ソーシャルギフトは、住所や電話番号を知らない相手に対し、LINEやFacebook、Twitter等の各種SNSのメッセージ機能、あるいはメールを使って相手に商品を贈ることができる、今までの通販には無かった新しい贈り方(買い方)です。ギフトのカジュアル化に伴い、ソーシャルギフトを使ったサービスを展開しているECサイトも増えてきております。
ソーシャルギフトの仕組みを利用した販売を展開したい場合、これまでは、LINEギフトのようなECモールに出店するか、フルスクラッチ開発や個別カスタマイズが必要でした。しかし最近ではクラウド型ECサイト構築ASPという方法が登場しています。
ASP/クラウド型という選択肢が増えた一方、ソーシャルギフト導入検討の際にどのプラットフォームを選ぶかは、その後のEC運営にも大きく影響が及ぶほど重要です。それぞれのメリット、デメリットを比較していきましょう。
ソーシャルギフト導入検討時に重要なECプラットフォーム比較
ECモール型
ソーシャルギフトのモール型プラットフォームとして代表的なLINEギフト。LINE上で手軽にギフトを贈り合えことで、直近で急激な伸び率を見せており、2021年の年間総流通額は前年比330%を達成、2021年12月に累計ユーザー数が2,000万人を突破したと公表されています。
ソーシャルギフトを導入するならば、LINEギフトのような既に運営中のプラットフォームを選ぶという方法も1つです。メリット、デメリットを理解した上で、検討しましょう。
■例)LINEギフトの注文フロー
<贈る側>
1.贈り主(注文者)が商品と受取人を選び、決済を完了
2.ギフトレターやメッセージ送付して受取人に通知
<受け取る側>
1.メッセージを受信
2.贈られる人(受取人)が受取場所や受取日時を指定
■ECモール型のメリット
・多くの人が利用するプラットフォームの為馴染みやすい
・集客力がある。モール自体が顧客の集客をしてくれるため、集客の手間がかからない
■ECモール型のデメリット
・自社のブラントとして確立しにくい
・モールが定めたルールに従って運営する必要がある
・自社のファンを作りにくい
・リピーター化へ繋げるの施策を打ちにくい
・他のショップとの差別化が難しい
・手数料が高い
自社EC型
一方で、自社EC型の場合、自社のドメインにてEC運営ができます。EC運営に必要なプラットフォームの選定から、受注運用フローの構築や、運営中に発生した課題解決までEC運営者自身が担うことになります。ソーシャルギフトを自社ECに導入するならば、スクラッチ型やASP/クラウド型がありますが、自社EC型に共通して言えるメリット、デメリットは以下があります。
■自社EC型のメリット
・ブランドイメージを確立していける
・自社の要件にあわせたプラットフォームを選定できる
・利益率が高い
■自社EC型のデメリット
・自社で集客をする必要がある
スクラッチ型(パッケージ/オープンソース/プラグインなどの個別カスタマイズを含む)
スクラッチ型(パッケージ/オープンソース/プラグインなどの個別カスタマイズを含む)の特徴は自社でサーバを用意し、そこに自社もしくは外部ベンダーなどの外注事業者でシステムを構築していく方法です。
■例)Gift Padの注文フロー
<贈る側>
1.贈り主(注文者)が商品を選び、ギフトの贈り方を「メール、SNSで贈る」を選択して決済を完了
2.注文完了後に発行されるURLをメールやSNSで受取人に送る
<受け取る側>
1.メッセージを受信
2.贈られる人(受取人)が受取場所や受取日時を指定
スクラッチ型のメリット、デメリットをまとめると以下です。
■スクラッチ型のメリット
・自社の要件にあわせて構築できる
■スクラッチ型のデメリット
・カスタマイズ費用がかかる
・保守メンテナンスが必要
・ソーシャルギフトは受注系にも絡む為、仕組みを1から構築することが大変
・システム開発やサーバ保守などの専門知識が必要
・要件次第では長期の開発期間が必要になる
クラウド型ECサイト構築ASP
クラウド型ECサイト構築ASPの場合、ASP事業者側で開発した機能をそのまま利用することができます。スクラッチ型のような莫大な開発費が不要で、月々の一定料金で、トレンドにそった最新機能を利用することができます。
■例)aishipの注文フロー
1.贈り主(注文者)が商品を選び、決済を完了
2.ギフトレターやメッセージ送付
3.注文完了時にシステム側で生成される受け取り専用URLを贈り主(注文者)が贈りたい人にSNSやメールで通知
<受け取る側>
1.メッセージを受信
2.贈られる人(受取人)が受取場所や受取日時を指定
■ASP型のメリット
・スタートアップが早い。トレンドであるソーシャルギフトを自社ECで早期実現できる
・利用申し込みをするだけで運営に適しているかの判断がすぐにできる
・カスタマイズ不要で安価にスタートでできる
・ソーシャルギフト以外のギフトEC専門機能も揃っている
・メンテナンスはASP事業者側で実施
■ASP型のデメリット
・運用をASPの仕様に寄せる必要がある
・現時点ではASP型のシステムでソーシャルギフトの選択肢が少ない(比較検討できる材料が揃わないことがデメリットと言えるかもしれない)
まとめ
いかがでしたでしょうか。ソーシャルギフト自体は、どのプラットフォームを選択しても利用者の購入ステップや運営フローに大差はありません。
ソーシャルギフトの導入を検討する際に重要なポイントは、ソーシャルギフトの機能のみを部分的に組み込む方法ではなくECサイト運営全体を見渡し、プラットフォームを全体最適で考えることです。なぜならソーシャルギフトを始めとするギフトECには、熨斗やラッピング機能などのギフトEC専用機能も必要になってくる為です。このように考えると、ギフトECの運営に必要な専門機能を備えたASPが最適なのかもしれません。