ECサイトの送料設定の決め方・注意すべきポイントとは?成功事例・失敗事例も紹介
2024年8月23日2025年2月18日
ECサイトの送料設定は、顧客満足度と売上に大きな影響を与える重要な要素です。送料が不透明だったり高すぎたりすると、顧客は購入を躊躇し、カゴ落ち率が高まる可能性があります。一方、適切な送料設定は、顧客にとってのコストを予測しやすくし、購買意欲を促進します。
しかし、送料設定は複雑であり、地域や商品特性による違いを加味した上で適切な価格設定を行う必要があります。
特に温度帯(冷蔵・冷凍・常温など)が異なる配送が必要な商品を同時に扱う場合、送料の計算とその明示はさらに難しくなります。
この記事では、送料設定の方式と特徴、特に注意すべきポイント、そして具体的な成功事例・失敗事例について解説します。
送料設定の方式(固定・可変)
ECサイトの送料設定には、大きく分けて「固定料金」と「可変料金」の2つの方式があります。固定料金とは、注文の総重量やサイズ、配送距離にかかわらず一律の料金を設定する方法です。この方式は顧客にとってわかりやすく、予測可能な費用としての魅力がありますが、実際の配送コストとの乖離が生じるリスクもあります。
一方、可変料金は、商品や注文の重量、サイズ、配送距離などに応じて変動する料金設定です。例えば、重い商品や大きな商品には追加料金がかかる場合が多いです。可変料金はコストを反映しやすく、特に多様な商品を扱う場合に適していますが、顧客にとっては料金計算が複雑になりがちです。
固定料金
送料無料
無料配送は、顧客に強いアピール効果を持つ手法です。送料が無料であることは購入決定を促進し、カゴ落ち率の低減につながります。
しかし、この戦略には注意が必要です。送料無料を提供することで、商品価格に送料を上乗せする場合や、全体的な利益率が低下するリスクがあります。
特に競争が激しい市場では、コストを回収しにくくなる可能性があるため、十分な計算が求められます。
全国一律送料
購入者にとって1番わかりやすい送料設定のため、多くのショップで取り入れられている設定になります。
比較的送料のかかる遠方の利用者にとっては大きな魅力になるため、トップページに「全国どこでも◯◯円」と記載して訴求しているショップもあります。
注意すべき点としては、一律の料金を高くしすぎると購入のハードルの一つとなり、低くしすぎるとショップ側の負担が大きくなるため、料金は全体のバランスをみて判断する必要があります。
可変料金
地域別送料
地域別送料の設定は、遠隔地や離島などへの配送コストが高くなる場合に必要です。配送距離が長い地域やアクセスが難しい地域では、追加の運送料や特別な物流手配が必要になることが多いため、標準的な送料に加えて追加料金を設定することが一般的です。
この方法は、コストのばらつきを吸収し、公平な価格設定を実現するために重要です。顧客に対して透明性を保ち、事前に追加料金を明示することが信頼構築に繋がります。
重量を基準にした送料
各商品に「重量」を設定することで、カートの中に入っている商品の合計重量に応じた送料の設定ができます。
軽いものから重量があるものまでさまざまな重さの商品を扱うショップはこの送料設定をしているケースが多く見られます。
注文金額を基準にした送料
例えば5,000円以上の購入で送料が無料になる設定をすれば、4,500円の買い物をする購入者のついで買いによる顧客単価向上を期待することができます。
(あと500円何か買えば、送料が無料になるという状況を作り「買った方がお得感」を演出することで、もう1品購入を促す)
また送料無料ラインの設定は客単価の平均より少し高い金額に設定するのがおすすめです。送料無料になるラインの明示によって購買意欲促進に繋がるため、「〇〇円以上は送料無料」という表記をトップページや目立つところに掲載しているショップも多く見られます。
送料設定で注意すべきポイント
配送パートナーの選定
送料の設定には、配送パートナーの選定が重要なポイントになります。選定の際には、コストとサービスのバランスを考慮する必要があります。配送業者の料金体系、配送スピード、追跡システム、カスタマーサービスなどを評価し、自社のビジネスモデルや顧客層に最も適したパートナーを選ぶことが求められます。
また、特定の温度管理を伴う配送が必要な場合、特定の温度管理に強みを持つ業者を選定することも考慮が必要になります。
主な配送会社の配送料比較
通常便
| 配送会社名 | サイズ | 重量 | 料金(税込) |
|---|---|---|---|
| ヤマト運輸 | 60サイズ | 2kg | 1,060円 |
| 80サイズ | 5kg | 1,350円 | |
| 100サイズ | 10kg | 1,650円 | |
| 佐川急便 | 60サイズ | 2kg | 1,040円 |
| 80サイズ | 5kg | 1,340円 | |
| 100サイズ | 10kg | 1,630円 | |
| ゆうパック | 60サイズ | 25kg | 990円 |
| 80サイズ | 25kg | 1,310円 | |
| 100サイズ | 25kg | 1,620円 | |
| 西濃運輸 | 60サイズ | 2kg | 1,023円 |
| 80サイズ | 5kg | 1,276円 (70cmサイズ) |
|
| 100サイズ | 10kg | 1,529円 | |
| 福山通運 | 60サイズ | 2kg | 1,100円 (パーセルワン600円) |
| 80サイズ | 5kg | 1,330円 (パーセルワン700円) |
|
| 100サイズ | 10kg | 1,540円 (パーセルワン1,000円) |
冷蔵・冷凍便
| 配送会社名 | 重量 | 料金(税込) | 温度 |
|---|---|---|---|
| ヤマト運輸 | 2kg | 1,335円 | 冷蔵:0°C〜10°C 冷凍:-15°C以下 |
| 佐川急便 | 2kg | 1,315円 | 冷蔵:2°C〜10°C 冷凍:-18°C以下 |
| ゆうパック | 25kg | 1,215円 | 冷蔵:0°C〜5°C |
| 西濃運輸 | 2kg | 冷蔵:1,263円 冷凍:1,993円 |
冷蔵:0°C〜5°C 冷凍:-18°C以下 |
| 福山通運 | 2kg | 1,325円 | 冷蔵:5°C〜10°C |
※配送料は例として関東から関西への配送時の料金を示しています。
※料金は荷物のサイズ、重量、配送距離、追加オプションの有無によって異なるため、詳細は各運送会社の公式サイトや営業所で確認することをお勧めします。
※法人契約や大量配送の場合は、特別な割引が適用されることがありますので、その点も考慮ください。
配送業者を1つに絞る必要はなく、配送の種別ごと異なる業者を選択し、組み合わせて利用するケースもあります。
ただ気をつけて欲しいのは送料の安さを追及しすぎることで品質の選定が疎かになってしまうことです。
送料を抑えるために商品にあった配送方法を選択しないと「破損して届いた」などのトラブルが起きる可能性があります。
確実な状態で届けるために商品に合った配送方法を選ぶことが送料を決める上では大切です。
三温度帯の送料設定
三温度帯の送料設定は、特に食品のECサイトの運営において重要なポイントになります。一般的なECカートやECサイト構築パッケージでは、以下のような送料の設定項目があるはずです。
・都道府県別の送料計算
・購入金額に応じた送料計算
・購入商品の重量に応じた送料計算
・送料無料条件の指定
温度帯の異なる商品を一つのECサイトで扱う場合にはこれらの一般的な送料計算に対し、まずはクール便(冷蔵・冷凍)に応じたオプション料金の加算が必要です。
クール便の方が送料負担が大きいため、冷蔵・冷凍商品の注文の際にはきっちりと加算分の送料を注文の合計金額に含めたい事業者様がほとんどだと思います。
ここまでは商品毎に温度帯の設定項目があるか、特定の商品のグループやカテゴリに対してオプションの送料設定ができれば対応可能です。
しかし、複数の温度帯商品を同時に購入するケースを考慮していくと、システム上必要な機能は複雑化していきます。
異なる温度帯の商品は同梱可能とするか、別々で送る方が良いのかについて、本来理想としている注文や発送の形式ではなく、 システム上の制約を優先とした形式になってしまいやすいポイントです。
この同梱設定の複雑なポイントについて見ていきます。
温度帯の異なる商品の同梱・別梱設定
例えば、 フルーツショップ・青果店のECサイトでりんごと冷凍のブルーベリーを扱っているとします。
通常加工前のりんごは夏の期間を除いて常温で送られるケースが多いと思いますが、冷凍のブルーベリーを同じお客様が注文された場合に、 品質を維持してお客様のご自宅で保管してもらうためにも、りんごを冷凍タイプのクール便にまとめて入れてしまう訳にはいきません。
この場合、もしECサイト上で一緒に購入された場合は、
それぞれ別の梱包を行い、発送伝票を準備し、
りんごの分の常温の通常送料 + 冷凍ブルーベリーのクール便の送料 = 合計送料
として送料を計算したいはずです。
では、同じフルーツショップでフルーツケーキの商品も展開しており、 冷凍のいちごのケーキと、別売りで誕生日用の数字の形をしたろうそくを販売していて、同時に購入があったとします。
ろうそくは冷凍ケーキと一緒に入れてしまっても品質上問題ない商品なので、 この場合は冷凍のクール便として一つのパッケージとして発送する方が購入者にとっての金額負担が少ないだけでなく、ショップにとっても梱包業務が楽になります。
そのため送料は単純に、
冷凍ケーキのクール便の送料 = 合計送料
としたいでしょう。
このように、商品同士の組み合わせによっては、 同梱にしてできるだけ送料を少なくしたいこともあれば、商品の特性によって別梱とせざるおえないこともあります。
一緒に送れるものもあれば、送れないものもある・・・
一つの注文に対して温度帯ごとに厳密に発送小口を管理できるようにすると、一回の注文時の送料がどうしても高く見えてしまい、ECサイトでの注文を敬遠されてしまう可能性も出てきます。 すると今度は「できる限り同梱できるものは同梱したい」という、新しい要件も発生してきます。
aishipをご利用のEC事業者様にも同様のお悩みがあり、
・特定の冷蔵商品と冷凍商品を同時に購入した場合は、冷凍便に同梱したい
・冷蔵商品のみで購入した場合は同じ商品でも冷蔵で送りたい
という、「冷蔵」の商品が「冷凍」に入ったり、入らなかったり色んな条件を作りたいという要望がありました。
aishipではこの要望にお応えするために、商品に対して温度帯を設定できることに加えて、異なる温度帯の商品が複数含まれる場合に、 「冷蔵便に同梱するか」「冷凍便に同梱するか」を個別に商品毎に設定することができるようにアップデートを行いました。
結果に必要な機能性として、
・商品毎に、「常温」「冷蔵」「冷凍」の温度帯の設定ができる
・「冷蔵」「冷凍」のクール便の注文の場合にオプション料金を加算する
・同時に異なる温度帯の商品がカートに入った場合、システム内部で温度帯毎にグルーピングする
・グループ毎に適切な送料計算を行い、合計送料を表示する
・温度帯のグループ毎に送料無料の条件基準を設けることができる
・常温商品と異なる温度帯の商品がカートに入った際に、同梱するか否かを商品ごとに設定できる
・冷蔵商品と冷凍商品が同時にカートに入った際に、冷凍のグループに同梱するか否かを商品ごとに設定できる
などの機能性が必要なってくることがわかりました。
温度帯を管理するといっても、かなり奥行きがあるので、 代表的な商品の組み合わせごとの自社の理想的な発送パターンをシステム都合で諦めていないか、今一度ご確認されることをお勧めします。
食品ECでの三温度帯の送料設定や必要な機能については以下の記事でさらに詳しく解説していますので、よろしければ併せてご参考ください。
食品通販で三温度帯(常温・冷蔵・冷凍)の送料・同梱・別梱を上手く制御して販売するには?
配送温度帯混在時のわかりやすい送料設定例
設定や表示が複雑になる配送温度帯混在時でのわかりやすい送料設定の一例としてクラウド型ECサイト構築ASP「aiship」の配送パターン設定を紹介します。
商品ごとに配送料設定を柔軟に指定できる

配送パターン設定を利用すると、出荷温度帯ごとに配送料設定を指定することが可能になります。
送料無料設定の場合は、「冷蔵品は冷蔵品の商品合計が1万円以上で送料無料とする」
「常温品は常温品の商品合計が5000円以上で送料無料とする」といった設定が可能になります。
カートページでお客様に出荷の分割や分割時の送料を分かりやすく表示できる

また配送パターン設定機能を利用すると、バスケットページや注文確認ページに配送パターンごとに商品を表示させることができ、それぞれの出荷ごとの商品合計や送料を表示させることができるようになります。
お客様に出荷内容や送料の内訳を分かりやすく表示することができ、ご注文にあたっての不安を解消することができるようになります。
温度帯・出荷場所にプラスして出荷を分けることができる

温度帯や出荷場所による出荷分割に加えて、さらに詳細な単位での出荷分割も可能になります。
例えば、同じ温度帯でも配送希望日が選択可能な商品と指定が不可な商品を分けたい場合に配送パターン設定を分けることで出荷を分けることが可能です。
このように柔軟な配送パターンを設定することで、出荷ごとに送料を明示でき、顧客が総費用を事前に理解しやすくなるため、予期しない送料発生が原因でのカゴ落ち防止に繋がります。
配送パターン設定の詳細はこちら
注文確認画面での情報提供
最後に、注文確認画面での詳細な情報提供が重要です。最終的な注文内容確認時に、商品ごとの送料、合計送料、適用された配送便を明確に表示するシステムを導入することで、ユーザーは最終的な支払い金額を理解しやすくなります。
送料設定の最適化
データ分析による最適化
送料設定を最適化するためには、顧客の購買データを詳細に分析することが重要です。まず、過去の注文履歴を調査し、どのような商品がどの地域で多く売れているか、またどの送料設定が最も効果的であったかを把握します。
これにより、特定の商品や地域に対して最適な送料を設定する基礎データが得られます。
さらに、顧客のカゴ落ちデータを分析することで、送料が原因で購入を断念したケースを特定し、その改善策を考えることが可能です。
A/Bテストの活用
A/Bテストは、異なる送料設定をランダムに顧客に提示し、その反応を比較する方法です。
例えば、一部の顧客には「送料無料」を提供し、他の顧客には「注文金額に応じた送料割引」を提供することで、どちらの送料設定が売上や顧客満足度に貢献するかを評価します。テスト結果を基に、最も効果的な送料設定を導入することができます。
この手法は、ECサイトが独自のユーザー層や市場ニーズに合った送料設定を見つけるために非常に有効です。
顧客の心理を考慮した設定
送料設定は顧客の心理に大きな影響を与えます。
例えば、送料無料を提供すると、顧客は「お得感」を感じやすくなりますが、実際には商品価格に送料を含めることでコストを回収することが多いです。
逆に、送料が表示されると顧客はコストを意識し、購買意欲が低下することがあります。購買意欲が低下を軽減する方法の例としては、送料が無料になる条件(例:一定金額以上の購入)を設けることで、顧客が商品を追加購入する動機づけを行う方法があります。
また、配送スピードや特別な取り扱い(例:冷凍便)の選択肢を明示することで、顧客は自分に最適なサービスを選択しやすくなります。
送料設定の成功事例・失敗事例
成功事例: オーガニック食品ECサイトのケース
あるオーガニック食品ECサイトでは、顧客からの「送料が高い」というフィードバックを受け、送料設定の見直しを行いました。
そこで、固定送料と注文金額に応じた送料無料の条件をA/Bテストで比較しました。固定送料は一律800円、送料無料は5,000円以上の購入で適用されるように設定しました。
このテストの結果、固定送料を適用した場合よりも、注文金額に応じた送料無料の設定が顧客に好まれることが判明しました。特に5,000円の購入額を目指す顧客が増え、結果として平均顧客単価が上昇しました。
最終的に、カゴ落ち率が20%減少し、売上が15%増加したことが確認されました。これは、顧客が明確な価値を感じられる設定にしたことで、購入意欲が高まったことによるものだといえます。
失敗事例: ファッション小物ECサイトのケース
一方、ファッション小物を扱う別のECサイトでは、送料無料を「10,000円以上の購入」に設定しました。
しかし、この金額は平均的な顧客の購入額を大きく超えており、多くの顧客がその条件を満たすために追加の商品を購入することを躊躇しました。その結果、カゴ落ち率が増加し、売上も停滞してしまいました。
このサイトでは、送料無料の条件を過度に高く設定したことが原因で、顧客が購入を断念するケースが増えたことが判明しました。
最終的には送料無料の条件を5,000円に引き下げることで売上の回復を図りましたが、はじめに送料無料の条件設定が顧客の購買行動に与える影響を軽視したことに問題があったといえます。
これらの事例からも送料設定が売上や顧客満足度に直接影響を与えることが明らかです。顧客の心理や市場の動向を理解し、柔軟に対応することが成功の鍵となります。
まとめ
ECサイトにおける送料設定は、顧客満足度と売上に直結する重要な要素です。
特に、顧客データを活用した料金最適化や、心理的効果を考慮した設定が重要です。
また今後は物流のデジタル化やAI技術の進展により、より精緻な送料計算やカスタマイズが可能になると予想されます。
本記事の内容が顧客満足度の向上とコスト効率の最適化の参考になれば幸いです。
ECサイトの構築・リニューアルをご検討の際は以下の記事もご参考ください。
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