自社ECで生鮮食品やお取り寄せ等の冷蔵・冷凍食品をロスなく配送する方法
生鮮食品やお取り寄せ等の冷蔵・冷凍食品を販売するECサイトでは、配送の温度帯指定としてクール便を指定できるカートシステムの利用が必須であることは言うまでもありません。しかしそれだけで十分でしょうか。
クール便配送の場合、保管中に温度を保つことができないこと理由に、配送業者側の保管期限が短く、宅配ボックス(ロッカー)の利用はもちろん不可で、自宅で受け取るしかありません。特に、注文者以外の他者に贈るギフト配送の場合、たとえ指定された日時に届けたとしても、受取人と連絡が取れないことによる荷物の差し戻しや、受け取り拒否から生じる、賞味期限切れ等による食品ロスに頭を悩ますEC事業者も多いのではないでしょうか。
このような課題を解決する方法として「ソーシャルギフト」という贈り方に着目してみました。ギフトECではもちろん、店頭で購入したギフトを配送する場合にも活用できるため、具体的な運用フローとともに解説していきます。
ソーシャルギフトの贈り方
ソーシャルギフトとは、相手の住所を知らなくてもSNSなどで繋がっていれば、相手にギフトを贈れる注文方法です。ソーシャルギフト利用による基本的な購入フローは以下です。
<注文者>
1.注文者が商品を選び、決済を完了。配送方法で「ソーシャルギフト」を選択
2.ギフトレターやメッセージ送付
3.注文完了時にシステム側で生成される受け取り専用URLを贈り主(注文者)が贈りたい人にSNSやメールで通知
<受取者側>
1.メッセージを受信
2.贈られる人(受取人)が受取場所や受取日時を指定
一般的なECのギフト注文方法とソーシャルギフトによる贈り方を比較
一般的なECにおけるギフトの注文方法は、よほど丁寧な顧客対応をしていない限り、受取人に確認せず、注文者(贈り手)による注文確定あるいは入金確認をもって商品の発送手配を進める運用がほとんどかと思います。しかしソーシャルギフトによる注文方法では、受取者側に受取場所や受取日時の確認が取れた後で、発送の手配に移れます。これにより、再配達にまつわる配送ロスはもちろん、荷物の保管期限切れや賞味期限切れによる食品ロスの防止に繋がります。
また、ギフト注文の中には、歓迎されないギフトもあるでしょう。一般的なECの注文方法では、受取者側は、注文者からの連絡が来ない限り、ギフトが実際に自宅に到着して初めて知ったり、不在伝票を見て知ることになります。しかしソーシャルギフトの贈り方では、SNSで通知を受けたときに知ることができます。万が一、受け取りたくない場合は、受取先の住所を入力しなければ、一定期間経過後に自動キャンセル扱いとなります。注文としてはその時点で失注となってしまいますが、発送をしなくて済む為、商品が路頭に迷うことがなくなります。
ソーシャルギフト活用による運用フロー
それでは、食品ECが抱える配送ロスの課題解決方法としてソーシャルギフトを活用するにあたり、どのような運用フローを構築していけば良いか、具体的に確認していきましょう。
ギフトECの場合
ソーシャルギフトに対応したECカートシステムを利用することで、以下のフローで注文の受付から商品の発送業務が可能となります。
<注文者>
ギフト商品を購入(決済を完了)し、SNSで相手に通知。
メッセージカードを付けて特別感を演出。受取人に通知する時点でサプライズ。
↓
<受取者側>
受取場所や希望日時を指定
↓
<EC運営者>
受取者による受取場所や希望日時の入力(=受け取りたい意思)を確認後に発送
(受取者が未入力の場合は注文者にリマインド通知)
店頭受注の場合
ソーシャルギフトは実店舗運営に活用でき、その内容はこちらの記事にてご紹介いたしました。店頭受注の場合、それぞれの店舗ごとの運用フローによって、使い方は様々かと思いますので一例としてご紹介します。
Case.1
<店舗>
ギフト用の商品ページを作成し、そのページをQRコード化して用意。
↓
<注文者>
注文者自身の端末でQRコードを読み取り、ソーシャルギフトの贈り方で購入手続き後に、SNSで相手に通知。
↓
<受取者>
受取場所や希望日時を指定
↓
<店舗>
受取者による受取場所や希望日時の入力(=受け取りたい意思)を確認後に発送。
個別で受取場所や希望日確認の対応コスト不要。
Case.2
<注文者>
店舗側が用意した端末で注文操作。
メールアドレス等の注文者情報を入力し、商品代金の支払いを済ませる。
↓
<店舗>
注文者に関する情報入力箇所以外の操作を店員が代理で実施。
ソーシャルギフト用URLを注文者が確認できるよう、注文時に自動送信されるメール等に予め設定しておく。
もしくはソーシャルギフト用URLをQRコード化し、注文者に読み取ってもらう。
↓
<注文者>
ソーシャルギフト用URLをSNSで相手に通知。
↓
<受取者>
受取場所や希望日時を指定
↓
<店舗>
受取者による受取場所や希望日時の入力(=受け取りたい意思)を確認後に発送。
個別で受取場所や希望日確認の対応コスト不要。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ソーシャルギフトは、たしかに相手の住所が知らない人に贈るためのSNSを使った贈り方です。しかしそれだけでなく、たとえ相手の住所を知っていたとしても、この方法を使うことで、受取者に希望を手間なく確認できるだけでなく、受取意思を確認し商品を発送できるため、配送ロスの課題解決手段としても活路を見出せそうです。
ソーシャルギフトを導入する方法については、こちらの記事にて詳しく解説しておりますのであわせてご確認ください。