現在のEC市場は、ますます競争が激化しています。新たな事業者が次々と参入し、消費者の選択肢は急速に増加しているため、競争に勝ち残るためには、効率的な集客が不可欠です。
集客が成功すれば、ECサイトのトラフィックが増加し、売上アップにつながります。逆に、集客に失敗すれば、どれだけ素晴らしい商品やサービスを提供していても、その価値を認知されずに埋もれてしまいます。
この記事ではECサイトのトラフィックを増加させ、売上アップにつながる集客方法と効果を最大化するためのポイント、成功事例について紹介します。
効果的な集客実施のための必須条件
集客を成功させるためには、まず「誰に」アプローチするかを明確にすることが必要です。
ターゲットが曖昧なまま集客施策を行うと、効果は限定的で、広告費用やリソースの無駄遣いに繋がる可能性があります。
逆に、ターゲットを明確に設定することで、効果的なメッセージを発信し、ターゲットとなる顧客のニーズに合わせた施策を展開することが可能になります。
例えば、ファッションECサイトであれば、20代の大学生をターゲットにするのか、30代のビジネスパーソンをターゲットにするのかで、打ち出すコンテンツや広告の内容は大きく異なります。
ターゲットが明確であれば、彼らが求める商品やサービスを的確に提案できるだけでなく、彼らが頻繁に利用するチャネルを通じて効率的にリーチすることができます。
ターゲット設定の際には、デモグラフィック情報(年齢、性別、居住地など)だけでなく、心理的特性や購買行動などのペルソナ分析を行うことが効果的です。
この分析に基づいた集客施策を行うことで、コンバージョン率を高め、集客活動のROIを最大化することができます。
主要な集客方法4選
1.オーガニック集客(SEO)
・コンテンツマーケティング
・内部SEO
・被リンク獲得
2.オンライン広告での集客
・Google広告
・SNS広告
・リマーケティング
3.SNSでの集客
・プラットフォームごとの最適化
・UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
4.メールマーケティングでの集客
・セグメント別のメルマガ作成
・リードナーチャリング
ここからは、上記4つの集客方法に焦点を当て、それぞれの重要性と効果を最大化させるためのポイントを具体的に解説します。
オーガニック集客(SEO)
ECサイトのSEOを強化するためには、効果的なキーワード選定、技術的な最適化、そして高品質な被リンクの獲得が不可欠です。ここでは、それぞれの施策について具体的に解説します。
キーワード選定とコンテンツ作成
SEOの基本となるのが、適切なキーワードの選定と、それに基づいたコンテンツ作成です。
キーワード調査・選定
最初に行うべきは、ターゲットとするユーザーが検索しそうなキーワードをリサーチすることです。
ツールを活用して検索ボリュームや競合度を調査し、サイトに適したキーワードを選定します。
また、ロングテールキーワード(特定のニッチなニーズを持つユーザーが検索する、より具体的なキーワード)にも注目すると、競合が少なく、コンバージョン率が高いトラフィックを集めやすくなります。
コンテンツ作成
選定したキーワードを自然に含めたコンテンツを作成します。ユーザーが求める情報を満たし、価値を提供するコンテンツが重要です。
また、キーワードの使用は適切な場所に配置し、過度に詰め込まないように注意します。
記事のタイトルやメタディスクリプション、見出しなどにもキーワードを盛り込み、検索エンジンがコンテンツの内容を理解しやすくすることが重要です。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、ユーザーにとって価値のある情報を提供し、ECサイトへの信頼感や興味を高める手法です。以下のようなコンテンツが効果的です。
ブログ記事
定期的に更新されるブログ記事は、SEOにも有効です。業界のトレンドや製品の使い方、顧客の成功事例などを紹介することで、ユーザーに役立つ情報を提供し、サイトへの訪問を促進します。
ホワイトペーパー
ダウンロード可能なホワイトペーパーは、見込み客の連絡先情報を取得したり検討確度を高めるためのリードジェネレーションツールとしても活用できます。
詳細なデータやケーススタディを提供することで、信頼性と関心を高めることができます。
内部SEOの改善
内部SEOは、検索エンジンがサイトを効率的にクロール・インデックスできるようにするための重要な要素です。
サイト速度の最適化
サイトの読み込み速度は、UXに大きな影響を与えます。ページが遅いと、ユーザーが離脱しやすくなり、検索エンジンの評価も下がります。
画像の圧縮、キャッシュの利用、不要なスクリプトの削減など、速度改善のための技術的な対策を講じることが必要です。
モバイルフレンドリー対応
モバイルデバイスからのアクセスが増加する中、サイトがモバイルフレンドリーであることは不可欠です。
レスポンシブデザインを採用し、モバイル端末でも快適に閲覧できるようにすることで、ユーザーの離脱を防ぎ、SEOの評価も向上させることができます。
Googleはモバイルファーストインデックスを採用しており、モバイル対応がランキングに与える影響は大きいです。
被リンク獲得
被リンクは、外部のウェブサイトから自サイトへのリンクを指し、検索エンジンにおける信頼性の指標となります。
信頼性や関連性の高いサイトから高品質な被リンクを獲得することは、SEOの強化において非常に重要です。
コンテンツの価値提供
他のサイトがリンクしたくなるような有益で独自性のあるコンテンツを作成することが基本です。
業界のトレンドに関する深堀り記事、データ分析、ケーススタディなどは、他のサイトからリンクを得やすくなります。
ゲスト投稿の活用
関連する業界サイトにゲスト投稿を行い、その中で自サイトへのリンクを埋め込むことで、被リンクを獲得できます。
ゲスト投稿を通じて、業界内での信頼性を高め、さらにオーガニックトラフィックを増やすことが可能です。
パートナーシップの構築
関連業界のサイトやブログとパートナーシップを築き、相互にリンクを共有することも効果的です。
特に関連性が高いサイトからのリンクは、検索エンジンからの評価を高める要因となります。
オンライン広告での集客
オンライン広告は、ターゲットユーザーに効率的にアプローチし、コンバージョン率を向上させるための強力な手法です。
代表的なものとしてはPPC広告とリマーケティングがあります。ここでは、これらの手法を最大限に活用するための具体的な戦略について解説します。
PPC広告キャンペーンの設定
PPC広告(ペイ・パー・クリック広告)は、クリックごとに課金される広告で、Google広告やSNS広告プラットフォームでの利用が一般的です。PPC広告を効果的に運用するためには、ターゲティングと予算管理が重要です。
ターゲティングの設定
効果的なターゲティングを行うために、ユーザーの検索行動やデモグラフィック情報、興味関心に基づいたターゲット設定を行います。
Google広告では、特定のキーワードをターゲットにした検索広告を設定し、ユーザーがそのキーワードを検索した際に広告が表示されるようにします。
SNS広告では、ユーザーの年齢、性別、居住地、興味関心など、詳細なターゲティングオプションを活用し、適切なユーザーにリーチすることが可能です。
予算管理のコツ
広告予算を効率的に管理するためには、初期設定で少額の予算から始め、広告のパフォーマンスを確認しながら調整していくことが推奨されます。
また、クリック単価(CPC)を最適化するために、競争の激しいキーワードは除外し、よりコンバージョンが見込めるロングテールキーワードに集中する戦略も効果的です。
定期的なパフォーマンスのモニタリングと調整が、限られた予算内で最大の効果を発揮するための鍵となります。
リマーケティング
リマーケティングは、過去にECサイトを訪問したが購入に至らなかったユーザーに対して、再度広告を配信することで、購入を促進する手法です。この戦略を効果的に活用するための具体的な方法を紹介します。
セグメント化
リマーケティングキャンペーンを成功させるためには、訪問者をセグメント化し、異なる広告メッセージを配信することが重要です。
例えば、カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーには、特別な割引コードや限定オファーを提示する広告を配信し、購入を促進します。
一方、特定のカテゴリページを閲覧したユーザーには、そのカテゴリに関連する新商品や人気商品の広告を表示することで、再訪問を誘導します。
広告の頻度と期間の設定
リマーケティング広告の配信頻度や期間を適切に設定することも重要です。広告を過剰に配信すると、ユーザーに不快感を与え、逆効果になる可能性があります。
適度な頻度と期間で広告を配信し、ユーザーが自然に再訪問するよう促すことが求められます。
クロスチャネルでのリマーケティング
Google広告やSNS広告など、複数のチャネルでリマーケティングを展開することで、ユーザーに対するリーチを最大化できます。
各チャネルで異なるクリエイティブやメッセージを使用し、ユーザーの関心を引き続けることが効果的です。
SNSでの集客
SNSは、ECサイトの集客とブランド認知度の向上に大きな役割を果たします。
ただし、各プラットフォームには独自の特性があり、効果的に活用するためには、プラットフォームごとに最適な戦略を立てることが重要です。
また、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を活用することで、エンゲージメントを高めることも可能です。
プラットフォーム別の特徴
各ソーシャルメディアプラットフォームには、異なるユーザーベースと機能が存在します。
それぞれの特性を理解し、ターゲットオーディエンスに合った運用法を採用することが成功の鍵です。
Facebookは、幅広い年齢層に支持されるプラットフォームであり、ターゲットオーディエンスをセグメント化して広告を配信するのに適しています。
グループ機能やイベントの作成を活用することで、コミュニティを形成し、ユーザーとのつながりを強化することができます。
ビジュアルコンテンツに特化したInstagramは、視覚的に魅力的な商品やブランドの魅力を伝えるのに最適です。
ストーリーズやリール機能を活用して、ユーザーとのインタラクションを促し、ブランドのパーソナリティを表現できます。
また、ショッピング機能を使用することで、投稿から直接購入ページに誘導することも可能です。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、リアルタイムの情報共有や顧客サポートに適しています。短いメッセージとハッシュタグを活用して、トレンドに敏感なユーザーにリーチできます。
また、キャンペーンや新商品の発表など、即時性が求められる情報を伝えるのに効果的です。
エンゲージメントを高めるために、ユーザーのコメントやメンションに積極的に応答することが重要です。
B2Bマーケティングに強みを持つLinkedInは、専門性の高いコンテンツや業界に関連する記事、ホワイトペーパーの共有に適しています。
業界のリーダーやインフルエンサーとのネットワーキングを活用し、自社の専門性をアピールすることで、信頼性を高めることができます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用
UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、ユーザーが自発的に作成したコンテンツを指し、信頼性が高く、エンゲージメントを促進するための強力な手法です。
UGCを効果的に活用するためには、キャンペーンを通じてユーザーにコンテンツの作成を促す仕組みを作ることが重要です。
UGCキャンペーンの実施
ハッシュタグキャンペーンを展開し、ユーザーに商品やサービスに関する写真やレビューを投稿してもらいます。
例えば、特定の商品を購入したユーザーに対して、購入品を使用した写真をハッシュタグとともに投稿するよう促すことで、多くのUGCを収集することができます。
また、優れた投稿に対して賞品や特典を提供することで、参加意欲を高めることが可能です。
UGCの再利用
収集したUGCを自社の公式アカウントで再投稿したり、ECサイト上で紹介することで、他のユーザーに対する信頼性を強化し、商品購入の後押しをします。
UGCは、顧客のリアルな声を反映しているため、他の潜在顧客にとって大きな影響力を持つコンテンツとなります。
メールマーケティングでの集客
メールマーケティングは、ECサイトにとって非常に効果的な集客手法の一つです。メールを通じて直接顧客にリーチし、関係性を深めることができます。
効果的なメルマガの作成と、自動化ツールの活用により、集客効率を大幅に向上させることが可能です。
開封率・クリック率を考慮したメルマガ作成
メルマガの成功は、いかに多くのユーザーに開封され、さらにクリックされるかにかかっています。そのためには、件名と本文に工夫を凝らす必要があります。
件名の工夫
件名はメルマガの開封率を左右する重要な要素です。短く、具体的で、興味を引く内容にすることが重要です。
例えば、「今だけ限定10%オフ!」や「新商品の先行予約開始!」といった緊急性や特典を強調した件名が効果的です。
また、パーソナライゼーションを取り入れ、顧客の名前や過去の購買履歴に基づいた件名を作成することで、開封率をさらに高めることができます。
本文の工夫
メルマガの本文は、顧客に価値を提供する内容であることが重要です。新商品の紹介や、顧客に役立つ情報、限定オファーなどを提供することで、クリック率を高めることができます。
また、視覚的に見やすいレイアウトを心掛け、CTA(コール・トゥ・アクション)ボタンを目立たせることも、クリック率向上に効果的です。
自動化ツールの活用
メールマーケティングの自動化ツールを活用することで、効率的かつ効果的なキャンペーンを展開することができます。
自動化により、顧客の行動やライフサイクルに応じたメールをタイムリーに送信し、集客力を強化します。
メールマーケティング自動化ツールの活用
例えばMailchimpやHubSpotなどのツールは、ターゲットに応じたメールのセグメント化、自動化されたメールシーケンスの設定、A/Bテストの実施など、多機能を提供します。
これにより、顧客が特定のアクションを取った際に自動的にトリガーメールを送信したり、定期的なニュースレターを効率よく配信することが可能です。
リードナーチャリングの自動化
顧客の購買プロセスに合わせたステップで、適切なタイミングでメールを送信するリードナーチャリングも自動化することで、コンバージョン率を向上させることができます。
例えば、商品ページを訪れたが購入に至らなかったユーザーに対して、自動的にカートリマインダーメールを送信する仕組みを構築することで、購入を促進することができます。
ECサイト集客の成功事例
お米のギフトEC「八代目儀兵衛」様
・「お米の価値観を変える」をビジョンとしている
・お米のギフト化を実現したブランディング戦略を実施
・EC全体のうち本店サイト売上が約6割を占める
・オープンソースシステムからリニューアル後、初月前年比140%、通年で売上前年比120%を実現
集客のポイント
八代目儀兵衛でギフトを購入する顧客の主な流入経路は検索、次いでInstagramとなっています。顧客自身が手に取るのではなく、親族・友人・知人など大切な人へ贈るギフトの特性を踏まえ、開封した瞬間に華やかな気持ちになるような商品づくりを意識した結果、「Google ショッピング タブの一覧内でも目を引いて選ばれやすく、かつもらった人も『こんなにかわいいギフトをもらいました』と投稿したくなる好循環が生まれています。
また、多くの方に知っていただくという観点ではSEO対策に力を入れています。ギフト需要は主に『結婚祝い』『出産祝い』『法事・弔事』の3本柱で成り立っていますが、これらに関連するビッグワードは大手モールなどがすでに検索結果の上位を占拠しており、商品数やアクセス数の多さで当社は太刀打ちできません。
そこでビッグワードに紐づくサジェストに目を向け、たとえば『香典返し 喜ばれる』『結婚祝い おしゃれ』というキーワードで上位を獲得できるように工夫を施しています。
併せておさえておきたいECサイト運営全体のポイントについては以下の記事をご参考ください。
ECサイト運営のポイントとは?5つの運用フローと成功事例を解説
ECサイトのリニューアルを検討中の方は以下の記事もご参考いただけますと幸いです。
ECサイトリニューアル成功のポイント|売上40%増の成功事例から手順・費用まで解説