構築|クラウド型ECサイト構築ASP aiship
BtoB型ECについては以下の記事にて、基本概念から、必要な機能、構築方法、具体的な事例まで解説していますのでよろしければ併せてご参考ください。
【事例11選】BtoB ECとは?必要な機能・構築方法・成功要因を解説
2. 費用対効果を考慮して選ぶ
ECサイトの構築方法を検討する際は、見込まれる売上に対して、どのくらいコストを掛けられるかのバランスの考慮も重要になります。
構築方法 | 初期費用 | 月額費用 | 運用のしやすさ | カスタマイズ性 |
---|---|---|---|---|
ASP型ECカート | 無料〜数万円 | 無料〜数万円 | ◎(簡単に運営可能) | ○(サービスによっては制限あり) |
オープンソース型システム | 数千円〜数十万円 | 無料〜数万円 | ○(中級者向け) | ○(ある程度自由) |
パッケージ型システム | 数百万円〜数千万円 | 数十万円〜 | △(エンジニアが必要) | ◎(自由にカスタマイズ可能) |
モール出店 | 無料〜 | 販売額に応じた手数料 | ◎(簡単に運営可能) | ×(プラットフォームの仕様に制限) |
モールへの出店やASP型ECカートを利用する方法は手軽ですが、デザインや機能の制約があるため、必要とする機能があるかをしっかりと確認しましょう。
3. 必要な機能・UIを考慮して選ぶ
特に重要となる基本機能の一例としては以下になります。
機能 | 重要度 | 概要・特記事項 |
---|---|---|
カート機能&多様な決済手段 | ★★★★★ | クレジットカード、オンライン決済、コンビニ決済、後払いなど柔軟に決済への対応が必要。BtoB対応をする場合は掛け払いの対応を推奨 |
在庫管理機能 | ★★★★★ | 1日ごとに出荷できる量が限られている場合、1日単位で在庫数を設定できる、出荷日別での在庫管理ができると効率的。 |
配送設定機能 | ★★★★★ | 重量や配送サイズごとに配送料を設定 |
SNS連携(Instagram、Xなど) | ★★★★☆ | UGCに力を入れる場合は必須 |
AR・シミュレーションツール | ★★★☆☆ | 自宅に置いたときのイメージを可視化することで安心して購入しやすいサイトに |
家具・インテリアのECサイトは、運営形態や必要な機能によって最適な構築方法が異なります。最初は低コストで始めて、売上が伸びてきたら本格的なカスタマイズを検討するのが一般的な流れです。
自社の特徴に合った方法を選び、ネット販売の成功を目指しましょう。
また、ECサイト構築の手順については以下の記事で詳しく解説していますので、是非併せてご参考ください。
ECサイト構築の方法と手順|立ち上げ時に注意すべきポイントとは?【成功事例付】
家具・インテリアのEC運営で重要なオムニチャネル・OMO対応
家具・インテリア業界では、「実物を見て購入したい」ニーズと「オンラインで気軽に買いたい」ニーズが共存しています。
そのため、実店舗とECを分断せず、顧客体験を一貫して提供するオムニチャネルやOMO戦略が不可欠です。
ここでは特に重要となる対応について紹介します。
オンラインとオフラインの在庫連携
ECと店舗の在庫をリアルタイムで連動させることで、ユーザーはオンライン上で「最寄りの店舗に在庫があるか」をすぐに確認できます。
欲しい商品をECで注文し、その日のうちに店舗で受け取れる仕組みが整えば、大型家具にありがちな高額な送料を回避できるだけでなく、「今すぐ欲しい」という顧客のニーズにもしっかり応えられます。
さらに、統合在庫によって売れ残りや欠品リスクを減らし、運営効率も高められます。
顧客データの統合
ECと店舗で共通の会員IDやポイント制度を導入すれば、顧客データを一元的に管理でき、購買履歴を活用した精度の高いマーケティングが可能になります。
例えば、店舗でソファを購入した顧客にセグメントを行い、メルマガ等で「サイズに合うラグ」や「テーブル」といった関連商品をおすすめすることでECでの購入を促すことができます。
顧客の購買行動を横断的に把握できるからこそ、クロスセルやアップセルの機会を逃さず、LTV(顧客生涯価値)の最大化につなげやすくなります。
アプリ導入による接点強化
家具・インテリアECでは、アプリを導入することでオムニチャネル戦略をさらに加速できます。
アプリを通じて顧客は、店舗在庫をリアルタイムに検索できるほか、再入荷情報やセール開始をプッシュ通知で受け取ることも可能です。
来店時にはアプリの会員証を提示すれば購入履歴とポイントが自動で統合され、シームレスな購買体験を実現します。
さらに、アプリ限定クーポンやキャンペーンを展開することで、ECと店舗の回遊を促し、接点を増やすことができます。
こうした顧客接点の強化において、アプリは「オンラインと実店舗をつなぐハブ」として機能します。
例えば、「ニトリアプリ」は以下のような高度な機能を備え、オムニチャネル・OMOを推進しています。
・実店舗の在庫と展示場所をマップ付きで確認できる
・商品バーコードや画像からECページへ誘導する機能(カメラdeサーチなど)
・デジタル会員証、アプリでのスムーズな注文や会計
・リフォーム相談のリモート接客や、ライブコマースでの購買体験
これらにより、オンラインでも店舗でも一貫した購買体験を実現し、実店舗の購買機会喚起にもつながっています。
SaaS型のアプリ開発プラットフォーム(Yappli、クロスポイントなど)を利用すると初心者でも簡単に導入することができます。
例えば、国内シェア大手の「Yappli」では、ノーコードでアプリを作成しつつ、通知・ストア公開・分析など、ネイティブ機能の利便性を取り入れた柔軟な運用が可能です。
また弊社のECカート「aiship」ともAPI連携しているため、ECサイトの会員データとシームレスに連携し、ECサイト・アプリ・店舗を統合したシームレスな顧客体験を実現します。
Yappli(ヤプリ)連携|aiship
ECサイトのアプリ化については以下の記事で詳しく解説していますので是非併せてご参考ください。
ECサイトのアプリ化でオムニチャネル・OMOを実現する方法【成功事例8選】
店舗受取でクロスセル・アップセルの機会創出
店舗受取を利用した顧客が来店した際、購入商品をスタッフが確認したうえで「このソファに合うラグ」や「ワンランク上の素材のダイニングセット」などを提案できれば、関連商品の追加購入やグレードアップにつながります。
このように、在庫連携・会員情報統合・アプリ導入・クロスセル提案といった仕組みを組み合わせることで、オンラインの利便性と実店舗の安心感を融合させた一貫した購買体験を提供できます。
家具・インテリアのように高額で検討期間が長い商材においては、オムニチャネル・OMO戦略の導入こそが競合との差別化を実現し、ブランドの成長を後押しする鍵となるのです。
弊社の提供するクラウド型ECカート「aiship」は、様々なEC関連ツールとのAPI連携を標準提供。チャネル間の垣根をなくした顧客データ管理〜ブランド展開を可能にし、多様なプロモーションを実施できます。
ポイントや顧客データのリアルタイム連携、店舗受取、SNSやアプリと連携したチャネル展開など、あらゆる対応をサポートします。
またASP型ソリューションのため、パッケージやオープンソース、クラウドECなど独自開発を前提としたシステムより 低コストで導入できる点も特徴です。
実店舗やアプリ連携、オムニチャネルに対応したECを構築|aiship
家具・インテリアECサイトの成功事例
参考にしていただきたい成功事例として、サイトURLと参考にしたいポイントをご紹介します。
※全て弊社の提供するASP型ECカート「aiship」で構築されているECサイトの事例になります。
カリモク家具
サイトURL:
https://e-karimoku.com/
国産老舗メーカーのカリモクは、自社公式オンラインショップと全国ショールーム、さらにAR/3Dシミュレーションを重ね合わせ、家具ECの“最後の不安”を解消する体験設計を進めています。
会員施策 × 配送 × 下取り
「カリモク家具公式オンラインショップ」では、ブランド横断のカタログ性と買い物導線を両立。会員に対してはポイント付与に加えて配送料の会員特典(非会員配送費の約30%水準)を用意し、大型家具でネックになりがちな送料負担を軽減しています。
また下取りクーポンで使用中家具を500円で下取りする仕組みも提供し、買い替え障壁を下げています。注文履歴・ポイント履歴・お気に入りなどのマイページ機能も整備し、継続利用の接点を確保しています。
さらに商品ページでは「配送設置/組立設置」アイコンで納品形態を明示。ガイド内に搬入経路の確認やトラブル時の対応フローを掲示し、配送〜設置までの不安を事前に払拭しています。
大型・重量商品のECでは「会員化で配送コストを心理的にも実質的にも軽くする」「下取りで買い替え後押し」「納品形態と搬入可否の“見える化”」がCVRに直結します。
AR/3Dで“サイズ・色・置き心地の不確実性”を削る
https://www.karimoku.co.jp/3d_simulator/
カリモクは自社サイトから3Dシミュレーター(PC/iPad)を提供。間取りを自由に作成し、色・張地を変えながら立体で確認でき、ウォークスルーで動線まで検証できます。
https://www.karimoku.co.jp/ar/
また、AR体験として「RoomCo AR」アプリでお試し体感を提供。スマホのカメラ越しに家具を配置し、張地や木部色の切り替えも可能です。これにより“実物確認が必要”という心理的ハードルを自宅で解消しています。
家具ECの最大の返品理由「サイズ/色のミスマッチ」に、3D+ARの二段構えで対応。PCでじっくり、スマホで直感的にという形で利用シーンを使い分けられる設計が魅力です。
ショールーム(店舗)連携
https://www.karimoku.co.jp/3d_simulator/
全国ショールームの来館予約がオンラインで可能。Q&Aでも「どこで見られるか」を明確に案内し、近隣のショールーム/取扱店へ送客しています。
オンラインで検討→必要に応じて実物確認→そのままECで購入という導線を実装し、ECと実店舗の相互補完を徹底しています。
EC接客で疑問が残るユーザーにはショールーム予約CTAを用意。展示有無の事前確認導線まで揃えると、来店の質が上がり成約率も向上します。
購入後の不安もEC上で解消
公式EC内でメンテナンス用品や一部パーツを販売。さらに修理見積のオンライン受付導線も用意し、長期利用を前提としたアフターサポートを“ECの文脈”に乗せています。
耐久財である家具の特性に対して、購入後の安心をコンテンツと機能で担保している点が特徴です。
購入後の不安をEC上で解消する(消耗品・お手入れ・修理窓口)ことで、リピートや紹介、シリーズ買いにつながります。
カーテンくれない
サイトURL:
https://www.e-kurenai.com/
窓まわりアイテム専門店「カーテンくれない」は、自社工場を軸に企画‐製造‐販売‐アフターまでを一貫運営(SPA)し、ECで生じがちな“サイズ・質感への不安”を複数の仕組みで解消しています。
自社本店に加えてAmazon・楽天・Yahoo!にも展開しつつ、1cm単位のサイズオーダーと短納期(即日・翌日出荷対応)で「欲しいときに、ジャストサイズ」を実現。
さらに生地サンプルや“サイズお試しオーダー”など、失敗しにくい導線を厚くしています。
SPA × 短納期 × 明瞭コスト
同社のECは、国内自社/協力工場での一貫体制(SPA)を掲げ、品質とスピードを両立。オーダーカーテンでも即日/翌日出荷の専用ラインを確保し、引越し・模様替えなど“時間が効く”シーンに応えます。
送料は全国一律450円(一部除外あり)と明快で、購入前の費用不安も抑制。自社本店のほか大手モールにも公式出店しており、ユーザーのチャネル嗜好に合わせて接点を用意しています。
家具・インテリアECは納期と費用の不確実性が離脱要因。“短納期オプション+送料の明確化+複数チャネル”の三点セットで心理ハードルを下げられます。
“サイズ・質感の不安”を潰す体験設計
https://www.e-kurenai.com/fs/curtain/c/sample
ネット特有の色味・手触り・サイズの不確実性には、生地サンプル請求と測り方コンテンツで対応。サンプルはポスト投函でスピーディに届き、実光下で色や風合いを確認できます。採寸は分かりやすい動画でも解説し、初めてでも迷いにくい導線に。
さらにユニークなのが、本注文の前に“そのサイズで一度作って試す”「カーテンサイズお試しオーダー」。実物でサイズ感を確認してから本番を頼めるため、失敗コストを最小化できます。
「サンプル→採寸支援→お試し」の三段導線は、返品負荷の高いカテゴリーでも有効です。
“カメラで確認サポート”で、疑問点をすぐに解消
https://www.e-kurenai.com/fs/curtain/c/camera_support
「カーテンくれない」のカメラで確認サポートは、ユーザーのスマホ/PCカメラ映像をオペレーターと共有し、採寸・取付・不具合箇所をその場で一緒に確認して解決する無料の即時サポートです。予約不要で、思い立った時に問い合わせ→そのまま映像共有。
言葉では伝えにくい「レールの固定」「大窓の可否」「部品名の特定」なども画面越しに正確に意思疎通できるため、サイズ・取付不安を解消→購入判断を後押しします。
購入後のアフター/CSRでLTV設計
https://www.e-kurenai.com/fs/curtain/c/eco
同社サイトでは販売後のアフターまで自社対応を明示。さらに、カーテン無料引き取りリサイクルやレビュー1件につきワクチン1人分寄付といったCSRを継続し、購入体験を“良い循環”へ接続しています。
検討~購入~利用~買い替えまでの長い関係を、ECの中で完結できる点が特徴です。
耐久商材は“購入後コンテンツ/仕組み”がLTVを左右。消耗品・メンテ・買い替え・リサイクルまでECで担保すると、次の購入理由を自然に設計できます。
BtoB(法人向け)対応
https://www.e-kurenai.com/fs/curtain/c/corporate
無料相談・見積を電話・メール・チャット・専用フォームで即時受付し、税別10万円以上の注文を対象に10%OFFのボリューム割引も用意。
また、請求書払い(掛け払い)を含む多様な決済に対応し、インボイス制度の適格請求書発行事業者としての表記も明示されているため、法人の社内稟議・経理処理もスムーズに行えるサービスを提供しています。
まとめ
家具・インテリアのネット販売は、オムニチャネル・OMO対応やミスマッチ防止のサポートなど特有の観点を加味したECサイトの構築・運営が求められる分野です。
本記事でご紹介した内容を参考に以下のポイントを押さえて、ネット販売の準備を進めていきましょう。
☑︎ 比較的安価で簡単に始められるASP型ECカートの利用が主流
☑︎ ASP型ECカートといってもピンキリなので自社の要件を整理して、選定を行う必要がある
☑︎ 選定の際は特に、以下の観点を加味する
・オムニチャネルやOMOなど自社の想定する運用に対応できるか
・費用対効果
・店舗受取、アプリ連携など特有の機能性
☑︎ 「ARシミュレーター」や「確認サポート」など消費者ニーズに寄り添う特化機能があると差別化しやすい
弊社の提供するASP型ECカート「aiship」では家具・インテリアのECサイトに必要な機能を網羅的に搭載しているため、追加の開発等は不要で安価にネット販売を本格的に始めることができます。
また弊社ではご状況のヒアリングから、構築方法や機能・UIのご提案、導入・運用サポートまで一貫して実施しておりますので、家具・インテリアのECサイト構築・リニューアルをご検討の際は、ぜひ1度お問い合わせください。

クラウド型ECサイト構築ASP「aiship」
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また、機能や費用の詳細、詳しい事例を知りたいなどもご相談ください。