コロナ禍において外出自粛や外食を控えた内食化が広がり、消費者行動はオンラインへと移行しています。在宅時間を充実させたるため、普段より美味しい・高品質な食品のお取り寄せ需要や、有事に備えて長期保存できる食料のまとめ買い、親しい人にコミュニケーションの一環として贈るギフト需要として、食品ECのニーズが高まっています。
(引用元:矢野経済研究所 「食品通販市場規模推移と予測」 2021年9月21日)
こちらのグラフでは、2020年度、つまり新型コロナウィルスが発生した初年度までの食品通販市場規模と、その先5年を予測しています。コロナ発生以前も食品EC利用が増えていた中、コロナ発生により一変した新しい生活様式により、食品ECの利用はこの時の予測を上回っていると考えられます。コロナ沈静化の先行きが見えない中、食品ECのニーズはまだまだあり、今からでも食品ECサイトの構築や、食品ECの使い勝手をより良くするための機能充実化を進めるべきだと感じます。
本記事では、食品ECサイトの構築に必要な専用機能をピックアップし、食品ECサイトの構築方法として、どのようなショッピングカートシステムを選定していけば良いか、比較していきます。
食品ECサイトの構築に必要な専用機能
食品ECサイトを構築し、円滑に運営するためには、一般的なECサイトに備わっている機能に加え、以下のような食品EC専用機能が必要になります。
三温度帯設定機能
三温度帯とは、配送や保管時の温度指定のことで。常温・冷蔵・冷凍の3つの温度帯の総称です。三温度帯設定機能により、通販サイト上で複数の温度帯商品を販売し、同時に購入された場合でも、温度帯ごとに分類して発送したり、送料を加算することが可能です。
日ごとの在庫管理機能
生鮮食品や加工食品をはじめ限定品などで、1日の生産数や出荷数が決まっている商品の場合、日ごとに在庫を管理する必要があります。
一般的なECの機能では、在庫の設定は商品単位になるため、その内訳を日ごとに設定することは出来ません。もしどうしてもやるならば、商品を販売日(出荷日)ごとに個別登録し、サイト訪問者は配送希望日に届く商品を選んで購入するといった運用になります。
日ごとの在庫管理機能が備わっていると、バックヤード側で登録する在庫を日ごとに設定することができる為、商品ページも1つで完結します。
正確な配送希望日設定
冷蔵便や冷凍便の場合は特に、配送会社による保管期間が短いことから、注文者には確実に受け取れる日時を選択できる状態にしておく必要があります。そのためには、カート内で確実に届けられる日を表示させる必要がありますが、大手配送会社のリードタイム設定を利用することで、配送先に応じてより正確なお届け日時を算出することが可能です。(※参考記事はこちら)
また、限られたエリアにしか配送できないような商品を販売しているECや、賞味期限の短い商品を販売する場合には、配送エリアの制限も必要になってきます。
軽減税率設定
2019年(令和元年)10月1日の消費税増税に伴い、食品など特定品目については消費税を8%のままとする軽減税率制度が導入されています。また、軽減税率の期限は現在のところ定められておりません。
食品と雑貨等を同時に販売したい場合、消費税率を変えて販売しなければならないため、商品ごとに消費税率を変えられる機能は必須になります。
店舗受取機能
食品ECの場合、注文はECで操作して、購入商品は実店舗で受け取りたいというニーズが一定数あります。店舗受取機能が多店舗展開にも対応していると、複数の実店舗を持つチェーン展開をしている販売店でも対応が可能です。(※参考記事はこちら)
食品ECサイトの構築方法
食品系の商材をECで販売する方法には、ECモールに出店して販売する方法と、自社ECサイトを構築して販売する方法の大きく2種類あります。それぞれの方法とメリット、デメリットを確認していきましょう。
1.ECモールに出店
ECモールとは、複数の企業やショップが出店して商品を販売する、言わばオンライン上のショッピングモールを指します。代表的なものに楽天市場やYahoo!ショッピング等があり、Amazonの場合は、Amazonフレッシュとして地域限定(東京都・神奈川県・千葉県の対象エリア)で展開しています。LINEでつながっている友だちにギフトをプレゼントできるサービスのLINEギフトもECモールに含まれます。
ECモールに出店する場合のメリット、デメリットについては以下のようなものがあります。
・申請することで出店できる。商品ページなどのページ作成は必要だが、システムを構築する必要はない。
・集客ノウハウを持っていなくても、モールの高い集客力を活用できる。
<デメリット>
・ブランディングがしにくい
・手数料が高い
・各モールの仕様に沿った機能を使用しなければならない、自社の運用に不十分な場合も考えられる。
2.自社サイトを構築
オープンソース・パッケージソフト(スクラッチ開発)
オープンソースやパッケージソフト、あるいはゼロから構築するスクラッチ開発を含め、これらの方法は専用のサーバーやクラウドサーバーを用意し、そこにシステムをインストールして運用します。この方法のメリット、デメリットは以下のようなものがあります。
・必要な機能の設計や構築が柔軟で、独自性の高いECサイトの構築に適している
<デメリット>
・構築から運用後の保守メンテナンスに至るまで、専門性が高い人材の確保などコストがかかる
ASP/クラウド型
ASP/クラウド型のECカートシステムは、EC運営に必要な機能が備わったプラットフォームをベースに運営する方法です。その多くは独自ドメイン設定に対応しており、自社ECサイトとして運営することが可能です。
・システム開発・運用保守・サポートは提供事業者が行うので実際の運用に集中できる
・EC事業者はシステムに関する特別な知識や技術を有する人材が不要
・自社の運営に適した機能が備わっているかを検証し、運用可能と判断すればすぐにその機能を利用できる。
<デメリット>
・汎用的に作られた標準機能内での運用が前提となる
・運用フローをシステムに寄せないといけない場合もある。
・基本的にカスタマイズができない。
※オープンソース・パッケージソフト(スクラッチ開発)や、ASP(クラウド型)について、それぞれの特徴をさらに詳しく確認したい場合は、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。食品ECサイトを構築する際には、まずは必要な専用機能を理解し、自社の運用に必要な機能を備えるためのプラットフォームを比較検討し、最適なシステムを選定すると良いでしょう。
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以下、aishipで構築した食品ECサイト事例をご紹介致します。
食品ECサイト事例
京都土産としても名高いマールブランシュ様は、三温帯の機能を利用して商品に応じた温度帯で商品を発送。ギフト用途や店頭受取にも対応しています。
地方の生産者が自慢の産品を直送でお届けする高知かわうそ市場様は、日ごとの出荷数や配送リードタイム設定を商品単位で設定することで、生鮮食品ならではの配送にて抱えていた課題を解決頂きました。
伊勢名物の赤福オンラインショップ様は、消費期限が短い商材を販売しているため、個別のカスタマイズにて、配送可能エリアの制限やヤマト運輸の宅急便タイムサービスに基づき、発送地域ごとに制約をかけて運営頂いております。